コンパクト微生物学改訂第5版
監修 | : 小熊惠二/堀田博 |
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編集 | : 林俊治/石戸聡 |
ISBN | : 978-4-524-22636-8 |
発行年月 | : 2021年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 304 |
在庫
定価2,530円(本体2,300円 + 税)
サポート情報
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2024年04月05日
新型コロナウイルスに関する情報更新
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
看護学生をはじめとする医療技術系の学生を対象とする微生物学のミニマムエッセンスをまとめたテキスト。総論、各論に加えて臓器別感染症の章を設け、基礎から臨床まで総合的に理解することが可能である。今改訂では新知見の追加と情報の更新を行った。また、目次構成を一部変更するなど、よりわかりやすく使いやすいテキストとなった。
【主要目次】
第1章 微生物学とは
1 微生物学の歴史
2 微生物の分類と病原微生物
第2章 細菌
1 形態と分類
A.形態と構造
B.分類
C.細菌の観察方法
2 培養と増殖
A.細菌の増殖
B.細菌の培養
C.細菌の代謝
D.代謝・増殖の調節・制御(環境への対応)
3 変異と情報の伝達
A.変異の種類
B.変異原
C.遺伝子の伝達と形質発現;遺伝形質の伝達
4 細菌の病原性
A.感染に関する用語
B.感染成立の要因と感染経過
C.感染成立に関与する微生物側の因子
D.宿主側の防御因子
5 各菌の性状と病原性
A.グラム陽性球菌
B.グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科に属するもの)
C.グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科以外)
D.グラム陰性微好気性らせん菌
E.グラム陰性好気性桿菌および球菌
F.グラム陽性好気性および通性嫌気性桿菌
G.無芽胞偏性嫌気性菌
H.有芽胞偏性嫌気性菌
I.マイコバクテリア
J.放線菌
K.スピロヘータ
L.マイコプラズマ
M.リケッチア
N.クラミジア
6 細菌感染症の診断
A.感染症診断の基本
B.臨床診断
C.細菌学的検査診断
D.免疫学的検査診断
7 細菌感染症の治療
A.感染症治療の基本
B.対症療法
C.免疫療法
D.化学療法
E.抗菌薬
F.耐性菌
G.菌交代症
第3章 ウイルス
1 ウイルス発見の概要
2 ウイルスの形態・構造と分類
3 ウイルスの増殖と培養
A.ウイルスの増殖
B.ウイルスの培養
4 ウイルスの遺伝と変異
A.ウイルスの遺伝子
B.ウイルスの変異
5 ウイルスによる感染
A.ウイルスの伝播
B.ウイルスの感染様式
C.ウイルス感染による発症機構
6 ウイルスの病原性
A.ポックスウイルス科
B.ヘルペスウイルス科
C.アデノウイルス科
D.パピローマウイルス科
E.ポリオーマウイルス科
F.パルボウイルス科
G.ヘパドナウイルス科
H.オルソミクソウイルス科
I.パラミクソウイルス科
J.ラブドウイルス科
K.トガウイルス科
L.フラビウイルス科
M.コロナウイルス科
N.アレナウイルス科
O.フィロウイルス科
P.ブニヤウイルス科
Q.ピコルナウイルス科
R.レオウイルス科
S.カリシウイルス科
T.ヘペウイルス
U.レトロウイルス科
V.肝炎ウイルス
W.遅発性ウイルス感染症とプリオン病
7 ウイルス感染症の検査室内診断
A.病原診断
B.血清診断
8 ウイルス感染症の治療
A.抗ウイルス薬
B.インターフェロン
第4章 真菌
1 真菌とは
2 形態と増殖
A.菌糸型真菌と酵母型真菌
B.胞子形成による増殖と生活環
3 分類
4 病原性
5 検査法
6 治療と予防
7 疾患
A.深部真菌症
B.皮下真菌症
C.表在性真菌症
第5章 寄生虫
1 寄生虫症概論
A.寄生虫の分類と生物学的特徴
B.生活環と宿主
C.感染経路と予防対策
D.診断と検査
2 原虫症
A.経口感染する原虫症
B.経皮感染する原虫症
C.接触感染する原虫症
D.感染しないが食中毒を起こす感染症
3 蠕虫症
A.経口感染する蠕虫症
B.経皮感染する蠕虫症
第6章 感染と免疫
1 免疫とは何か
A.免疫の特徴
B.自然免疫と獲得免疫
2 免疫担当細胞
A.骨髄とB細胞
B.胸腺とT細胞
3 その他の免疫担当細胞
A. ナチュラルキラー(NK)細胞
B. 単核食細胞系細胞
C. 樹状細胞
D. 炎症細胞(顆粒球)
E. 皮膚・粘膜の免疫細胞
4 CD 分類(抗原レセプター,マーカー)
5 免疫応答
A. 自然免疫
B. 特異免疫
C. 自然免疫から獲得(特異)免疫へ;貪食と抗原提示
D. 免疫を調節するサイトカイン
6 体液性免疫
A.抗原と抗体
B.抗体の構造とクラス
C.抗体の機能
D.モノクローナル抗体
E.補体
F.抗原抗体反応
7 細胞性免疫
A.マクロファージの活性化
B.細胞傷害性T細胞
C.NK細胞
D.細胞傷害の機構
E.免疫の制御
8 感染防御免疫
A.細菌外毒素
B.細胞外寄生細菌
C.細胞内寄生細菌
D.ウイルス
8 アレルギー(過敏症)
A.I型アレルギー
B.II型アレルギー
C.III型アレルギー
D.IV型アレルギー(遅延型)
10 免疫不全症
A.先天性免疫不全症
B.後天性免疫不全症
11 自己免疫疾患
A.自己免疫疾患の発症の機構
B.感染との関係
第7章 滅菌と消毒
1 滅菌と消毒の基礎
A.滅菌と消毒の定義
B.滅菌・消毒の方法
C.滅菌・消毒方法のレベル分類
2 滅菌と消毒の実際
A.微生物による滅菌・消毒方法の選択
B.適用対象による滅菌・消毒方法の選択
C.滅菌・消毒における注意事項
3 滅菌方法
A.加熱による滅菌
B.ガスによる滅菌
C.放射線による滅菌
D.濾過による滅菌
4 物理的消毒方法
A.加熱による消毒
B.紫外線による消毒
5 化学的消毒方法(消毒薬)
A.消毒薬の分類
B.消毒薬の使用方法
C.高レベル消毒薬
D.中レベル消毒薬
E.低レベル消毒薬
第8章 感染症の予防と対策
1 感染症関連法
A.感染症法
B.予防接種法
C.食品衛生法
D.学校保健安全法
E.検疫法
2 ワクチン
3 院内感染とその予防対策
A.院内感染とは
B.院内感染対策の二本柱
C.感染予防対策
D.手洗いと手指消毒の重要性
E.職業感染予防策
F.薬剤耐性菌対策と感染対策上重要な薬剤耐性菌
G.訪問者への感染対策
4 チーム医療
A.チーム医療の必要性と感染防止対策
B.感染防止対策チームICTとの関係
C.チーム医療における院内感染予防対策の進め方
第9章 臓器感染症
9−1 皮膚・粘膜系
解剖・生理と感染症
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(疥癬患者の看護)
A.情報収集とアセスメント
B.治療薬の適正使用と瘙痒感の軽減
C.身体の清潔
D.感染予防
9−2 呼吸器系
解剖・生理と感染症
A.鼻腔内
B.咽頭内
C.気管支
D.肺胞
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(結核の感染予防)
A.早期発見と感染予防策
B.結核確定後の感染対策と看護
C.確実な治療と再発予防
D.医療・福祉施設等職員の感染予防
9−3 消化器系
解剖・生理と感染症
A.解剖・生理
B.感染症
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(急性ウイルス性肝炎患者の看護)
A.情報収集とアセスメント
B.重症化・劇症化予防と安静への援助
C.掻痒感軽減への援助
D.栄養管理
E.感染予防
9−4 泌尿生殖器系
解剖・生理と感染症
A.はじめに
B.尿路感染症
C.性感染症
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(尿道留置カテーテル関連尿路感染症の予防)
A.カテーテル留置の必要性の評価
B.尿道留置カテーテル挿入前と挿入時の感染予防
C.挿入中の看護
9−5 神経系
解剖・生理と感染症
A.はじめに
B.血行性感染
C.神経行性感染
D.宿主の反応と病理変化
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(クロイツフェルト−ヤコブ病患者の看護)
A.情報収集とアセスメント
B.患者・家族への精神的援助
C.安全・安楽に対する援助
D.感染予防
9−6 血液・リンパおよび全身感染症
解剖・生理と感染症
感染症
A.細菌
B.ウイルス
感染症患者の看護(血管内留置カテーテル由来感染症の予防)
A.微生物の侵入経路と要因およびCRBSIの起因菌
B.感染予防
9−7 その他の感染症
A.先天性感染症
B.産道感染と母乳感染
C.人獣共通感染症
D.輸入感染症
感染症患者の看護(輸入感染症患者の看護)
A.情報収集とアセスメント
B.対症看護
C.医療関連感染の予防
参考資料
索引
この度,『コンパクト微生物学 改訂第5 版』を刊行することとなりました.本書の編集は,第4版まで小熊惠二先生と堀田博先生が担ってこられましたが,第5版より林俊治と石戸聡が担当させていただくこととなりました.小熊先生と堀田先生には引き続き監修として加わっていただいております.
本書の初版が発刊されたのは1999年です.その後,約5年毎に改訂を行ってきました.病原微生物は発見され尽くされており,微生物学の教科書を頻繁に改訂する必要はないと考える人は医療関係者の中にもいます.しかし,現実には新たな病原微生物が数年おきに発見されており,既に制圧したと思っていた病原微生物が新たな脅威として再登場してくることもあります.また,薬剤耐性菌は着実に増えています.このような状況に対応するためにも,微生物学の教科書は定期的に改訂して行かなくてはなりません.
感染症の歴史において2019 年は最も重要な年として位置づけられるでしょう.この年の秋に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,驚くべき速さで世界中に拡散し,多くの人命が失われました.医療従事者の懸命の努力にもかかわらず,2021年の現時点で本症を制御するには至っていません.今回のCOVID-19 の世界的大流行は,改めて感染症の恐怖を人類に思い出させるものでした.今後,医療の中だけでなく,社会全体にとっても感染症の制御が重要なものになっていくでしょう.医療従事者を目指す皆さんにとって,感染症およびその原因微生物についての知識は必要欠くべからざるものなのです.
本書は単なる微生物の図鑑にならないように,微生物ごとに知識を整理した項とは別に,臓器別に感染症をまとめた項を設けてあります.微生物ごとの知識と臓器別の知識を組み合わせることによって,感染症と微生物のかかわりを実践的に捉えることができるはずです.さらに本書では,知っていると得する知識,理解をさらに深めるための知識といったものをコラムにまとめてあります.これらのコラムは微生物学を楽しく学ぶことにつながるはずです.
編者の交代に伴い,読みにくくなったり,わかりにくくなった部分があるかもしれませんが,この点をお許しいただくとともに,本書をより良いものにするために,忌憚のないご意見やご批判をいただきたいと思っております.前版までと同様に変わらぬご指導をよろしくお願いいたします.
改訂第5版を刊行するにあたり,執筆者各位のご尽力に御礼申し上げるとともに,南江堂の担当者の皆様に感謝を申し上げます.
2021年2月
編者ら記す