呼吸器外科テキスト[Web動画付]改訂第2版
外科専門医・呼吸器外科専門医をめざす人のために
編集 | : 日本呼吸器外科学会/呼吸器外科専門医合同委員会 |
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ISBN | : 978-4-524-22815-7 |
発行年月 | : 2021年4月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 552 |
在庫
定価14,300円(本体13,000円 + 税)
正誤表
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2023年01月24日
第1刷
- 商品説明
- 序文
- 書評
日本呼吸器外科学会「呼吸器外科専門医修練カリキュラム」と「認定試験問題内容」に準拠.今改訂では呼吸器外科専門医をめざす医師の自己学習ならびに専門医取得者の知識更新のために広く活用されることを目的とした初版の内容をアップデート,web動画も添付し,より一層充実した内容となった.外科専攻医,外科専門医,医学生,外科医をめざす学生・研修医,内科医,呼吸器外科指導医・外科指導医も対象とした必読書.
第2版の刊行にあたって
日本呼吸器外科学会と呼吸器外科専門医合同委員会による「呼吸器外科テキスト ◯外科専門医・呼吸器外科専門医を目指す人のために◯ 第2版」の刊行にあたり,ご執筆いただきました会員諸先生方に,学会を代表して御礼申し上げます.また,各章の編集を担当いただいた日本呼吸器外科学会役員の先生方,テキスト小委員会の委員の先生方のご尽力に深謝申し上げます.
平成28年に初版が刊行され,呼吸器外科領域の知識の確認や,専門医試験のための教科書として皆様に愛用されてきた「呼吸器外科テキスト」ですが,増刷を重ねるとともに平成30年からは電子書籍との併売となり,これまで三千部以上が世に送り出され,そのうち二千数百部が皆様のお手元に届いている状況となっております.これも,諸先生方の努力により実用に足る十分な内容を持ったテキストであったことからであると考えております.
さて,初版刊行から早5年が経過し,このたび改訂第2版の発行となりました.日進月歩の昨今でありますので,当初より5年ごとの改訂を予定しておりました.本改定では残すべきところは残し,前回書きたりてないところは大幅に書き足し,あるいは時代の変化に合わせて新規の項目を加え作成いたしました.改定作業中にもガイドラインの変更などがあり,一部は改定に間に合っていない項目もありますが,それらの項目は,学会ホームページなどで周知して参りたいと思います.
本テキストは,新しく呼吸器外科専門医を目指す若い医師達が現時点でのコンセンサスや最新知見を短時間で習得できることを目的とするとともに,呼吸器外科領域の基礎知識も網羅し,基盤部分の外科専門医の修練にとっても役立つ様に編纂しております.また,呼吸器外科専門医の資格を取得したベテランの医師にも知識を整理し,日常診療に役立てられる様に内容を吟味し作成されております.
本テキストが日本の呼吸器外科診療の一層の発展につながるよう祈念しております.
2021年3月
日本呼吸器外科学会 理事長
千田 雅之
序
この度「呼吸器外科テキスト 改訂第2版」が上梓された.2016年に「呼吸器外科テキスト」初版が刊行され,発刊当初に目的とした「呼吸器外科領域における基本から応用にわたる幅広い知識の供給源としての教科書,そして専門医試験のガイドラインとも言えるような役割」については一定の成果が得られたと自負している.また,本テキストは発刊当初から5年ごとに改訂するという計画であった.それは,呼吸器外科領域を取り巻く医療環境,社会環境あるいは技術革新などの変化が急速に進んでいくであろうという予測のもとであった.実際この5年間では,呼吸器外科領域におけるロボット支援手術の保険収載,新専門医制度の発足,がんゲノム医療の実現,あるいは種々デバイスの開発など,医療や社会を取り巻くめまぐるしい変化が起こっている.ことに,2019年末に中国武漢に端を発した新型コロナウィルス感染(COVID-19)の世界的拡大という人類の存続をも脅かすような事態も発生し,医療においても診療,研究,教育に甚大な影響が生じた.
こうした中,改訂作業に関わっていただいた大勢の皆様の献身的なご協力とご厚意に厚く御礼申し上げる.お陰様で,計画通り初版から5年後の改訂第2版上梓となった.なお,初版で執筆者に名を連ねていただいた何名かの方々に代わって,改訂第2版では次世代を担う呼吸器外科専門医,評議員の方が新たに各々の分野を担当されている.さらに,この改訂第2版の刊行にあたりテキスト小委員会委員,日本呼吸器外科学会事務局,株式会社南江堂の関係各位に心から感謝の意を申し上げる.
本書改訂第2版では,手術手技の章でWeb動画を参照できるようにした.これによって,基本から高度にわたる手術手技の理解と安全な手術実施の助けになることを期待したい.なお,初版で採用した利用者の利便性に配慮した特徴,すなわち,キーワードに沿った要点,キーワード,AからCのレベル表示,Side Memo,そして各章末の復習ドリルなどの項目は,初版の記載法を踏襲した.また,改訂第2版では,昨今の電子書籍の拡大を鑑み,紙媒体(オンラインアクセス権なし)と電子書籍の2本立てとした.
最後に,この改訂第2版が,初版同様に呼吸器外科専門医を目指す皆様をはじめとして,内科医,専門医資格を取得した後の医師や指導者の知識更新やレベル向上のため,さらには医学生にもお役に立てれば幸いである.
2021年3月
日本呼吸器外科学会 テキスト小委員会 委員長
佐藤之俊
本書は2016年に刊行された『呼吸器外科テキスト―外科専門医・呼吸器外科専門医をめざす人のために』のはじめての改訂版である.
初版は当時日本呼吸器外科学会理事長であった奥村明之進先生が,日本専門医機構による「新専門医制度」が開始されるにあたり,呼吸器外科領域の専門医資格取得を主目的とした教科書を学会として作成しようと提案されたことに端を発する.「学会の総力をあげての教科書作り」のコンセプトにより,わが国の呼吸器外科における各分野の専門家に執筆を依頼し,最新かつ包括的な内容にすることが企画された.ただ「新専門医制度」の開始時期が近々に迫っているとのことから,執筆依頼から刊行まで1年足らずの短期間で作成することとなり,きわめて難事業になると当初予想された.しかしながら,将来の呼吸器外科専門医を育成しようとする執筆者諸兄の情熱と,それらをまとめ誘導するテキスト小委員会委員長の佐藤之俊先生の手腕により,予定通り2016年の京都での第33回日本呼吸器外科学会総会前の4月に刊行されたことに感動したことを覚えている.そして,これまでに初版は第4刷まで増刷され,本書の役割である「呼吸器外科領域における基本から応用にわたる幅広い知識の供給源および専門医試験のガイドライン」については,十分に果たせてきたと評価したい.
改訂第2版は,呼吸器外科を取り巻く医療・社会環境の急速な変化や技術革新が予測されていたため,当初から5年ごとに改訂する計画のもとに2021年3月に刊行された.本書では執筆者の新旧交代が図られ,次世代を担う専門医・評議員の先生方が多く加わっているが,初版の記述の残すべきところは残しながら,全項目にわたって丁寧に追記や修正がなされている.また,この5年間に改訂されたTNM分類や種々の診療ガイドラインに沿って記述が改められ,症例数や各種頻度も最新の集計データに基づいて修正がなされ,知識や情報の即時性が追及されている.さらに,最新の技術革新,とりわけ胸腔鏡下手術,ロボット支援下手術,エネルギーデバイス,自動縫合器,術前シミュレーション/術中ナビゲーション技術,遺伝子変異検査などの記述が充実し,呼吸器外科領域の最新技術や知見が網羅されている.
本書では内視鏡診断と手術手技の章でWeb動画がはじめて導入されたことも特筆すべき事項である.これにより,これまで以上に技術的な理解と安全な手術施行が図られると思われる.また新たに「第I章 総論」が個別の項目に分けられ,内容の充実が図られている.とりわけ,「2.保険診療」と「6.医療倫理」の2項は非常にわかりやすく解説され,臨床現場に直結した保険診療に関する知識を得ることができ,また科学者・臨床医としての倫理規定を知ることができ,きわめて有用である.
通読して2点,「もう少し知りたい」と思った点がある.まず1点は,Web動画の一部には文字での説明がなされているものがあるが,ナレーションでの説明が入っているとより理解しやすいように思われた.もう1点,呼吸器外科医としての基本的手術操作である?離操作,血管・気管支処理,葉間処理,癒着?離などについて,アプローチ方法別に代表的な手技が提示されるとなおよいと感じた.
本書が,専門医取得のための教科書的役割のみならず,座右の書として先生方の日常臨床に役立つことを心より祈っている.そして,5年後の再改訂を楽しみに待ちたいと思う.
評者●中日病院院長 横井香平