むかしの頭で診ていませんか?消化器診療をスッキリまとめました
編集 | : 加藤直也 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-22603-0 |
発行年月 | : 2020年11月 |
判型 | : A5 |
ページ数 | : 272 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
正誤表
-
2021年08月17日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
大好評「むかしの頭で診ていませんか?」シリーズ第8弾「消化器診療」版。「専門」ではないけれども「診る機会」がある“検診での異常所見”、“便秘”、はもちろんのこと、胃食道逆流症(GERD)や肝炎などの一般臨床医が遭遇する可能性が高い病態・疾患に関する要点をギュッと凝縮。「そもそも、どう考えるの?」「具体的にどうするの?」「なぜ考え方が変わったのか?」など、押さえておきたい知識・情報をスッキリ整理。全科医師におすすめの一冊。
1 腹部単純X線で何を見る?
2 抗血栓治療と内視鏡
3 最近の胃食道逆流症(GERD)診療
4 何となくPPI使っていませんか?
5 NSAIDs潰瘍〜どの薬をいつから?〜
6 ピロリ除菌は胃がんを減らす
7 急性アニサキス症にステロイド
8 胃・大腸内視鏡検査は定期的に必要?
9 早期胃がんに対するESDの現状
10 検診で胃粘膜下腫瘍が見つかったら
11 好酸球性消化管疾患を知っていますか?
12 それは機能性ディスペプシア(FD)です
13 原因不明消化管出血(OGIB)はどうしよう?
14 消化器病に漢方薬は有効か?
15 大腸ポリープをどう攻める?
16 便潜血陽性なら大腸がんか?
17 便秘の治療がワンパターンになっていませんか?
18 潰瘍性大腸炎は珍しくありません
19 過敏性腸症候群(IBS)の治療は?
20 健診で肝障害と言われました
21 危ない脂肪肝もあります
22 B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアは肝がんにならない?
23 C型肝炎は治る
24 肝障害を起こさない飲酒量は?
25 エコーで肝血管腫疑い:経過観察でよいか?
26 最新の肝硬変治療:腹水・浮腫にはとりあえずループ利尿薬?
27 肝硬変では筋肉が大事
28 進行肝細胞がん患者の予後が劇的に改善しています
29 胆石は放置してよいか?
30 急性胆嚢炎をどうするか?
31 胆嚢ポリープのがん化リスクは?
32 胆管がんについて分かりやすく教えて下さい
33 飲酒と膵炎の関係
34 エコーで膵臓に嚢胞性病変を見つけたら
35 膵がんを早期発見する方法はありますか?
索引
序文
この本は、シリーズを通してのコンセプトである「消化器は専門ではないけれども、消化器疾患を診る機会のある」先生がたを主な対象としたものです。実際には、非専門医のみでなく医学生、研修医、看護師、薬剤師をはじめとしたすべての医療従事者にとって、知っておくと便利な消化器疾患に関するテーマについて、簡潔かつ平易にまとめてあります。分量的にも全体を難なく読み通せるようになっています。また、消化器病専門医でも楽しく読めるように配慮しました。日常診療を行う上で、自分の専門ではない領域に関しては、何となく知っているけど詳しくは知らない、とりあえずどうしたら良いのだろう、といった疑問を抱くことは思いがけず多いものです。本書はそんなときにも、役立つと思います。
日常診療の中で、患者さんから消化器関連の訴えを聞くことはわりと多いと思われます。お腹が痛い、お腹をよく壊す、便秘で困っている、といった自覚症状のみならず、健診で肝機能異常があると言われた、腹部超音波検査で胆石があると指摘された、などです。そのようなときに、インターネットの情報は手軽に得られるものですが、ときに信憑性に欠き、専門書はアクセスが悪いのみならず、内容が専門的すぎるために、自ら診療すべきか、紹介すべきかの判断にはあまり役に立たなかったりするものです。そのような場合に、ちょうど良い塩梅の参考書になっています。
本書は、東京大学第二内科時代の先輩である村川裕二先生から編集のお声がけをいただいたことに始まり、多くの執筆者の先生がたと南江堂のスタッフの努力により完成しました。南江堂のスタッフに提案いただいたトイレの表紙も、消化器診療のみならず、本書のタイトルである「スッキリ」にも絶妙にマッチしているようです。この本の出版に携わっていただいた方々に心より感謝申し上げるとともに、われわれの想いが読者の皆様に届くことを祈っております。
2020年10月
編者
「むかしの頭で診ていませんか?」シリーズの第8弾として,消化器診療の重要なエッセンスを散りばめた実践書,「消化器診療をスッキリまとめました」を加藤直也先生が上梓された.本書は「消化器が専門でないけれども,消化器疾患を診る機会のある」医療従事者のニーズに合わせて,日常診療のなか一定頻度で遭遇する消化器疾患についての解説であり,総合診療医,かかりつけ医,看護師,薬剤師,医学生など,すべての医療従事者に役に立つ一冊である.
消化器疾患の診療領域は,多岐にわたる臓器分野の高度専門家集団で構成されている.本書各章の著者らはいずれもそれぞれの専門領域の第一線で診療活動をしている専門医であるが,専門性に走りすぎず,あくまで実診療に役立つことを第一に,一番重要な最新知見をコンパクトにまとめている.かゆいところに手が届く,「こんな本が欲しかった!」と唸らせる一冊である.
本書の構成は35項目からなる.腹部単純X線検査から始まり,上部・下部消化管疾患,肝疾患,胆膵疾患のトピックから構成されており,日常診療で頻繁に遭遇し,判断に悩む疾患,知らないと陥りやすい診療の落とし穴などを中心に解説されている.特徴的なのは,疑問符形式のタイトルに続いて,冒頭で「結論から先に」と知りたい答えが手っ取り早くまとめられている点である.結論の根拠となる知見の解説に加えて,さらに「こんな患者さんがいました」と,状況をイメージしやすい典型的な症例の紹介に続いてTake Home Messageで結ばれる.いずれの内容も,書名の「スッキリまとめました」にあるとおり,知りたいことがきわめてコンパクトにまとめられている.「何となくPPI使っていませんか?」「便秘の治療がワンパターンになっていませんか?」など,いかにも昔の経験で漫然と診療しがちな疾患に対しても,知識を一新する最新エビデンスを注入してくれる.また「C型肝炎は治る」では,限られたスペースに重要なエッセンスがこれでもかとわかりやすく整理され詰まっている.いかにも全章にわたって編集者加藤先生の深い学識とお人柄がにじみ出た“加藤節”を聞いているようである.
本書は手軽に手に取れるサイズで,一気に読み通せる分量でもある.類書もなく,消化器内科・外科医が普段診療しない他領域の疾患の最新トピックを手っ取り早く知ることにもお勧めである.本書が実地医家の方々に限らず,広く役立てられることを期待する.
臨床雑誌内科127巻6号(2021年6月号)より転載
評者●北海道大学医学部消化器内科 教授 坂本直哉