3ステップ解剖生理学
著 | : 開道貴信 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-22693-1 |
発行年月 | : 2022年10月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 288 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
正誤表
-
2024年11月27日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
管理栄養士,看護師を目指す学生に向けた教科書.解剖生理学のいろはから国試レベルの学習内容まで3ステップで学ぶことができる.Step 1,Step 2では高校までの復習も兼ねた解剖生理学の基礎を,Step 3では国試レベルの学習内容を掲載.丁寧な解説だけでなく,読者の理解を助ける豊富なイラストをフルカラーで掲載した,初学者にもおすすめの一冊.管理栄養士国家試験出題基準および看護師国家試験出題基準対応.
chapter1 細胞・組織
step 1 細胞・組織のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 細胞・組織の全体像をつかもう!
step 3 細胞・組織の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 階層
🅑 細胞
1. 細胞とは
2. 細胞膜
3. 核
4. ミトコンドリア
5. リボソーム
6. ゴルジ体
7. リソソーム
8. 滑面小胞体
9. 粗面小胞体
10. 中心体
11. 微絨毛
12. 線毛・鞭毛
13. 細胞質基質
14. 細胞骨格
🅒 細胞接着
1. 密着結合
2. 固定結合
3. ギャップ結合
🅓 細胞分裂
🅔 組織
1. 上皮組織
2. 支持組織
3. 結合組織
練習問題
chapter2 消化器系
step 1 消化器系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 消化器系の全体像をつかもう!
step 3 消化器系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 消化管
1. 構造
2. 機能
🅑 口腔
1. 口蓋
2. 舌
3. 唾液腺
4. 歯
🅒 咽頭
🅓 食道
🅔 胃
1. 構造
2. 機能
🅕 小腸
1. 十二指腸
2. 空腸・回腸
🅖 大腸
1. 盲腸
2. 結腸
3. 直腸・肛門
🅗 摂食・嚥下
🅘 栄養素の消化・吸収
1. 機械的消化
2. 糖質の消化・吸収
3. たんぱく質の消化・吸収
4. 脂質の消化・吸収
5. ミネラルの消化・吸収
6. ビタミンの消化・吸収
7. 水分の吸収
🅙 消化管ホルモン
1. ガストリン
2. ヒスタミン
3. セクレチン
4. コレシストキニン
5. インクレチン
6. セロトニン
7. グレリン
🅚 肝臓
1. 構造
2. 機能
🅛 胆嚢・胆道
1. 構造
2. 機能
🅜 膵臓
1. 構造
2. 機能
練習問題
chapter3 血液・凝固系
step 1 血液・凝固系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 血液・凝固系の全体像をつかもう!
step 3 血液・凝固系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 血液
1. 血液とは
2. 血液の物理化学的特性
🅑 血漿
1. 血漿とは
2. 成分
🅒 造血
1. 血球の分化と成熟
2. 造血因子
🅓 赤血球
1. 赤血球とは
2. 構造
3. 機能
4. 寿命
5. 検査指標
6. 形成
7. 酸素運搬
8. 胎児ヘモグロビン
9. 一酸化炭素中毒
10. ハプトグロビン
11. 血液型
🅔 白血球
🅕 血小板
🅖 止血
1. 止血とは
2. 凝固因子
3. ビタミンK
4. 線溶系
練習問題
chapter4 循環器系
step 1 循環器系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 循環器系の全体像をつかもう!
step 3 循環器系の
構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 循環器系
🅑 心臓
1. 構造
2. 機能
🅒 血管
1. 動脈
2. 静脈
3. 毛細血管
🅓 リンパ管
🅔 循環調節
練習問題
chapter5 呼吸器系
step 1 呼吸器系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 呼吸器系の全体像をつかもう!
step 3 呼吸器系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 呼吸器
1. 呼吸とは
2. 呼吸器とは
🅑 肺
1. 構造
2. 機能
🅒 上気道
1. 鼻腔
2. 喉頭
🅓 下気道
1. 気管
2. 気管支・細気管支
🅔 呼吸部
1. 構造
2. 機能
🅕 呼吸運動
1. 胸郭と胸腔
2. 呼吸筋
3. 呼吸運動
🅖 肺循環
🅗 外呼吸と内呼吸
🅘 ガス分圧
1. ガス分圧とは
2. 血中酸素
3. 血中二酸化炭素
🅙 呼吸機能検査
1. 肺気量分画
2. 呼吸機能指標
3. 呼吸商
4. 呼吸調節
練習問題
chapter6 泌尿器系
step 1 泌尿器系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 泌尿器系の全体像をつかもう!
step 3 泌尿器系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 泌尿器系
1. 泌尿器系とは
2. 尿
🅑 腎臓の構造
🅒 腎臓の機能
1. 尿の生成
2. 腎機能の血液指標
🅓 腎関連ホルモン
1. バソプレシン
2. レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系
3. 心房性ナトリウム利尿ペプチド
4. エリスロポエチン
🅔 腎臓のカルシウム調節
🅕 尿管・膀胱・尿道
1. 尿管
2. 膀胱
3. 尿道
🅖 排尿のしくみ
🅗 体液
1. イオン組成
2. 半透膜
3. 拡散と浸透
4. 血漿浸透圧
5. 尿浸透圧
6. 尿比重
🅘 水分出納
🅙 pH 調節
1. pH とは
2. 酸の排泄
3. 体液のpH 調節
練習問題
chapter7 内分泌系
step 1 内分泌系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 内分泌系の全体像をつかもう!
step 3 内分泌系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 内分泌
1. 内分泌とは
2. ホルモン
🅑 内分泌腺
🅒 膵臓のホルモン
1. 膵臓のホルモンの種類
2. インスリン
3. グルカゴン
4. ソマトスタチン
🅓 脂肪細胞の生理活性物質
1. 脂肪細胞とは
2. アディポネクチン
3. レプチン
4. TNF-α
🅔 副腎のホルモン
1. 副腎とは
2. 鉱質コルチコイド
3. 糖質コルチコイド
4. アンドロゲン
5. カテコラミン
🅕 下垂体・視床下部のホルモン
1. 下垂体・視床下部とは
2. 下垂体前葉ホルモン
3. 下垂体後葉ホルモン
4. 下垂体中葉ホルモン
5. 視床下部ホルモン
🅖 甲状腺のホルモン
1. 甲状腺とは
2. 甲状腺のホルモン
🅗 副甲状腺のホルモン
1. 副甲状腺とは
2. 副甲状腺ホルモン
🅘 性腺ホルモン
1. 性腺とは
2. 男性ホルモン
3. 女性ホルモン
練習問題
chapter8 神経系
step 1 神経系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 神経系の全体像をつかもう!
step 3 神経系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 神経
1. 神経とは
2. 神経組織
3. 神経細胞の興奮・伝導・伝達
🅑 中枢神経
1. 脳
2. 脊髄
🅒 脳室と脳脊髄液
1. 脳室
2. 脳脊髄液
🅓 髄膜
🅔 末梢神経
1. 脳神経と脊髄神経
2. 体性神経・内臓神経・特殊感覚神経
3. 有髄神経と無髄神経
🅕 情報が伝導する経路
1. 運動系回路(下行性伝導路)
2. 感覚系回路(上行性伝導路)
3. 反射
🅖 自律神経
1. 自律神経とは
2. 交感神経
3. 副交感神経
4. 神経伝達物質
5. 自律神経症状
6. ストレス応答
🅗 神経系の血管
1. 脳動脈
2. 脳静脈
🅘 発生
🅙 睡眠と覚醒
練習問題
chapter9 感覚器系
step 1 感覚器系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 感覚器系の全体像をつかもう!
step 3 感覚器系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 感覚器
1. 感覚とは
2. 特殊感覚
🅑 嗅覚
1. 嗅覚とは
2. 嗅覚器
🅒 視覚
1. 視覚器
2. 外膜
3. 中膜
4. 内膜
5. 眼球内容
6. 眼球付属器
7. 視覚伝導
8. 視力と視野
🅓 聴覚
1. 聴覚器
2. 音の受容器
3. 聴覚伝導
4. 聴力
🅔 平衡覚
1. 前庭器官
2. 平衡覚伝導
🅕 味覚
1. 味覚器
2. 味覚伝導
練習問題
chapter10 運動器(筋・骨格)系
step 1 運動器(筋・骨格)系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 運動器(筋・骨格)系の全体像をつかもう!
step 3 運動器(筋・骨格)系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 運動器
🅑 骨格筋
1. 骨格筋とは
2. 骨格筋の収縮
3. 骨格筋のエネルギー代謝
4. 主な骨格筋
🅒 骨
1. 骨とは
2. 分類
3. 構造
4. 成分
5. 機能
6. 骨の成長
7. 骨の維持
8. 骨の治癒過程
9. 主な骨
🅓 軟骨
1. 軟骨とは
2. 軟骨の種類
🅔 結合
1. 不動性結合
2. 可動性結合
3. 靭帯と腱
練習問題
chapter11 免疫・アレルギー系
step 1 免疫・アレルギー系のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 免疫・アレルギー系の全体像をつかもう!
step 3 免疫・アレルギー系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 免疫
1. 免疫とは
🅑 非特異的免疫
1. 体表面による非特異的免疫
2. 免疫細胞による非特異的免疫
🅒 特異的免疫
🅓 液性免疫
1. Bリンパ球(B 細胞)
2. 抗体
3. 肥満細胞
🅔 細胞性免疫
1. Tリンパ球(T 細胞)
2. 胸腺
3. T 細胞の抗原認識
4. 抗原提示
🅕 補体
🅖 サイトカイン
🅗 能動免疫と受動免疫
1. 能動免疫
2. 受動免疫
🅘 脾臓,リンパ節
1. 脾臓
2. リンパ節
🅙 アレルギー
1. T型アレルギー
2. U型アレルギー
3. V型アレルギー
4. W型アレルギー
🅚 免疫不全
練習問題
chapter12 皮膚組織と恒常性
step 1 皮膚組織と恒常性のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 皮膚組織と恒常性の全体像をつかもう!
step 3 皮膚組織と恒常性を系統的に学ぼう!
🅐 皮膚とは
1. 皮膚とは
2. 体表面積
🅑 皮膚の構造
1. 表皮
2. 真皮
3. 皮下組織
🅒 皮膚の機能
1. ビタミンD 産生
🅓 皮膚感覚
1. 痛覚
2. 温度覚
3. 触圧覚
4. 深部感覚
🅔 皮膚付属器
1. 毛
2. 脂腺
3. 汗腺
4. 爪
🅕 体温調節
🅖 ヒトの恒常性
1. 概日リズム
2. 核心温度と外殻温度
練習問題
chapter13 生殖器系
step 1 生殖器系の
あらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 生殖器系の全体像をつかもう!
step 3 生殖器系の構造と機能を系統的に学ぼう!
🅐 生殖器
1. 生殖器とは
🅑 男性生殖器
1. 精巣
2. 精巣上体
3. 精管
4. 精嚢
5. 前立腺
6. 陰茎
7. 陰嚢
🅒 女性生殖器
1. 卵巣
2. 卵管
3. 子宮
4. 膣
5. 外陰部
6. 会陰部
7. 乳房
🅓 性周期
1. 卵巣周期
2. 月経周期
🅔 生殖器の発達過程
練習問題
chapter14 ヒトの一生
step 1 ヒトの一生のあらましと基礎用語をおさえよう!
step 2 ヒトの一生の全体像をつかもう!
step 3 ヒトの一生を系統的に学ぼう!
🅐 受精
1. 先体反応と透明帯反応
2. 卵割・着床
3. 妊娠の成立
4. 胎芽期
🅑 胎児期
1. 胎児の成長
2. 胎児付属物
3. 胎児循環
4. 妊娠中の母体変化
🅒 出生
1. 分娩
2. 分娩の前徴
3. 正常分娩
4. 出生後の胎児循環
5. 産褥期
6. 乳汁分泌
🅓 新生児期・乳児期
1. 新生児期・乳児期の特徴
2. 新生児・乳児の発育・発達
🅔 成長期
1. 発育パターン
2. 身長の変化
🅕 成人期・高齢期
1. 成人期
2. 高齢期
3. 細胞老化
🅖 死
1. 死の3徴候
2. 植物状態
3. 脳死
4. 細胞死
5. 死の受容
練習問題
解答・解説
索引
みなさん,こんにちは.この本を手に取ってくださり,ありがとうございます.本書はみなさんが解剖生理学を分かりやすく学んで頂くために作りました.解剖生理学といいますと随分お堅く聞こえますが,一言でいうと,わたしたち人間がどのようにかたち作られ,体内がどのようにはたらいているか,ということを学ぶものです.そう聞くと身近に思えそうなのに,やっぱり解剖生理学が身近に思えないのは,普段の生活で身体についてとくに強く意識することはあまりないからだと思います.しかし,あまり意識せずともきちんと身体のかたちやはたらきが損なわれずに生活できるほど,身体がしっかり機能しているのだともいえます.
解剖生理学を学ぶ方の多くは,医療に関係する分野の学びを修めることを目指す養成課程に通う学生であろうかと思います.医療職の場合は,心身に病気を抱えた人々を対象としますから,その対応法を学びさえすればよいから,あまり興味を持ちにくい基礎医学の解剖生理学なんて学びたくないよ,という声も聞こえてきそうです.医学部医学科でも,基礎医学を学ぶ時期は,ちょうど学業以外にも部活やアルバイトや遊びで忙しい頃でもあります.だから,基礎医学の学びは単位が取れるギリギリにしておいて,臨床医学や専門課程に入ったら興味が向くに任せて勉強に励めばいいかな,という傾向もよくみられます.それでも良いと思います.
ただ,そんな風に基礎医学の学びは最低限にしておいて,専門科目から本腰を入れて学び始めた人たちや,養成課程を卒業して専門職に就いた人たちが口々にいうことは,「あのときもっと基礎医学を勉強しておいたら良かったわ.」という言葉です.かくいう著者のわたしも,医師になってから「もっと学生時代勉強しておけば…」と何度もつぶやいていましたので同類です.わたしにとって解剖学や生理学は,学生の頃は興味深くのめり込んで学んだ科目でありました.それでも,知識でいえば医師をしながら得ていく経験知は,学生時代に講義や教科書で学ぶ形式知とは,全く別のものであると身をもって学びました.仕事の現場で必要な経験知は,教科書で学んだ形式知をすぐに応用することはできないのです.
それでも形式知と呼ぶ,学校で学ぶ知識は,あとからとても役に立ちます.仕事の現場で得られる経験知の量は,何年かするといつしか頭打ちになります.そこでいよいよ活きてくるのが,形式知です.これまで学校や家庭で学んだり社会に出た後から教科書を読み直したりして得ていく形式知が,徐々に現場で使える経験知に変わっていくのです.学生時代で得てきた形式知の質や量が,経験知の懐の深さを導くといっていいでしょう.近年,リカレント教育という言葉を耳にします.学校教育から離れて,いったん社会人となった後でも大学などで再び受ける教育を指します.これこそまさに,形式知の大切さを知った方が形式知を求めている姿で,素敵ですね.
本書では,学びを3 ステップに分けて学びやすく構成しています.まずステップ1 として,分野ごとに登場する重要用語の確認をしていきます.用語が日本語であると,つい知ったかぶってしまいますが,例えば動脈血という用語は,動脈にある血液という意味だと思い込んでしまうと,解釈を誤ってしまいます.次にステップ2 では,各分野のエッセンスを解説して,軸となる知識を学んでもらいます.そしてステップ3 では,看護師や管理栄養士などの最新の国家試験出題基準を満たし,国家試験レベルにも対応した専門的内容が学べます.また最近話題の知見についても記載しています.
「少年老い易く学成り難し」ということわざがあります.現代風に解釈すると,学生時代にまだまだ先は長いと思って学問を後回しにしてしまっていると,そのうちにすぐ歳を取ってしまって学べないまま年老いてしまうよ,というところでしょうか.また,勉強している人は,いくつになっても若いものです.さあみなさんご一緒に,解剖生理学を楽しんで学んでみましょう.
開道 貴信