診療放射線学概論
監修 | : 石田隆行 |
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編集 | : 西山篤/星野修平 |
ISBN | : 978-4-524-22521-7 |
発行年月 | : 2022年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 180 |
在庫
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
サポート情報
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2022年03月04日
学習到達度自己評価問題 解答
正誤表
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2024年05月07日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
診療放射線技師に必要な放射線とそれを用いた医療,医療現場における診療放射線技師の役割,かかわる法律など,学生が今後学ぶ専門科目の全体像を把握できるよう過不足なくまとめた教科書.各章の冒頭に学習目標と事前学習の項目を,章末には学習到達度自己評価問題を設けた.
1 診療放射線技師とは
A 診療放射線技師の歴史
1 診療エックス線技師法の誕生
2 診療エックス線技師法および診療放射線技師
B 診療放射線技師の教育制度
1 専門学校による教育
2 大学による教育
3 大学院における教育と研究
C 専門職・認定制度
1 放射線取扱主任者
2 エックス線作業主任者
3 ガンマ線透過写真撮影作業主任者
4 作業環境測定士
5 医学物理士
D 診療放射線技師の業務
1 医療で活躍する診療放射線技師
2 行政で活躍する診療放射線技師
3 企業で活躍する診療放射線技師
4 教育・研究で活躍する診療放射線技師
E 診療放射線学の定義
1 診療放射線学の名称
2 医学・理工学と診療放射線学との融合
F 診療放射線学を構成する学術
1 X線撮影技術学
2 診療画像検査学
3 診療画像機器学
4 核医学検査技術学
5 放射線治療技術学
6 医療画像情報学
7 放射線安全管理学
8 医療安全管理学
9 実践臨床画像学
G 診療放射線学を支える学術
1 基礎医学
2 放射化学
3 放射線生物学
4 放射線物理学
5 放射線計測学
6 医用工学
2 放射線とは
A 放射線の発見と医学利用
1 X線の発見
2 電磁波の発見
3 ラジウムの発見
4 α(アルファ)線,β(ベータ)線,γ(ガンマ)線の発見
B 放射線の種類と性質
1 電離放射線と非電離放射線
2 X線,γ線
3 電子線
4 中性子線
5 重荷電粒子線
C 放射線に関する物理学
1 電磁放射線
2 粒子放射線
3 原子
4 原子核
5 放射線の発生
6 物質との相互作用
D 放射線の発生
1 崩壊(壊変)
2 X線の発生
3 中性子線の発生
E 物質との相互作用
1 光子と物質との相互作用
2 電子線と物質との相互作用
3 中性子線と物質との相互作用
4 重荷電粒子線と物質との相互作用
3 放射線の人体に対する影響
A 放射線の細胞に対する作用
1 放射線による連鎖的な反応
2 細胞死
3 突然変異
B 放射線の人体への影響
1 放射線の身体的影響
2 放射線の遺伝的影響
C 放射線の生物学的効果
1 正常組織と腫瘍の放射線感受性
2 生物学的効果の修飾
3 分割照射
4 LETと生物学的効果比
D 放射線の医学的利用
1 放射線の検査での利用
2 放射線の治療での利用
4 診療放射線技師の職務にかかわる法令
A 医療と法
1 法令
2 医事法と医事法制
3 医療法
4 資格法
B 医療専門職の法定
1 医師
2 医師以外の医療専門職
C 診療放射線技師と法
1 診療放射線技師法の歴史と変遷
2 診療放射線技師の法定業務
3 診療放射線技師の法定義務
4 診療放射線技師法に明文化されていない義務
5 診療放射線技師の養成に関する法令
D 診療放射線技師にかかわりの深い医事法以外の法令
1 放射性同位元素等の規制に関する法律(1957(昭和32)年法律第167号)
2 電離放射線障害防止規則(1972(昭和47)年9月30日労働省令第41号)
5 画像診断部門における診療放射線技師@ X 線撮影・X 線CT
A X線撮影装置
1 X線源装置
2 X線高電圧装置
3 X線映像装置
4 X線画像処理装置
5 X線CT装置
B 単純X線撮影
1 単純X線撮影の概要
2 部位ごとの単純X線撮影
C 病室・手術室撮影
D 健康診断・人間ドック
E X線造影検査
1 X線造影検査の概要
2 部位ごとのX線造影検査
F インターベンショナルラジオロジー
G X線CT検査
1 X線CT検査の概要
2 部位ごとのX線CT検査
H その他の検査
1 骨塩定量検査
2 死亡時画像診断(Ai)
I 被ばくの低減と防護
6 画像診断部門における診療放射線技師A MRI・超音波
A MRI撮影装置
B MRI検査
1 MRI検査の概要
2 部位ごとのMRI撮影
C 超音波画像診断装置
D 超音波検査
1 超音波検査の概要
2 部位ごとの超音波検査
E 無散瞳眼底カメラ
F 眼底検査
7 核医学部門における診療放射線技師
A 放射性医薬品
B 核医学測定装置
1 ガンマカメラ
2 PET装置
3 ドーズキャリブレータ
4 放射免疫測定法・免疫放射定量法
C 核医学検査の品質・安全管理
D 核医学検査技術
E 核医学データ解析
F 臨床核医学検査(シンチグラフィ)
1 部位ごとのSPECT検査
2 部位ごとのPET検査
G 核医学治療
8 放射線治療部門における診療放射線技師
A 放射線治療関連装置
1 画像撮影装置
2 放射線治療計画装置
3 放射線治療装置
4 放射線治療に関する補助器具
5 治療RIS
B 放射線治療装置の品質管理,品質保証,および安全管理
1 品質管理と保守
2 安全管理と対策
C 吸収線量の評価
D 外部照射
1 頭部
2 頭頸部
3 胸腹部
4 骨盤部
E 小線源治療(内部照射)
1 腔内照射
2 組織内照射
9 診療放射線技師に求められる医療画像情報の知識
A 医療で用いられるコンピュータとネットワーク
1 医療におけるコンピュータ
2 画像表示システム
3 ネットワーク(LANとWAN)
4 セキュリティ
B 医療画像
1 アナログ画像
2 デジタル画像
C 画像処理
1 デジタル画像装置の特徴
2 画像処理
D 画質評価
1 入出力特性
2 画質因子と評価方法
3 信号検出理論とROC
E コンピュータ支援診断(CAD)
F 遠隔画像診断
G 医療情報システム(HIS)
1 医療情報システム・病院情報システムとは
2 HISの目的(メリット)
3 HISの機能
4 診療録等の保存義務と電子保存の三原則
H 放射線科情報システム(RIS)
1 放射線科情報システムとは
2 RISの目的(メリット)
3 RISの機能
I 医療画像情報保管管理システム(PACS)
1 医療画像情報保管管理システムとは
2 PACSの目的(メリット)
3 PACSの機能
J 医療情報の標準化による情報連携
1 DICOM
2 HL7
3 IHE
4 JJ1017
K 地域医療情報連携
1 病診連携
2 病病連携
10 診療放射線技師に求められる倫理観
A 医療職種に求められるマナーと資質
1 組織とチーム
2 放射線診療における医療サービスとマナー
B 診療放射線技師に関する医療倫理
1 法と生命倫理
2 職業倫理
3 個人情報保護法と守秘義務
C 診療放射線学研究における研究倫理
1 ヘルシンキ宣言
2 インフォームド・コンセント
3 研究倫理審査委員会
4 利益相反
5 研究不正
11 診療放射線技師に求められる患者接遇
A 医療現場に必要なペイシェン卜ケア
1 医療環境
2 患者の援助技術
3 患者の全身状態の観察
B 診療放射線技師に求められる医療コミュニケーション
1 検査説明における
インフォームド・コンセント
2 障害のある患者への対応
3 患者の人権に配慮した対応
C 放射線画像検査における医療コミュニケーション
1 検査概要の説明
2 医療安全にかかわる確認
3 検査の質にかかわる説明
4 注意事項などの説明
D 核医学検査における
医療コミュニケーション
1 検査概要の説明
2 医療安全にかかわる確認
3 検査の質にかかわる説明
4 注意事項などの説明
E 放射線治療における医療コミュケーション
F ほかの職種との医療コミュニケーション
G 診療放射線技師に対する患者満足度
1 医療の質の要素
2 診療放射線技師における医療サービスとは
3 医療における顧客満足度
H 医療におけるハラスメント
1 パワー・ハラスメン卜
2 セクシャル・ハラスメン卜
3 ドクター・ハラスメン卜
12 チーム医療における診療放射線技師の役割と責任
A 医療専門職による協働
1 チーム医療
2 チーム医療推進の目的と効果
3 チーム医療の歴史
B 医療福祉専門職との連携
C 情報共有とコミュニケーション
1 口頭での情報共有
2 電子カルテ
3 カンファレンス
4 クリニカルパス
13 診療放射線技師に求められる放射線管理の知識
A 放射線安全管理学
1 放射線防護の基本理念
2 放射線防護体系
3 放射線防護で用いられる諸量
4 放射線被ばくの種類
5 放射線被ばくの特徴
B 放射線管理用の計測装置
C 放射線測定技術
1 電離作用を利用した測定装置
2 励起作用を利用した測定装置
3 個人被ばく測定用検出器
D 個人の放射線被ばく管理と施設・環境測定
1 外部被ばく測定
2 内部被ばく測定
3 放射線取扱者の線量限度
4 施設・環境測定
E 放射線取扱施設の管理
1 管理区域
2 放射線取扱施設の管理
F 放射線管理の具体的方法と事故対応
1 線源管理等
2 放射性廃棄物の廃棄
3 放射線事故
14 診療放射線技師に求められる医療安全管理の知識
A 医療におけるリスクマネジメント
1 診療録などの管理
2 疑義照会
B 医療事故の防止
1 インシデントとアクシデント
2 インシデントレポート・アクシデントレポート
3 医療事故の防止と対策
C 診療放射線技師に対する医療訴訟
1 医療過誤
2 医療事故
D 感染対策
1 院内感染
2 標準予防策(スタンダードプリコーション)
3 感染経路予防策
E 救命処置
1 一次救命処置(BLS)
2 二次救命処置(ALS)
F 放射線機器やシステムの品質・安全管理
1 受け入れと保守
2 管理体制と対策
3 関係法規
4 システムの安全や品質に関連する規格
5 品質管理ガイドライン
G 放射線部門におけるBCP
1 長期的災害(自然災害,人災)
2 危機管理
3 災害復旧
15 診療放射線学研究
A 診療放射線学研究
1 診療放射線技師が行う研究の意義
2 診療放射線学研究の種類と研究デザイン
B 高等教育(大学・大学院)における診療放射線学研究
1 学士課程における研究(卒業研究)
2 修士課程における研究
3 博士課程における研究
C 学術団体,研究会における学術研究
1 学会活動
2 地域での活動
3 研究会・講習会・各種セミナー
D 研究計画の立案
E 研究費
1 科学研究費(科研費)
2 研究助成金
F 学会発表
G 論文投稿
1 論文執筆
2 査読
参考文献
索 引
医療従事者の多くは,大学・大学院や専門学校などそれぞれの資格養成課程で教育を受け,国家資格や認定資格を取得しなければなりません.高校を卒業して大学や専門学校でそれぞれの教育を受ける際,多くの学生は,自分自身の目指す医療職や学ぶ内容について漠然としか理解できていないと思います.そのため1 年生,または2 年生の早期の段階で自身が目指す医療職の歴史,仕事内容,将来展望などを総合的に知ることは,その後に学ばなければならない教育内容の全体像を知るためにも,自分自身が将来医療従事者として働く姿をイメージし意欲と希望をもって勉学に励むためにも,大変意義深いことだといえます.しかし,診療放射線技師に必要な科学や技術と臨床に関する知識や技術を,仕事と直結した概論としてまとめるのはとても難しいことです.その理由は,診療放射線技師の教育課程が学際的で非常に広い範囲にわたることと,診断,治療,核医学,医療情報などの各分野がそれぞれに高度化し,すべての分野を深く知る人がいないためです.そこで本書では,診療放射線技師になるために必要な放射線やそれを用いた放射線医療に関する高度な知識・技術を含む診療放射線学を大学や専門学校の1,2 年生,さらにいえば高校生でもわかるよう過不足なくまとめるために,大学教育の現場において第一線で活躍されている診療放射線技師の資格をもつ先生方にお願いし,それぞれの専門領域の概論をわかりやすい図表や表現を用いて執筆していただきました.こうして仕上がった本書は,診療放射線学概論としての目的を十分に満たす優れた教科書になっています.読んでいてさらに感じたことは,診療放射線技師を目指す学生だけではなく,臨床で働いている診療放射線技師の方々が自身の未経験分野の現状を知るのにも役立つこと,また,高校生が進路を検討する際に診療放射線技師とはどのような職業であるのかを知るための読本としても適しているということです.
本書が,診療放射線学を学ぶ皆様にとって役に立つことを確信しています.最後になりましたが,編集を担当された西山 篤先生,星野修平先生をはじめ,ご多忙な中,各章を執筆いただいた多くの先生方,そして南江堂の担当の皆様に心から感謝申し上げます.
2022 年2 月
石田隆行