書籍

新 呼吸器専門医テキスト改訂第2版

編集 : 日本呼吸器学会
ISBN : 978-4-524-22689-4
発行年月 : 2020年8月
判型 : B5
ページ数 : 726

在庫あり

定価17,600円(本体16,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本呼吸器学会編集による「呼吸器専門研修カリキュラム」に準拠したテキストの改訂版。2019年のカリキュラム改定に対応。総論では呼吸器の形態・機能、病態生理から症候、身体所見、各種検査、治療手技までを解説。各論では呼吸器科医に必要な各呼吸器疾患を解説。各項の冒頭には「到達目標」を提示し、巻末付録には専門医試験の過去問題を掲載している。専門医を目指す医師の自己学習のため、ならびに専門医取得者の知識更新に必携の一冊。

総論
 I 形態,機能,病態生理
  1.呼吸器の発生
  2.呼吸器の構造
  3.呼吸生理
  4.呼吸器の生体防御機構
  5.肺の代謝機能
  6.呼吸器の加齢
 II 疫学
 III 主要症候と身体所見
  1.せき(咳)
  2.痰
  3.血痰,喀血
  4.呼吸困難,息切れ
  5.喘鳴
  6.胸痛
  7.嗄声(音声障害)
  8.チアノーゼ
  9.バチ指
  10.腫瘍随伴症候群
  11.異常呼吸
  12.胸部身体所見(視診,触診,打診,聴診)
 IV 検査
  1.血液一般検査および生化学検査
  2.免疫学的検査(皮膚テストを含む)
  3.腫瘍マーカー
  4.感染症の診断法
  5.喀痰採取法と細胞診
  6.その他の遺伝子診断法
  7.胸部X線検査法
   A.透視
   B.単純撮影
   C.肺血管造影
   D.胸部CT
   E.胸部MRI
  8.核医学的診断法
   A.肺血流シンチグラフィ
   B.肺換気シンチグラフィ
   C.骨シンチグラフィ
   D.ガリウム-67シンチグラフィ
   E.陽電子放出断層撮影(PET)
  9.内視鏡検査および生検法
   A.気管支鏡検査
    1)観察
    2)直視下生検,擦過
    3)気管支洗浄
    4)経気管支生検,擦過
    5)経気管支肺生検
    6)気管支肺胞洗浄
    7)超音波気管支鏡下針生検
   B.胸腔鏡検査
  10.その他の生検法
   A.前斜角筋リンパ節生検
   B.経皮的生検,吸引細胞診
   C.外科的肺生検
   D.外科的胸膜生検
  11.胸腔穿刺術,胸部超音波検査法
  12.肺音の分析
  13.心電図
  14.呼吸機能検査
   A.換気力学検査
    1)スパイロメトリー
    2)肺気量分画
    3)フローボリューム曲線
    4)抵抗
    5)コンプライアンス
    6)クロージングボリューム検査
    7)呼吸筋の評価
   B.ガス交換機能
    1)呼気ガス分析
    2)肺胞換気量
    3)換気血流比
    4)拡散能力
   C.気道過敏性・可逆性試験
   D.動脈血ガス分析
    1)動脈血ガス
    2)酸塩基平衡
   E.パルスオキシメータ
   F.右心カテーテル法
   G.運動負荷試験
   H.呼吸中枢機能検査
   I.睡眠呼吸モニター
  15.肺がん検診
   A.胸部X線と高危険群に対する喀痰細胞診併用法
   B.低線量CT肺がん検診
 V 治療
  1.薬物療法
   A.吸入療法
   B.気管支拡張薬
   C.鎮咳薬,喀痰調整薬(去痰薬)
   D.抗菌薬
   E.副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬
   F.抗アレルギー薬
   G.生物学的製剤(抗IgE抗体薬,抗IL-5抗体薬を含む)
   H.漢方薬
   I.抗悪性腫瘍薬
   J.抗悪性腫瘍薬の有害反応緩和治療
   K.疼痛緩和治療
   L.有害事象対策(救済制度や報告義務などの社会的対策)
  2.酸素療法
  3.一次・二次救命処置
  4.気管挿管
  5.気管切開
  6.人工呼吸管理,ベンチレーター
  7.NPPV
  8.中心静脈圧測定
  9.輸液
   A.水・電解質輸液
   B.高カロリー輸液
  10.経管栄養
  11.胸腔ドレナージ
  12.内視鏡的気道吸引
  13.内視鏡的気道内異物除去
  14.内視鏡的治療
   A.止血法
   B.呼吸器インターベンション治療(レーザー照射,ステント留置など)
   C.気管支熱形成術
  15.放射線療法
  16.気管支動脈塞栓術
  17.アレルゲン免疫療法
  18.呼吸リハビリテーション
  19.体位ドレナージ療法
  20.在宅呼吸療法
   A.在宅酸素療法
   B.在宅人工呼吸
  21.外科療法
   A.開胸法(側方開胸,胸骨正中切開)
   B.肺切除術,肺全摘術
   C.隣接臓器合併切除
   D.気管・気管支形成術
   E.胸腔鏡手術
   F.縦隔リンパ節郭清術
   G.膿胸の手術
   H.肺嚢胞・気胸の手術
  22.肺移植
  23.禁煙指導・治療
  24.呼吸器疾患の緩和ケア
   A.悪性腫瘍
   B.非悪性腫瘍
各論
 I 気道・肺疾患
  1.感染症および炎症性疾患
   A.急性上気道感染症
   B.急性気管支炎
   C.急性細気管支炎
   D.細菌性肺炎
   E.肺膿瘍
   F.誤嚥性肺炎
   G.リポイド肺炎
   H.マイコプラズマ肺炎
   I.クラミドフィラ(クラミジア)肺炎
   J.レジオネラ肺炎
   K.ウイルス性肺炎
   L.真菌症
    1)肺アスペルギルス症
    2)肺クリプトコックス症
    3)その他の肺真菌症
   M.肺結核症
   N.非結核性抗酸菌症
   O.肺寄生虫症
   P.ニューモシスチス肺炎
   Q.日和見感染
  2.慢性閉塞性肺疾患
  3.気管支・細気管支の疾患
   A.気管支拡張症
   B.閉塞性細気管支炎
   C.びまん性汎細気管支炎
   D.嚢胞性肺疾患
   E.無気肺
  4.アレルギー性疾患
   A.気管支喘息
   B.咳喘息
   C.好酸球性肺炎
    1)急性好酸球性肺炎
    2)慢性好酸球性肺炎
   D.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
   E.過敏性肺炎
  5.特発性間質性肺炎
   A.慢性肺線維化性間質性肺炎
    1)特発性肺線維症
    2)非特異性間質性肺炎
   B.喫煙関連間質性肺炎
    1)呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患
   C.急性・亜急性間質性肺炎
    1)特発性器質化肺炎
    2)急性間質性肺炎
   D.まれな特発性間質性肺炎
    1)特発性リンパ球性間質性肺炎
    2)特発性pleuroparenchymal fibroelastosis
   E.特発性間質性肺炎,まれな組織学的パターン
    1)acute fibrinous and organizing pneumonia(AFOP)
    2)bronchiolocentric patterns of interstitial pneumonia(BPIP)
   F.分類不能型間質性肺炎
  6.急性呼吸窮迫症候群
  7.薬剤,化学物質,放射線による肺障害
   A.薬剤性肺障害
   B.化学薬品,重金属などによる肺障害
   C.酸素中毒
   D.大気汚染,室内空気汚染
   E.パラコート中毒
   F.放射線肺炎
  8.全身性疾患に伴う肺病変
   A.膠原病および類縁疾患に伴う肺病変
   B.サルコイドーシス
   C.Langerhans細胞組織球症
   D.アミロイドーシス
   E.悪性リンパ腫,白血病
    1)原発性および続発性胸部悪性リンパ腫
    2)白血病
   F.移植関連肺障害(肺移植以外によるもの)
  9.じん肺症
   A.珪肺症
   B.石綿肺
   C.有機じん肺
   D.その他のじん肺
    1)溶接工肺
    2)超硬合金肺
  10.肺循環障害
   A.肺うっ血,肺水腫
   B.肺性心
   C.肺動脈性肺高血圧症
   D. 肺血栓塞栓症,肺梗塞
   E. 肺動静脈瘻
   F. 肺分画症
  11.肺腫瘍
   A.腫瘍様病変
   B.非上皮性成分を含む病変
    1)リンパ増殖性疾患
    2)間葉系腫瘍
   C.上皮性腫瘍:良性
   D.転移性肺腫瘍
   E.原発性肺癌
    1)前浸潤性病変
    2)腺癌
    3)扁平上皮癌
    4)神経内分泌腫瘍
    5)大細胞癌
    6)腺扁平上皮癌
    7)肉腫様癌
    8)分類不能癌
    9)唾液腺型腫瘍
  12.呼吸調節障害
   A.閉塞性睡眠時無呼吸症候群
   B.中枢性睡眠時無呼吸症候群
   C.低換気症候群
   D.過換気症候群
  13.その他の肺疾患(比較的まれな肺疾患)
   A.肺胞蛋白症
   B.リンパ脈管筋腫症
   C.気管支結石症
   D.肺胞微石症
   E.嚢胞性線維症
   F.特発性肺血鉄症
   G.抗GBM抗体病(Goodpasture症候群),肺胞出血
   H.血管炎を伴う肺病変(多発血管炎性肉芽腫,好酸球性肉芽腫性多発血管炎)
   I.線毛不動症候群
 II 呼吸不全
  1.急性呼吸不全
  2.慢性呼吸不全
 III 胸膜疾患
  1.気胸
  2.胸膜炎
  3.膿胸
  4.血胸
  5.乳び胸
  6.胸膜肥厚斑,胸膜斑
  7.胸膜中皮腫
  8.その他の胸膜腫瘍
 IV 横隔膜疾患
  1.横隔膜麻痺
  2.横隔膜ヘルニア
  3.横隔膜腫瘍
  4.横隔膜弛緩症
  5.横隔膜の炎症
 V 縦隔疾患
  1.縦隔気腫
  2.縦隔腫瘍
   A.胸腺腫
   B.胚細胞腫瘍
   C.神経性腫瘍
   D.嚢胞性腫瘍
  3.縦隔炎
 VI 胸郭,胸壁の疾患
  1.胸部外傷
  2.漏斗胸
付録
 1.呼吸器専門医試験過去問−解答と解説
 2.呼吸器専門研修カリキュラム
日本呼吸器学会専門医テキスト初版編集委員会・執筆者

改訂第2版序文

 日本呼吸器学会が認定する呼吸器専門医を目指す医師向けに作成された『新 呼吸器専門医テキスト』は、2015年に初版が発刊され、5年を経てこの度改訂第2版を刊行する。この間、呼吸器領域においては、その病態が解明された疾患もあり、新分類の提唱、新規の診断法、治療薬や治療手技が開発され、医学あるいは医療としての呼吸器病学は大きく進歩した。特に、分子標的治療の急速な進展と新規抗体医薬の開発は目を見張るものがある。
 一方、新専門医制度では、日本専門医機構により内科などの基本領域での研修が年から開始され、呼吸器専門医を育成するサブスペシャリティ領域の研修もはじまった。サブスペシャリティ領域は、より細分化した領域の専門知識や技術を身につけるものである。しかし、医学や医療が急速に進歩し、専門領域もさらに細分化されてきた。呼吸器専門医であってもすべての呼吸器疾患診療に精通することは困難な時代になっている。呼吸器病学を学ぶ初期研修医や専攻医にとっては、各疾患の診断と治療の情報を網羅することは特に難しい。それらを容易にする目的で作成された本書の意義は非常に大きいと言える。
 今回の改訂では、日本呼吸器学会教育委員会と各学術部会が共同で編集委員会を組織するとともに、専門医制度統括委員会や試験委員会の委員の方々にも編集に参加いただいた。初版と同様に「呼吸器専門研修カリキュラム」に準拠し、最新動向を踏まえた構成をとっている。内容は、基本的な事項は初版を引き継ぎ、新知見を数多く追加したため、領域によっては大幅に改訂した。執筆者は各分野のエキスパートであり、複数の査読者により内容が吟味されている。呼吸器専門医に欠かせない知識は網羅しており、専門医取得に重要な一冊である。
 残念ながら、2020年4月現在世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症に関しての内容は、編集・刊行の時期の問題で本書には含まれていない。状況は日々刻々と変化するが、現時点では治療に関する知見も限られている。緊急性の高い事項に関し、数多くの情報を集約し迅速に整理してテキストに掲載するのは難しい作業であり、インターネットを利用した情報配信に期待したい。日本呼吸器学会では、ネットを介した学習システム(e-learningシステム)を配信している。呼吸器専門医取得のための教育コンテンツや呼吸器科医の生涯教育としてのWebトレーニングなどを含んでいる。本テキストとともにe-learningも是非利用していただきたい。
 最後に、本テキストの編集、執筆、査読にご協力いただいた数多くの方々に深謝申し上げるとともに、本テキストが呼吸器病学を習得する助けとなり、有効活用されて、呼吸器病学の発展や呼吸器診療の向上に役立つことを願っている。

2020年4月
日本呼吸器学会教育委員会
委員長 井上博雅

9784524226894