かんたん看護研究改訂第2版
さがす・つくる・仕上げる
編集 | : 桂敏樹/星野明子 |
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ISBN | : 978-4-524-22507-1 |
発行年月 | : 2020年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 234 |
在庫
定価2,640円(本体2,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
どこから取り組めばよいかわからない、難しくてうまく進められない「看護研究」をやさしく導き、本書どおりに進めれば効率よく仕上がる、看護研究のガイドブック。ポイントをおさえたやさしい解説で、苦手意識を取り除き、「あなた」の看護研究が上手に仕上がるようになる最適な一冊。今改訂では文献の検索方法や倫理審査に関する項目をアップデート。現代に即した使いやすい参考書となった。
第1歩 看護研究のテーマを探してみよう
1 臨床の現場で感じる疑問や悩みから研究を思い付こう
1 臨床の現場に何があるの?
2 ニーズとシーズって何?
a ニーズとシーズ
b ニーズとシーズの融合
3 ニーズとシーズの融合によるケアの創造はなぜ必要なの?
2 臨床で気付いたことを問題としてとりあげよう
1 臨床の現場で感じる気付きや疑問って何?
a それは研究の問いなの?
2 看護研究につながる疑問を生むための姿勢って何?
a あなたの関心がある領域は?
b 問題意識をもつって?
c 研究論文を読むって?
d ディスカッションするって?
3 看護研究はどこからどのようにスタートするの?
a まず何を考えればよいの?
b スタートですることは何?
c 研究テーマの絞り込みで大切なことは何?
第2歩 看護研究のテーマを決めよう
1 問題に関連する研究を文献検索して見つけよう
1 文献検索は何に役立つの?
a 文献検索と文献検討とは?
2 そもそも文献とは?
a 文献とはどのようなもの?
b 一次文献と二次文献とは?
3 どのような文献をどのように集めるの?
a インターネットでデータベースを使いこなすって?
b 文献検索に必要なスキルとは?
c メモで残すって?
2 研究論文をクリティークしよう
1 研究論文をクリティークするとは?
a 研究の価値を見極めるって?
b 研究論文をクリティークするときの視点と気を付けたいことは何?
2 何のために研究論文をクリティークするの?
3 どのように研究論文をクリティークするの?
a 自分の研究に役立つ研究とそうでない研究の見分け方は?
b 自分の研究に役立つ研究の文献カードを作成する方法は?
c 自分の研究に役立つ研究の分類と整理の仕方は?
d 自分の研究を行う意義と根拠をまとめる方法とは?
4 研究論文をクリティークすることは何に役立つの?
a 自分の研究能力を高める方法とは?
b クリティークした内容を自分の研究に活かすには?
c 自分の看護実践に研究成果を活かすには?
第3歩 看護研究計画書を組み立てよう
1 研究の問いから研究の枠組みを整理しよう
1 研究の枠組みとは?
2 なぜ研究の枠組みが必要なの?
3 研究デザインには何があるの?
4 量的研究方法と質的研究方法のどちらを選べばよいの?
5 研究助成金を獲得するにはどうしたらよいの?
a 研究経費とは?
b 研究助成金獲得を実現するには?
2 量的研究とその研究デザインはこう使おう
1 量的研究とは?
2 量的研究にはどのようなものがあるの?
3 どのような場合に量的なアプローチの研究デザインを選択するの?
4 代表的な量的研究は実際にどうやるの?
a 記述的研究(記述疫学)の概要
b 分析的研究(分析疫学)の概要
c 介入研究の概要
d 量的研究のサイクル
5 量的研究を実際に行うためには何を知ればよいの?
a 記述的研究の実際
b 分析的研究(分析疫学)の実際
c 介入研究の実際
6 量的研究を行うための具体的な方法とは?
a 対象の抽出
b データの収集方法
7 量的研究のデータ分析の具体的な方法とは?
a 分析のためのデータの入力と処理
b データの正しい入力と処理
8 初学者にもできる統計的手法を使った分析はどうやるの?
a 変数の測定尺度
b 一次集計(1つの変数)
c 二次集計(2つの変数の関係あるいは差)
d 分析結果の示し方
3 質的研究とその研究デザインはこう使おう
1 質的研究とは?
2 質的研究のデータ収集法とは?
a インタビュー
b 観察
c データ収集法の選択の原則
3 質的研究のデータ分析法とは?
a 帰納重視タイプ←→演繹重視タイプ
b コード化・理論化重視タイプ←→詳細記述重視タイプ
4 代表的な質的研究は実際にどう展開するの?
a 研究テーマの設定と文献レビュー
b データの収集と分析
c 論文執筆/結果のまとめ方
5 代表的な質的研究は実際にどうやるの?
a グラウンデッド・セオリー・アプローチの概要
b KJ法の概要
c エスノグラフィー法の概要
d ライフストーリー法の概要
e 現象学的アプローチの概要
f 事例分析法の概要
6 質的研究で重要なことは何?
4 研究を行う上での倫理上の問題を考えよう
1 看護研究を行う上での倫理とは?
a 看護における倫理
b 看護研究における倫理
2 倫理審査を受けなければならない看護研究とは?
3 倫理上の配慮のポイントとは?
a もっとも大切な対象の自由意思の尊重とは?
b 真のインフォームド・コンセントを得るためには?
c 個人情報はどう保護するの?
d データ管理の留意点は?
e 倫理審査申請の流れ
5 実施に即した具体的な研究計画書をつくろう
1 研究計画書とは?
2 なぜ研究計画書を書く必要があるの?
3 一般的な研究計画書では何を書けばよいの?
a 研究タイトル(研究課題名)を書く
b 研究しようとする問題の背景を書く
c 研究動機と研究目的を書く
d 研究の意義を書く
4 研究助成金を得るための研究計画書の書き方とは?
a 研究の概要(要旨)
b 研究の学術的背景
c 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
d 当該分野における本研究の学術的な特色および予想される結果と意義
6 研究計画書に沿って研究を実施しよう
1 研究の実施で気を付けることは何?
第4歩 発表のための論文をつくろう
1 研究を論文にまとめてみよう
1 論文にまとめる意義とは?
2 論文はどうつくるの?
a 論文の全体構成を考える
b 書ける部分からどんどん記述していこう
c ここまでにまだ書けていない部分を記述しよう
2 学会発表の抄録をつくろう
1 学会発表の抄録をつくるには?
a 抄録に必要な内容
b 抄録作成に必要なポイントは?
第5歩 看護研究を次に活かそう
1 研究成果を臨床に活かそう
1 事例研究は実践に活かせるの?
2 臨床における研究の本来の目的は何だったの?
3 臨床に活かせる確かなエビデンスが得られたかどうかを知るには?
a エビデンスとは?
b あなたの看護研究からエビデンスが得られたか?
4 研究成果を臨床の看護に活かすにはどうしたらよいの?
2 次の研究につなげよう
1 実施した研究の問題点は何?
2 次の研究に向けて何を準備すればよいの?
索引
改訂第2版 はじめに
年号が令和に変わり新しい時代を迎えました。医療においてはさまざまな再生医療の臨床応用が始まっています。またAIによる新しい治療法や薬剤の開発も進んでいます。患者さんに大きな恩恵をもたらす、新たな治療や創薬に社会の期待が高まっています。
近未来において医療がどのように変貌しているかを予測しにくい時代に、看護学が果たすべきミッションは何でしょうか。看護専門職としてのビジョンは何か、ストラテジは何かを自問自答しなければなりません。しかし時代が変わっても看護師に求められるものは患者さんに寄り添い、ニーズをアセスメントし、それを満たす看護ケアを実践し、そして新たなケアを開発することに変わりはありません。そのためには臨床の看護師がケアの質の担保と有効なケアの開発を目指し、自立して研究できるプロフェッショナルになることが必要です。
改訂版では最新の倫理規定や文献検索の方法などに差し替えて、すぐに研究実施に役立つ内容に刷新しました。しかし初めて研究にトライしようとする皆さんの理解を育むために本書の特徴である、以下の1〜6の項目は大切にして踏襲しました。
1.初めて看護研究に取り組もうとする皆さんが、「研究岳」に迷うことなく登頂し無事に下山できるように、1歩1歩確実に進むための道標を示します。
2.道標として、研究の1歩1歩を短い「問い」とその「回答」で示しています。最初に、これから踏み出す1歩を大まかに理解して、その後読み進めると内容の理解が深まります。
3.図表やイラストを多く盛り込み、イメージを助けます。また「たとえば」や「作成例」で具体的な例を示して理解を深めるように工夫しています。
4.初めて見る専門用語に出合った場合は、その近くにある案内板がQ&Aでやさしく解説します。専門用語をおそれずに、基礎的な知識を増やしましょう。
5.ゆっくりで構いませんので本書を読み終えましょう。あなたのペースで歩1歩「研究岳」に登頂し下山するのに必要な基礎的な体力と知力が育つように全体を構成しています。
6.研究は一度きりではありません。今の研究が未来の研究につながります。研究を継続し経験を積み重ねることが未来への扉を開きます。おそれずに研究にトライしましょう。
皆さんが本書を手元に添えて研究を終えたときは、また新しい研究を始めようと目を輝かせていることでしょう。将来の看護を担う皆さんの最初の1歩に拍手!
今後、さらに研究を進めていこうと探求心が高まった皆さんには、新たに「かんたん看護研究」の続版を企画しています。出版日を期待してお待ちください。よろしくお願いいたします。
最後に本書を改訂するにあたり、多くのご助言、ご支援をくださいました南江堂看護編集部の梶村野歩雄氏、森翔吾氏はじめ諸氏に深謝いたします。
2020年1月
桂敏樹