白血病治療マニュアル改訂第4版
監修 | : 宮脇修一/中尾眞二 |
---|---|
編集 | : 清井仁/宮本敏浩 |
ISBN | : 978-4-524-22664-1 |
発行年月 | : 2020年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 366 |
在庫
定価8,470円(本体7,700円 + 税)
正誤表
-
2022年01月17日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
白血病患者の治療方針を立てるために必要な治療選択から各種プロトコール、支持療法、合併症対策までを盛り込んだマニュアル書の改訂第4版。今改訂では、分子標的治療薬を用いた最新のプロトコールを盛り込み、内容をアップデート。また白血病治療において重要性が増している「微小残存病変の評価と対応」について、1章を割いて解説。ベッドサイドマニュアルとして、血液内科医必携の一冊。
第I章 治療の前に
1.白血病の治療指針
A 白血病の治療理念
B 白血病治療前の評価事項
C 急性白血病の治療方針
1.急性骨髄性白血病
2.急性リンパ性白血病
D 白血病の治療評価
E 同種造血幹細胞移植
2.インフォームド・コンセント
A がん告知におけるインフォームド・コンセント
1.インフォームド・コンセントの基本的事項
2.インフォームド・コンセントにおけるコミュニケーション・スキル
B 白血病診療におけるインフォームド・コンセントの注意点・留意点
1.初発時のインフォームド・コンセント
2.同種移植を含めた治療方針の検討
3.薬剤用量の算定法−体表面積と体重kg当たり投与量
A 体表面積の算定方法
B 薬物動態に影響を与える因子
C BSA以外の薬剤用量の算定方法
D 肥満者に対する薬剤用量の算定
4.白血病の診断・治療に必要な遺伝子検査:precision medicineの実践に向けて
A がん治療におけるprecision medicine
B 遺伝子異常の検出法について
C がん遺伝子パネル検査の血液内科臨床における有用性について
1.造血器腫瘍の「診断」におけるがん遺伝子パネル検査の有用性
2.造血器腫瘍の「治療」におけるがん遺伝子パネル検査の有用性
3.造血器腫瘍の「予後予測」におけるがん遺伝子パネル検査の有用性
D 今後の課題と展望
5.免疫療法
A 抗白血病効果のメカニズム
1.同種造血幹細胞移植後の抗白血病効果の発見
2.T細胞と抗原認識
3.T細胞への共刺激分子
4.B細胞,NK細胞と免疫療法
B 白血病に対する免疫療法
1.抗腫瘍性化学物質結合抗体
2.blinatumomab
3.キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法
4.免疫チェックポイント阻害薬
第II章 治療のプロトコール
1.急性骨髄性白血病(AML)
A 分子病態と予後
A AMLの発症機構
1.多段階白血化機構
2.AMLの多様性
3.クローン性造血と前白血病幹細胞
B 病型分類
C 予後分類
D 今後の展望
1.白血病幹細胞特性と臨床的予後の関連性
2.機能的マルチオミクス解析
B fit初発例の治療プロトコール
A 寛解導入療法
B 寛解後療法(CBF-AMLを除く)
C CBF-AMLにおける寛解後療法
D AMLにおける維持療法
C unfit初発例の治療プロトコール
A “unfit”の定義
B cytarabine(Ara-C)少量療法
1.概要
2.実施上の注意
C CAG療法
1.概要
2.実施上の注意
D azacitidine(AZA)療法
1.概要
2.実施上の注意
E 今後の展望
D 再発・難治例の治療プロトコール
A 再発・難治の定義
B 再発・難治AML治療の考え方
C 救援化学療法
D 救援療法の指針
E 強力な再寛解導入療法
1.cytarabine(Ara-C)大量+アントラサイクリン系薬剤
2.cytarabine+etoposide+mitoxantrone
F 非強力化学療法,分子標的療法
1.gemtuzumab ozogamicin(GO)
2.FLT3阻害薬
E 急性骨髄性白血病に対する造血幹細胞移植
A 第一寛解期における造血幹細胞移植の適応
B 第一寛解期AMLに対する自家造血幹細胞移植
C 再発・非寛解AMLに対する造血幹細胞移植
D 高齢者AMLに対する同種造血幹細胞移植
2.急性前骨髄球性白血病(APL)
A 分子病態と予後
A APLに認める遺伝子異常
B レチノイン酸受容体の機能
C PML-RARAの分子メカニズム
D ATRAの作用機序
E ATOの作用機序
F ATRA,ATOに対する薬剤耐性
G APLの予後
H APLにおける微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の評価
B 初発例の治療プロトコール
A JALSG APL204試験の概要
B 寛解導入療法
1.APL204プロトコールの寛解導入療法
2.播種性血管内凝固対策
3.分化症候群対策
4.治療効果判定
C 地固め療法
D 維持療法
E APL204試験の治療成績
F 高齢者の治療
G ATRA+ATO療法
C 再発・難治例の治療プロトコール
A 再発・難治APLに対する救援薬
1.亜ヒ酸(三酸化ヒ素arsenic trioxide:ATO)
2.gemtuzumab ozogamicin(GO)
3.tamibarotene(Am80)
4.造血幹細胞移植(HSCT)
B 国内における標準治療(JALSG APL205R)−65歳以下の移植可能症例−
1.再寛解導入療法
2.髄腔内注入
3.地固め療法(第1,2コース)
4.地固め療法(第3コース)(末梢血幹細胞採取)
5.自己末梢血幹細胞採取(PBSCH)
6.自己末梢血幹細胞移植
3.骨髄異形成症候群(MDS)
A 分子病態と予後
A 分子病態
1.コピー数異常
2.遺伝子変異
3.病期の進展に関わる遺伝子変異
4.胚細胞変異
B 予後予測因子
1.IPSS/WPSS/IPSS-R
2.LR-PSS
3.CMMLに対する予後因子
4.造血幹細胞移植後の予後因子
B 骨髄異形成症候群の治療プロトコール
A 治療選択の概要
1.MDSの特徴
2.治療アルゴリズム
B 予後予測と層別化
1.予後を規定する臨床的因子
2.予後予測スコア
3.予後予測スコアによる層別化
C 低リスクMDSに対する治療
1.低リスクMDSに対する治療の考え方
2.支持療法
3.赤血球造血刺激因子
4.lenalidomide
5.鉄キレート療法
6.その他
D 高リスクMDSに対する治療
1.高リスクMDSに対する治療の考え方
2.azacitidine
3.化学療法
4.その他
C 骨髄異形成症候群に対する造血幹細胞移植
A ガイドラインによるHSCTの適応
B 患者に対するHSCT適応の判断
C HSCTを行う時期
D HSCTまでの橋渡し治療
E 前処置
F ドナーと移植片
G GVHD予防
4.急性リンパ性白血病(ALL)
A 分子病態と予後
A ETV6-RUNX1を伴うALL
B TCF3-PBX1を伴うALL
C KMT2A(MLL)融合遺伝子を伴うALL
D BCR-ABL1を伴うALL
E DUX4融合遺伝子を伴うALL
F ZNF384融合遺伝子を伴うALL
G MEF2D融合遺伝子を伴うALL
H BCR-ABL1-like ALL(BCR-ABL1以外のキナーゼ融合遺伝子を伴うALL)
I 遺伝子病型と予後
B 初発Ph染色体陰性例の治療プロトコール
A ALL202-U
1.induction therapy(第1〜5週)
2.consolidation therapy(第6〜9週)
3.sanctuary therapy(第10〜11週)
4.reinduction therapy(第12〜15週)
5.reconsolidation therapy(第16〜19週)
6.maintenance therapy(第20〜98週)
B ALL202-O
1.induction therapy
2.consolidation therapy
3.maintenance therapy
C 高齢者(65歳以上)の治療
C Ph染色体陽性例の治療プロトコール
A JALSG Ph(+)ALL208の寛解導入療法(15〜64歳:ただし60歳以上は後述の減量規定あり)
1.治療遂行上の注意点
B JALSG Ph(+)ALL208の地固め療法
1.地固め療法の開始基準
2.C1遂行上の注意点(ただし60歳以上はAra-Cの減量規定あり)
3.C2遂行上の注意点
C JALSG Ph(+)ALL208の維持療法
1.維持療法の開始基準
2.治療遂行上の注意点
D JALSG Ph(+)ALL208の造血幹細胞移植
1.移植遂行上の注意点
E JALSG Ph(+)ALL208の中枢神経白血病の治療
1.治療遂行上の注意点
F 治療中の微小残存病変(MRD)について
D 再発難治例の治療プロトコール
A 再発難治Ph(−)ALL
1.化学療法
2.blinatumomab
3.inotuzumab ozogamicin
4.tisagenlecleucel
5.HSCT
B 再発難治Ph(+)ALL
1.TKI±化学療法 or TKI±corticosteroids
2.blinatumomab(TKI intolerant/refractory)
3.inotuzumab ozogamicin(TKI intolerant/refractory)
4.tisagenleceucel
5.HSCT
E 急性リンパ性白血病に対する造血幹細胞移植
A 移植適応
1.Ph(−)ALL
2.Ph(+)ALL
3.AYA世代
4.高齢者
B ドナー選択
C 移植前処置
1.骨髄破壊的前処置(myeloablative conditioning:MAC)
2.強度減弱前処置(reduced-intensity conditioning:RIC)
D 維持療法
E 再発後の治療
F 移植成績
5.慢性骨髄性白血病(CML)
A 分子病態と予後
A 慢性骨髄性白血病におけるPhiladelphia染色体
B CMLの進展に関わる遺伝子異常
C CMLの治療ターゲット候補分子
1.Wnt
2.Hedgehog
3.Alox5
D CMLの予後
B 慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)の治療プロトコール
A 治療方針
1.治療効果判定,忍容性に基づいた治療選択145
2.治療効果とその臨床的意義
3.TKIの長期投与に伴う有害事象について
B TKIの中止について
C その他の治療
C 移行期・急性期慢性骨髄性白血病(CML-AP,BP)の治療
A APおよびBPの定義
B 疾患進展のメカニズム
C AP,BPの治療
1.TKI未治療のAP症例
2.TKI治療中にCPから進展したAP症例およびBP症例
3.ドナー検索と同種造血幹細胞移植
D AP症例における診断時の予後層別化
D treatment-free remission
A TFRとは
B TFR成功のための治療条件
C 現在の診療ガイドライン
D TFRを必要とする症例とTKIを続けるべき症例
E DMRを達成し継続するための治療プロトコール
1.慢性期CMLに対する第一選択薬
2.慢性期CMLに対するTKI不耐容・抵抗性のための第二選択薬
3.TKI併用療法
4.TKIの減量について
6.慢性リンパ性白血病(CLL)
A CLLの分子病態と予後
1.形態的・免疫学的表現型
2.分子病態と予後
B CLLの治療プロトコール
1.治療開始のタイミング
2.検査
3.初回治療の選択肢
4.再発・難治例の治療選択肢
5.同種造血幹細胞移植
6.新規治療薬
第III章 微小残存病変(MRD)の意義
1.MRDの測定・評価法
A MFCによるMRD評価
B RT-PCRによる遺伝子発現量評価
1.キメラ遺伝子
2.変異遺伝子発現量
3.WT1遺伝子発現量
C 免疫グロブリン遺伝子/T細胞受容体遺伝子(Ig/TCR)再構成を用いた急性リンパ性白血病におけるMRD評価
D NGSを用いたMRD評価
1.AMLにおける遺伝子変異を用いたMRD評価
2.ALLにおけるIgH再構成を用いたMRD評価
E ddPCRを用いたMRD評価
1.ALLにおけるIg/TCR再構成を用いたMRD評価
2.遺伝子変異(SNV)を用いたMRD評価
F 今後の課題
2.AMLにおけるMRD
A AMLで用いられるMRD
1.FCM-MRD
2.molecular MRD
B 治療への応用
1.寛解導入療法後の治療強化
2.治療終了時(後)のMRDに対する治療
3.Ph(−)ALLにおけるMRD
A MRD測定に用いる検体
1.Ig/TCR遺伝子再構成を標的としたPCR(RQ-PCR)
B MRDの臨床的な意義
C 移植とMRD
D 新規薬剤とMRD
1.抗CD19抗体
E MRDによる治療方針決定について
F MRDの限界
第IV章 支持療法の実際
1.感染予防対策−基本的予防処置,血管内カテーテル管理,抗菌薬予防的投与
A 白血病患者における易感染状態
1.皮膚・粘膜の障害
2.好中球の障害
3.細胞性免疫の障害
4.液性免疫の障害
B 感染経路とその対策
1.内因感染の種類とその予防処置
2.外因感染に対する予防策
C 血管内留置カテーテル管理
1.中心静脈カテーテルの管理
2.末梢静脈カテーテルの管理
3.血管内留置カテーテル関連感染症の予防策
D 抗菌薬予防的投与
1.細菌感染の予防
2.真菌感染の予防
3.ニューモシスチス肺炎の予防
4.ウイルス感染の予防
2.感染症治療
A 抗菌薬の使用の実際
A 発熱性好中球減少症(FN)とは
B FN発症のリスク
C FNの原因微生物
1.BSI
2.肺炎
D FNの治療
1.FNの経験的治療薬
2.FNに対する抗菌薬併用療法
3.初期治療が奏効しなかった場合
4.初期治療が奏効した場合の抗菌薬投与終了時期
E カテーテル関連血流感染症(CRBSI)
B 抗真菌薬の使用の実際
A 血液領域で問題となる深在性真菌症とリスク因子
B 抗真菌薬の種類と特性
1.アゾール系抗真菌薬
2.エキノキャンディン系抗真菌薬
3.ポリエン系抗真菌薬
C 抗真菌薬の予防投与
D 経験的治療・早期治療
E 標的治療
1.侵襲性カンジダ症
2.侵襲性アスペルギルス症
3.ムーコル症
C 抗ウイルス薬の使用の実際
A サイトメガロウイルス(CMV)
1.臨床像
2.CMV感染の診断
3.CMV感染とCMV感染症
4.CMV感染症のリスク因子
5.CMV感染対策の方針
6.CMV感染モニタリングに基づく抗ウイルス薬の先制治療
7.新規抗ウイルス薬letermovirによるCMV再活性化・CMV感染症の予防
8.CMV感染症の治療
9.抗ウイルス薬耐性
B 単純ヘルペスウイルス(HSV)
1.臨床像
2.診断
3.抗ウイルス薬の予防的投与
4.治療
C 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
1.臨床像
2.診断
3.予防的投与
4.治療
5.ワクチンによる予防
6.播種性VZV感染症,内臓VZV感染症
D ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)
1.臨床像
2.HHV-6感染の診断
3.HHV-6再活性化とHHV-6感染症
4.HHV-6脳炎の診断・治療
5.HHV-6脳炎の予防
E アデノウイルス(AdV)・BKウイルス(BKV)
1.臨床像
2.診断
3.治療
4.AdVによる出血性膀胱炎
5.BKVによる出血性膀胱炎
D G-CSFの使用の実際
A G-CSF使用ガイドライン
1.G-CSF使用ガイドラインの変遷
2.予防的投与と治療的投与
3.FN発現リスク分類からみたG-CSFの使い分け
4.FN発症時のG-CSF使用法
B 急性白血病へのG-CSF使用法
1.急性骨髄性白血病(AML)
2.急性リンパ性白血病(ALL)
3.急性白血病の好中球減少症に対するG-CSF投与量とそのタイミング
C 造血幹細胞移植時の使用法
D G-CSFの副作用
1.主な副作用
2.脾破裂
3.二次的急性白血病・骨髄異形成症候群発症リスクの増加
E バイオシミラー
3.輸血療法(赤血球,血小板,顆粒球を含む)
A 血液製剤の適正使用
B 血液製剤の種別と性状
C 血液製剤の使用基準
1.赤血球製剤(RCC)
2.血小板製剤(PC)
3.新鮮凍結血漿(FFP)
D 輸血副作用
1.感染性副作用
2.免疫性副作用
3.非免疫性副作用
4.ABO血液型不適合輸血
E 同種移植後の対応
F 顆粒球輸血
1.背景
2.適応
3.方法
G 輸血同意書
4.播種性血管内凝固(DIC)に対する対策
A 診断基準
B PT,APTTの意義
C DICの病型分類
D 急性白血病(APL以外)に合併したDICの治療
1.基礎疾患の治療
2.抗凝固療法
3.補充療法
4.抗線溶療法
E APLに合併したDICの治療
F 急性白血病に合併したDICの処方例
5.肝炎ウイルス対策
A B型肝炎ウイルス(HBV)
1.HBV再活性化の病態
2.HBV既往感染の診断
3.HBV既往感染者の頻度
4.各疾患におけるHBV再活性化
5.各種薬剤におけるHBV再活性化
B C型肝炎ウイルス(HCV)
6.全身栄養管理
A 投与カロリー
B 経口摂取
C 高カロリー輸液
7.リハビリテーション
A 白血病治療における身体機能とQOL
B 白血病患者に対するリハビリテーションの効果
C 白血病治療に対するリハビリテーションのガイドライン
D 白血病に対するリハビリテーションの実際
1.リハビリテーションの開始にあたって
2.リハビリテーションの評価
3.リスクマネージメント
4.リハビリテーションの内容
5.退院後のリハビリテーション
第V章 毒性と合併症の対策,注意点
1.抗白血病薬の作用機序と毒性
A 作用機序からみた抗白血病薬の分類
B 代謝拮抗薬
1.ピリミジン拮抗薬
2.プリン拮抗薬
3.葉酸代謝拮抗薬(MTX)
C トポイソメラーゼ阻害薬
1.アントラサイクリン系薬剤
2.etoposide(VP-16,ETP)
D アルキル化薬
1.cyclophosphamide(CPA)
E ビンカアルカロイド製剤
1.vincristine(VCR)
F L-asparaginase
2.分子標的薬の作用機序と毒性
A FLT3阻害薬
1.作用機序
2.主な薬剤の毒性
B チロシンキナーゼ阻害薬
1.作用機序および治療方針
2.各チロシンキナーゼ阻害薬の毒性
C gemtuzumab ozogamicin(GO)
1.作用機序
2.毒性
D inotuzumab ozogamicin(InO)
1.作用機序
2.毒性
E blinatumomab
1.作用機序
2.毒性
F キメラ抗原受容体T細胞療法
1.作用機序
2.毒性
3.悪心・嘔吐の予防と治療
A 悪心・嘔吐
1.症状の定義
2.発現機序
3.発現時期による分類
4.リスク因子
5.抗がん薬による催吐性リスク分類
6.放射線治療による催吐性リスク分類
7.国内で推奨される制吐療法
8.制吐薬としてのolanzapine
9.steroid sparing
4.口腔ケア
A 口腔内感染巣の評価,治療および管理
1.口腔内感染巣の評価
2.代表的な口腔内(歯性)感染巣とその治療の概略
3.菌血症を伴う歯科治療施行を可能とする好中球数の目安
4.外科的で止血を要する歯科治療施行を可能とする血小板数の目安
5.口腔衛生管理
B 口腔粘膜炎対策
1.がん化学療法および放射線療法に伴う口腔粘膜炎の病態
2.白血病治療における口腔粘膜炎対策
C 造血幹細胞移植患者の口腔内の管理
1.口腔内感染管理
2.口腔粘膜炎対策
3.GVHDの口腔症状の治療および管理
4.long term follow up(LTFU)における口腔内の管理の留意事項,晩期障害
5.心毒性の予防と治療
A 白血病治療における心筋障害(心不全)
B CTRCDへの対応
1.白血病治療のための循環器ケア(Step1)
2.心毒性を考慮した白血病治療の選択(Step2)
3.白血病治療開始後,心毒性のモニタリングと早期診断(Step3)
4.心毒性発症後の対応(Step4)
5.長期フォローアップとがんサバイバー(Step5)
6.腫瘍崩壊症候群の予防と治療
A 病態
B 診断
1.指針
2.分類
C リスク評価
1.リスク分類
2.腎機能による調整
D 予防と治療
1.高尿酸血症
2.高カリウム血症
3.高リン血症
4.腎機能代行療法
5.その他
7.中枢神経系白血病の予防と治療
A 予防
1.小児ALLのCNS再発予防治療
2.成人ALLのCNS再発予防治療
3.AMLのCNS再発予防治療
B 治療
1.小児ALLのCNS治療
2.成人ALLのCNS治療
3.AMLのCNS治療
8.肝・腎障害時の抗がん薬治療と投与量補正
A 肝・腎障害時の抗がん薬治療
B 肝・腎障害時の投与量補正
C 主な薬剤
1.アルキル化薬
2.トポイソメラーゼ阻害薬
3.抗生物質系
4.微小管阻害薬
5.代謝拮抗薬
6.抗体医薬
7.チロシンキナーゼ阻害薬
8.その他
9.妊孕性温存
A 化学療法,放射線治療,造血幹細胞移植による性腺機能障害のリスク
B 不妊に対する対策
C 慢性骨髄性白血病での対策
第VI章 高齢者,小児の治療上の注意点
1.高齢者白血病に対する注意点
A 高齢者の定義
B 高齢者白血病の特徴
C 全身評価方法
D 急性骨髄性白血病(AML)(APL以外)
1.fit caseに対する標準化学療法
2.unfit caseに対する低毒性治療
3.frail caseに対する支持療法
4.寛解後治療
5.非寛解例
6.再発難治例
E 合併症対策
F 高齢者AMLに対する同種造血幹細胞移植
G 急性リンパ性白血病(ALL)
2.小児白血病治療の注意点
A 小児白血病の疫学と特徴
B 小児白血病の薬物療法
1.急性リンパ性白血病(ALL)の薬物療法
2.急性骨髄性白血病(AML)の薬物療法
C 小児白血病治療における年齢群別の注意点
1.新生児および乳児(0〜1歳)
2.児童(2〜11歳)
3.青少年・青年(12〜18歳)
4.年齢別の髄注投与量
D 先天性疾患を有する小児の白血病治療における注意点
1.Down症候群
E 小児白血病治療における晩期合併症のリスク334
1.小児ALL薬物療法による晩期合併症
2.小児AML薬物療法による晩期合併症
F 小児白血病治療における適応外使用の問題
略語一覧
索引
改訂第4版の序
本書『白血病治療マニュアル』は1996年4月に大野竜三先生と小寺良尚先生の編集による初版の誕生後、好評を博し、改訂を重ねてきた。2009年4月に宮脇修一先生と中尾眞二先生の編集による改訂第3版が出版されたが、この度、11年振りに改訂第4版を上梓できることになった。
白血病が治癒可能な疾患と認識されて久しいが、その治療成績の向上は抗がん薬を組み合わせた集学的治療の開発と造血幹細胞移植療法や補助療法の進歩によるところが大きかった。前回の改訂時は、imatinibの登場によってBCR-ABL1陽性白血病における画期的な治療成績の向上が明らかにされ、白血病治療に対する更なる分子標的薬の開発が期待された時であった。この10年間に、白血病の分子病態の解明が進み、多くの分子標的薬も実用化されてきた。ABL阻害薬は現在5種類が実用化され、さらにアロステリック効果による新たな阻害様式に基づく薬剤も開発されている。また、白血病の発症・進展に関与する異常分子を標的とした小分子化合物だけでなく、抗体薬物複合体やCAR-T、Biteなどの免疫療法薬の実用化も実現している。今後これらの新規薬剤と従来の殺細胞性抗がん薬の最適な組み合わせによって更なる治療成績の向上が期待できる時代となってきた。一方、AYA 世代の急性リンパ性白血病に対する小児型治療プロトコールの有用性が確認されたり、骨髄非破壊性前処置の進歩やHLA半合致移植の実用化がなされるなど、従来の化学療法や造血幹細胞移植においても多くの進歩が認められた。
今回の改訂版では、こうした白血病の分子病態の進歩と、それに基づく層別化、新規薬剤、新規治療プロトコールを網羅するとともに、実臨床における治療指針、補助療法などを、それぞれの分野における第一人者の方々に執筆をお願いした。本書が白血病診療に関わる全ての方々にとって診療上の参考になれば幸いである。
最後に、標準的治療の確立のために臨床試験に参加下さった患者さんと臨床スタッフの皆様、ならびに執筆をご快諾いただけた先生方に深謝いたします。
2020年9月
清井仁
宮本敏浩
白血病を含む造血器腫瘍は,現代の科学技術の進歩の恩恵を最も受けているエキサイティングな臨床分野の一つであり,その病態の捉え方や治療法が急速に進化している.『白血病治療マニュアル』は,1996 年に初版が出てから定期的な改訂を行い,実践的な血液臨床医のテキストとして好評を博してきた.今回の改訂第4 版では,遺伝子解析による層別化,新たに導入された分子標的薬,微小残存病変検出法とその意義など,現時点におけるエビデンスに基づいて明確で具体的な治療指針をそれぞれの分野の専門家が気合いを込めて書き記した素晴らしい内容となっている.わが国における白血病治療のための標準マニュアルの決定版として強く推薦する.
白血病治療のさらなる成績向上が,網羅的遺伝子解析とそれに基づいた新規薬剤の開発により期待される一方で,白血病はクローン進化により最新の分子標的薬にもさまざまなメカニズムで耐性を獲得していくことが明らかになっている.したがって,今後は化学療法および同種移植など従来の治療に新規分子標的薬をどう組み込むか,さらに複数の新規薬剤を作用点,特性によりどう組み合わせるかなどの治療戦略の最適化も必要である.本書が本邦の白血病治療の信頼できるテキストとして,新たに産み出されるエビデンスに基づいて今後も継続してアップデートされていくことを期待する.
臨床雑誌内科128巻1号(2021年7月号)より転載
評者●九州大学医学部病態修復内科(第一内科)教授 赤司浩一