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「どう使う?」が解決する!OCT/血管内視鏡活用ガイド[Web動画付]

編集 : 南都伸介/西野雅巳
ISBN : 978-4-524-22823-2
発行年月 : 2021年4月
判型 : B5
ページ数 : 156

在庫あり

定価4,950円(本体4,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

血管内の画像評価において臨床活用が広がる光干渉断層法(OCT)と、今後の普及が期待される血管内視鏡に焦点を当て、準備から画像の捉え方・評価法、実臨床での活用のポイントまでわかりやすく解説。OCTや血管内視鏡所見の画像はもちろんのこと、動画も多数収載し、見え方や捉え方を確認できる。循環器医だけでなく、カテーテル室に所属する看護師や臨床工学技士にもおすすめの一冊。

目次

T 基本編
 A OCT
  1.なぜ,OCTが臨床で役立つのか?
  2.OCTが役立つ患者背景とは?
  3.OCT準備・施行の臨床現場での工夫
  4.OCT画像の見かた
 B 血管内視鏡
  1.なぜ,血管内視鏡が臨床で役立つのか?
  2.血管内視鏡が役立つ患者背景とは?  
  3.血管内視鏡準備・施行の臨床現場での工夫  
  4.血管内視鏡画像の見かた
U 臨床編 
 A 急性冠症候群
  1.OCTの活用
  2.血管内視鏡の活用
 B ステント留置・経過観察
 〈1〉OCTの活用
  1.各世代・新世代DES留置後の血管治癒の検討
  2.MEI(minimum expansion index)の意義と臨床応用
 〈2〉血管内視鏡の活用
  1.第一,二世代DES留置後の血管治癒の検討
  2.第三世代DES留置後の血管治癒の検討
  3.Orsiro®(新世代DES)留置後の血管治癒の検討
  4.BioFreedomTM(DCS)留置後の血管治癒の検討
 C 分岐部病変
 D 石灰化病変
 E EVTへの応用
  1.CTO病変への応用@:AGECIS
  2.CTO病変への応用A:AGECIDU
  3.Zilver®PTX®(DCS)留置後の血管治癒の検討  
  4.ELUVIATM(DES)留置後の血管治癒の検討
  5.GORE®VIABAHN®(ステントグラフト)留置後の血管治癒の検討
 Column
  OCT・OFDIの違い
  大動脈内視鏡から見えてくる世界
  血管内視鏡の開発:世界初イメージセンサー型・新ファイバー型
  OCTによるprotrusionの評価
  血管内視鏡による血栓の評価
  アブレーション領域での内視鏡の活躍
  Zemporshe®によるIN.PACT™ Admiral™の評価
TIPS
  血管内視鏡のプルバック速度
  血管内視鏡のPicture in Picture機能:冠動脈の観察位置の同定
索引

動画目次

T 基本編
 B 血管内視鏡
  3.血管内視鏡準備・施行の臨床現場での工夫(39〜43ページ)
   動画1 血管内視鏡(Smart-i®)のフォーカス調整
  4.血管内視鏡画像の見かた(44〜48ページ)
   動画2 新生内膜被覆度の分類:grade 0
   動画3 新生内膜被覆度の分類:grade 1
   動画4 新生内膜被覆度の分類:grade 2
   動画5 新生内膜被覆度の分類:grade 3
   動画6 新生内膜の不均一性
   動画7 プラークの黄色度の分類:grade 0
   動画8 プラークの黄色度の分類:grade 1
   動画9 プラークの黄色度の分類:grade 2
   動画10 プラークの黄色度の分類:grade 3
 TIPS 
  血管内視鏡のプルバック速度(48ページ)
   動画11 プルバック速度と画質:15mm/秒
   動画12 プルバック速度と画質:7mm/秒
   動画13 プルバック速度と画質:4mm/秒 
U 臨床編
 A 急性冠症候群
  1.OCTの活用(52〜57ページ)
   動画14 急性心筋梗塞症例におけるplaque ruptureのOCT像:TCFA,線維性被膜の破綻,cavity像
   動画15 同症例のステント内部のirregular protrusionのOCT像
   動画16 erosionのOCT像:白色血栓,不整な血管内腔
   動画17 急性下壁心筋梗塞症例におけるcalcified noduleのOCT像(初診時):calcified nodule,赤色血栓
   動画18 同症例のcalcified noduleのOCT像(1週間後)
   動画19 同症例のcalcified noduleの治療後OCT像
  2.血管内視鏡の活用(61〜64ページ)
   動画20 ACS症例の冠動脈造影像
   動画21 同症例の血管内視鏡像:黄色度の強いプラーク,白色血栓,赤色血栓
   動画22 同症例のステント留置後の冠動脈造影像
   動画23 同症例のステント留置後の血管内視鏡像
 Column 血管内視鏡による血栓の評価(65〜68ページ)
   動画24 右冠動脈中間部の完全閉塞症例の冠動脈造影像
   動画25 同症例のPCI施行直後の冠動脈造影像
   動画26 同症例のPCI施行直後の血管内視鏡像
   動画27 同症例のPCI施行2週間後の冠動脈造影像
   動画28 同症例のPCI施行2週間後の血管内視鏡像
   動画29 同症例のPCI施行10ヵ月後の冠動脈造影像
   動画30 同症例のPCI施行10ヵ月後の血管内視鏡像
 TIPS 血管内視鏡のPicture in Picture機能:冠動脈の観察位置の同定(68ページ)
   動画31 Picture in Picture機能による冠動脈の観察位置の同定
 B ステント留置・経過観察
 〈2〉血管内視鏡の活用
  1.第一,二世代DES留置後の血管治癒の検討(83〜88ページ)
   動画32 CYPHER®留置8ヵ月後の血管内視鏡像
   動画33 TAXUS®留置8ヵ月後の血管内視鏡像
   動画34 ENDEAVOR®留置8ヵ月後の血管内視鏡像
   動画35 RESOLUTETM留置4ヵ月後の血管内視鏡像
   動画36 RESOLUTETM留置10ヵ月後の血管内視鏡像
  2.第三世代DES留置後の血管治癒の検討(89〜96ページ)
   動画37 XIENCE®留置1年後の血管内視鏡像
   動画38 SYNERGYTM留置1年後の血管内視鏡像
  3.Orsiro®(新世代DES)留置後の血管治癒の検討(97〜99ページ)
   動画39 労作性狭心症例へのOrsiro®留置9ヵ月後の血管内視鏡像
   動画40 不安定狭心症例へのOrsiro®留置8ヵ月後の血管内視鏡像
  4.BioFreedomTM(DCS)留置後の血管治癒の検討(100〜102ページ)
   動画41 回旋枝(99%狭窄例)へのBioFreedomTM留置1年後の血管内視鏡像
   動画42 左冠動脈前下行枝(90%狭窄例)へのBioFreedomTM留置1年後の血管内視鏡像
 D 石灰化病変(109〜114ページ)
   動画43 左前下行枝#7に全周性の高度石灰化病変を認めた症例への1回目のダイヤモンドバック施行(1回切削)後のOCT像
   動画44 同症例への2回目のダイヤモンドバック施行(7回切削)後のOCT像
   動画45 同症例へのDES留置後のOCT像@
   動画46 同症例へのDES留置後のOCT像A
   動画47 左前下行枝#7に限局的なcalcified noduleを伴う病変を認めた症例のOCT像
   動画48 同症例へのロータブレーターによる切削施行後のOCT像
   動画49 同症例へのDES留置後のOCT像
   動画50 同症例へのDES留置7ヵ月後のOCT像
 E EVTへの応用
  1.CTO病変への応用@:AGECIS(117〜121ページ)
   動画51 左浅大腿動脈のCTO病変入口部の血管内視鏡像:入口部およびガイドワイヤーによる真腔部位のクロスの様子
   動画52 左浅大腿動脈の高度狭窄病変入口部の血管内視鏡像:入口部の白色血栓およびガイドワイヤーによるクロスの様子
   動画53 左膝窩動脈のCTO病変入口部の血管内視鏡像:石灰化病変を伴う巨大プラーク
  2.CTO病変への応用A:AGECIDU(122〜126ページ)
   動画54 右浅大腿動脈のCTO病変への治療約6ヵ月後に再狭窄病変を認めた症例のIVUS像
   動画55 同症例の血管内視鏡像
   動画56 右浅大腿動脈のCTO病変への治療約8ヵ月後に再狭窄病変を認めた症例へのAGECIDU施行翌日の血管内視鏡像
  3.Zilver®PTX®(DCS)留置後の血管治癒の検討(127〜130ページ)
   動画57 左浅大腿動脈へのZilver®PTX®留置4ヵ月後の血管内視鏡像
   動画58 左浅大腿動脈へのZilver®PTX®留置10ヵ月後の血管内視鏡像
  Column Zemporshe®によるIN.PACTTM AdmiralTMの評価(131〜132ページ)
   動画59 右浅大腿動脈完全閉塞病変へのバルーン前拡張後の血管内視鏡像
  4.ELUVIATM(DES)留置後の血管治癒の検討(133〜136ページ)
   動画60 右浅大腿動脈(90%狭窄例)へのELUVIATM留置2ヵ月後の血管内視鏡像
   動画61 右浅大腿動脈のCTO病変へのELUVIATM留置12ヵ月後の血管内視鏡像
  5.GORE®VIABAHN®(ステントグラフト)留置後の血管治癒の検討(137〜141ページ)
   動画62 左浅大腿動脈閉塞へのGORE®VIABAHN®留置12ヵ月後にステント端再狭窄をきたした症例の血管内視鏡像@:ステントグラフト中間部の血栓付着
   動画63 同症例の血管内視鏡像A:ステントグラフト近位部(再狭窄部位)の新生内膜
   動画64 左浅大腿動脈CTO病変へのGORE®VIABAHN®留置24ヵ月後にステント血栓症をきたした症例:ステント留置直後の血管内視鏡像@
   動画65 同症例へのステント留置直後の血管内視鏡像A
   動画66 同症例へのステント留置18ヵ月後の血管内視鏡像@
   動画67 同症例へのステント留置18ヵ月後の血管内視鏡像A
   動画68 同症例へのステント血栓症発症6ヵ月後の血管内視鏡像@
   動画69 同症例へのステント血栓症発症6ヵ月後の血管内視鏡像A

序文

 日本の冠動脈インターベンション(PCI)が,IVUSを中心としたイメージングデバイスを駆使し,他国に比しても安全かつ有効に施行されていることは,この領域に関わる医師を含めた医療従事者の共通認識であるところは間違いないでしょう.ただIVUSが世に出てきた当初は,その当時のPCIの主要コンセプトであったSSS(simple,safe,speedy)という概念には程遠く,一例をあげるとIVUSのセッティング時にIVUSカテーテルの先に入った空気を除去するためにIVUSカテーテルを手動でグルグル回す必要があるなど,今よりずっと時間がかかり,臨床現場ではあまり役に立つ代物ではないという印象でした.その後,10年くらいを経てから種々の有用性が判明し,IVUSもようやく市民権を得たという感じだったかと思います.さて,そのような流れで考えますと,世に出てすでに10年以上が経過した今,OCTや血管内視鏡もそろそろリサーチツール的なポジションを脱却し,臨床現場での有用ツールとして認識されてもよさそうなものですが,まだ日本全体においてはマイノリティーな要素が強いようです.
 そこで今回,OCT,血管内視鏡が世に出てからいち早くその臨床応用を考え,日々の臨床現場で使用してきた大阪労災病院および関西ろうさい病院の循環器内科が中心となり,OCTおよび血管内視鏡の実臨床での有用性をテーマに絞り,それぞれの使い方を種々の切り口で紹介する書籍を企画しました.執筆にあたっては大阪大学循環器内科およびその関連病院にもご協力をいただいています.IVUSに比し,PCI領域・末梢血管インターベンション(EVT)領域におけるOCT,血管内視鏡の使用は臨床現場ではまだまだ限られているようですが,IVUSの歴史を振り返っても,そろそろOCT,血管内視鏡もメインのイメージングデバイスとして考えてもよい時期がきているかと思います.
 本書では,OCTおよび血管内視鏡が役立つ患者像から,準備や施行時に役立つ工夫点,画像の見かた,実臨床での使用におけるメリットやコツまでを,多くの画像を用いつつ解説しています.また,イメージングデバイスの特性を踏まえて,それぞれの実際の所見をWeb動画として確認できるようにもいたしました.読者の皆様には,OCT,血管内視鏡の実臨床での活用について本書でご確認いただき,日々のインターベンション治療にお役立ていただければ幸いです.
 2020年,日本はCOVID︲19に翻弄され,循環器内科の臨床現場も多くのダメージを受けました.特に救急対応が求められるインターベンション領域では,救命のために多くの循環器医療従事者が努力を重ねてこられたことと思います.本書が発刊される頃にはCOVID︲19も収束の兆しをみせ,1日も早く普通の日常を取り戻せることを祈って,また,日々のインターベンション治療に本書が大いに役立つことを期待して,序文にかえさせていただきます.

2021年3月

西宮市立中央病院循環器内科 南都伸介
大阪労災病院循環器内科   西野雅巳

 経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention:PCI)の黎明期にimaging modalityは臨床の場に登場し,リサーチツールとしてその歴史は始まった.そして,imaging modalityとデバイスの進化はPCIの進歩において両輪としての役割を担ってきた.すなわち,imagingによる検討でデバイス治療のメカニズムが解明され,デバイスの進化が促進され,治療成績が改善されてきた.病理学的検討やプレクリニカルの試験では得にくい情報を生体内で直接観察,把握することを可能とするimaging modalityは,まさにPCIに適した検査であったといえる.本邦のPCIの成績が諸外国よりも優れていることは周知の事実であるが,ルーチンでimaging modalityを使用できる環境がその理由としてしばしば指摘される.それは事実であるが,日常臨床で症例を重ねることで自己研鑽を重ねてきた結果と考えるのが正解であろう.
 そして現在,「血管内超音波(intravascular ultrasound:IVUS)でPCIは事足りると多くの医師が考えているのではないか?」と本書は問題提起している.満足したら進歩は止まると著者らは問うているのである.
 過去に類似の書籍はいくつも出版されているが,本書は光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)と血管内視鏡に特化している点で明らかに一線を画している.加えて,かゆいところに手が届く工夫が随所になされている.いくつか特徴をあげてみよう.@画像をふんだんに引用し,きめ細かく解説が付されている.また,その画像は動画で確認できる.AOCTと血管内視鏡が対比する形で各項目記載され,それぞれの特徴が理解しやすくなっている.B基礎編と臨床編の二部構成であり,臨床編は病態ごとにその特徴的な所見,観察ポイントが繰り返し解説されている.CEVT(endovascular treatment),大動脈など他の領域に関する情報も網羅している.Dなんといってもコラム,tips が面白い.画像が明瞭で美しく,経験豊かな筆者らの心のこもった私見が読者を唸らせる.E 本書全体を通して簡潔にまとめられている点が素晴らしい.大阪労災病院,関西ろうさい病院を中心に,大阪大学ならびに関連病院の先生方の経験をベースとしたOCT/血管内視鏡の指南書となっている.これから始める医師も,わかったつもりになっている経験者にも有益であることは間違いない,推薦の一冊である.
 序文に本書への思いが述べられているが,臨床応用が始まった当初はしばしばバルーンが簡単に通過してもIVUSが通過しない経験をしたことを思い出した.経験をサイエンスとするためには,文章に残す不断の努力が必要であり,経験の蓄積があり,歴史を知るものの役割であることを痛感した次第である.その意味においても南都先生,西野先生に敬意を表したい.

臨床雑誌内科128巻5号(2021年11月号)より転載
評者●東邦大学医療センター大橋病院循環器内科 教授 中村正人

9784524228232