肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版改訂第2版
編集 | : 日本大腸肛門病学会 |
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ISBN | : 978-4-524-22701-3 |
発行年月 | : 2020年1月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 124 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
正誤表
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2021年07月13日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
2014年に策定された診療ガイドラインの改訂版。肛門部の三大疾患である痔核・痔瘻・裂肛に直腸脱を加え、新しいガイドライン作成指針に沿って内容を刷新。疫学から病態、診断・治療の基本的事項を総論としてまとめ、臨床上重要なポイントを厳選してCQとして設定。肛門科専門医はもちろん、プライマリケアにあたる医師や排泄ケアに携わるナースにも治療の指針となる一冊。
前文
I.痔核
総論
1.はじめに
2.疫学
3.病因
4.臨床所見
5.診断
6.治療
CQ1.痔核の治療法選択に有用な臨床分類は
CQ2.脱出性の内痔核にALTA療法は有用か
CQ3.痔核に結紮切除術は有用か
CQ4.脱出性痔核に痔核を切除しない術式は有用か
CQ5.嵌頓痔核の急性期手術は有用か
II.痔瘻
総論
1.はじめに
2.疫学
3.病因
4.臨床所見
5.診断
6.治療
乳児痔瘻
1.疫学
2.病因
3.診断
4.治療
5.予後
クローン病に合併した痔瘻
1.はじめに
2.疫学
3.病因
4.臨床症状
5.診断
6.治療
CQ1.低位筋間痔瘻の根治術としてどの術式が有用か
CQ2.深部痔瘻の根治術としてどの術式が有用か
CQ3.乳児痔瘻の治療方針は
CQ4.クローン病に伴う痔瘻に外科的治療は有用か
CQ5.クローン病に伴う痔瘻に薬物療法は有用か
III.裂肛
総論
1.はじめに
2.疫学
3.病因
4.臨床所見
5.診断
6.治療
CQ1.裂肛の診断や治療法選択に肛門内圧検査は有用か
CQ2.裂肛に薬物による括約筋弛緩は有用か
CQ3.裂肛に外科的治療は有用か
IV.直腸脱
総論
1.はじめに
2.疫学
3.病因
4.臨床所見
5.診断
6.治療
CQ1.直腸脱の術前検査にデフェコグラフィは有用か
CQ2.直腸脱にバイオフィードバック療法・骨盤底筋体操は有用か
CQ3.直腸脱に対する経会陰手術の選択すべき術式は
CQ4.直腸脱に対する経腹手術の適応と選択すべき術式は
検索式一覧
システマティックレビュー結果
索引
改訂の序
肛門疾患は肛門科や消化器外科のみならず、内科や産婦人科などの他科の日常診療においても頻繁に遭遇するcommon diseasesです。古くから肛門疾患の良書は数多くありますが、これらの教科書は著者らの経験にもとづいた内容が多く、ときに主観的な意見が強調されていました。1990年代から普及した「エビデンスに基づく医療(evidence based medicine:EBM)」の考え方に則って作成された診療ガイドラインが各領域で次々と出版されるなかで、肛門疾患においても診療ガイドラインの刊行を要望する声が高まり、『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2014年版』が日本大腸肛門病学会のはじめて編集する診療ガイドラインとして2014年11月に刊行されました。おかげさまで現在にいたるまで本学会員ならびに非会員の多くの先生に利用されるガイドラインとなりましたが、作成当初より診断や治療法の進歩に合わせて5年ごとに改訂する方針が決められており、今回の改訂版に向けて2017年7月にガイドライン作成委員会を発足いたしました。
作成委員には肛門疾患への見識が深い肛門科専門医のexpertの先生にメンバーになっていただきました。また、作業の過程で文献のシステマティックレビューという膨大な労力を要するため、若いエネルギーに満ちた40歳代の先生にも各疾患に1名ずつ委員になっていただきました。作成委員会は2ヵ月に1回のペースで金曜日の午後5時.7時に品川の学会本部で開催され、討議に時間がかかる内容の委員会のときは休日に開催しました。作成委員の先生がたには多忙な日常診療業務のなかでスケジュール調整をしていただき、ほぼ毎回100%の出席率で参加していただきました。ひとえによりよいガイドラインを作成しようという委員各位の弛まない熱意と強い責任感によるものでした。
今回の改訂版の大きな特徴としては、2014年版でとりあげた痔核・痔瘻・裂肛の3大肛門疾患に、新たに直腸脱を加えました。直腸脱は直腸肛門外科領域においてその診断や治療法がいまだ十分に標準化されていない疾患であり、本ガイドラインに加えることによって肛門科医のみならず消化器外科医の日常の診療の参考になれば幸いです。また、今回の改訂版のもうひとつの大きな特徴として、Clinical Question(CQ)を診断・検査や治療法における臨床的重要課題に絞り込んだことにあります。2014年版にCQとして記載された疫学、病因、臨床所見、診断、ならびにほぼ確立されている治療法に関する解説は、総論としてコンパクトにまとめなおして各疾患の前半部分に掲載しました。これにより今回の改訂版だけでも総論的なレビューから、診断や治療方針の決定に参考になる臨床重要課題にいたるまで効率よく利用していただけることを目指しています。疾患の概念や疫学について調べたいときや、検査の適応や治療方法の選択に迷われたときに、本書が少しでも助けになることを作成委員一同で願っています。
最後に評価委員会およびパブリックコメントとして本ガイドラインを適正に評価していただき貴重なご意見をいただきました先生がたおよび患者代表の皆様、毎回の委員会にご出席いただき貴重な意見をいただきました聖路加国際大学学術情報センターマネジャーの河合富士美様、日本医学図書館協会の相澤まゆみ様、天野いづみ様、南江堂の枳穀智哉様、『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』の編集者の一人として作成方法のアドバイスをいただきました小島原典子先生に深謝申し上げます。
2020年1月
肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン作成委員会
委員長 山名哲郎