レーザー医療の基礎と安全改訂第2版
編集 | : 日本レーザー医学会安全教育委員会 |
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ISBN | : 978-4-524-22436-4 |
発行年月 | : 2024年10月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 138 |
在庫
定価4,730円(本体4,300円 + 税)
正誤表
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2024年11月05日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
レーザー医療を安全に行うための注意点を中心に,レーザーの原理,装置の特徴と各疾患での臨床応用までを網羅.基礎研究者,臨床医およびレーザーを取り扱う医療従事者を読者対象とし,豊富な図表で丁寧にわかりやすく解説.
T.光とレーザーの基礎
1 光とその性質
A.光は電磁波である
B.光の波長
C.光の回折による拡がりと集光
D.光の反射と屈折
2 レーザーとは
A.レーザーの原理
B.レーザー装置
C.レーザー光の特徴と医学的意義
3 レーザー特性とその表記法,測定法
A.放射パワーと放射エネルギー
B.単一パルスレーザー
C.繰り返しパルスレーザー
D.レーザーの空間特性
E.単位のまとめ
F.レーザービームの日常点検
演習問題
U.医用レーザーの基礎
1 レーザー生体作用の基礎
A.光の吸収と散乱による減衰
B.もう一つの反射:拡散反射
C.生体の主な光吸収体と吸収スペクトル
D.光が吸収されて何が起こるか?
2 各種医用レーザー
A.各種医用レーザーの特性と適用
B.一般的な医用レーザー装置の構成
C.CO2レーザー装置
D.Er:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザー装置
E.Ho:YAG(ホルミウム・ヤグ)レーザー装置
F.Nd:YAG(ネオジウム・ヤグ)レーザー装置
G.半導体レーザー装置
H.アレキサンドライトレーザー装置
I.半導体励起固体レーザー装置
J.色素レーザー装置
K.ArFエキシマレーザー装置
L.LED
3 医用レーザー伝送路
A.光ファイバー(中実型)の構造と原理
B.光ファイバーの特性
C.光ファイバーに関する注意
D.その他の伝送路
文 献
演習問題
V.代表的なレーザー治療の原理と注意事項
1 軟組織の凝固と蒸散治療
A.軟組織の凝固
B.軟組織の蒸散
C.消化器癌に対するCO2レーザーを用いた内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)
2 歯科,口腔領域におけるレーザー治療
A.歯科,口腔領域におけるレーザー治療の現状
B.歯へのレーザー照射と熱的影響
C.安全対策と事故防止
3 皮膚領域におけるレーザー治療
A.皮膚領域におけるレーザー治療の特徴
B.選択的光熱融解(Selective Photothermolysis:SP)の理論
C.選択的光熱融解(Selective Photothermolysis:SP)の応用
D.色素性病変に対するレーザー治療
E.血管病変に対するレーザー治療
F.レーザー脱毛
G.非特異的な光熱作用による治療
H.フラクショナルレーザーによる治療
4 フォトアブレーション(Photoablation)
A.レーザーの生体作用とフォトアブレーション
B.フォトアブレーションの応用:眼科領域
5 パルスレーザーによる破砕,切削と前立腺肥大症手術
A.経尿道的尿管砕石術
B.経尿道的膀胱砕石術
C.レーザー前立腺手術
6 光線力学治療
A.PDTの作用メカニズム
B.光感受性物質
C.PDT用レーザー装置
D.PDT施行時の注意点
E.PDT の適用例
7 LLLT(低レベルレーザー治療)
A.LLLTの歴史
B.LLLTの適用と装置
8 レーザー治療における特殊な照射方法
A.接触照射
B.穿刺照射
C.血管内レーザー焼灼
文 献
演習問題
W.レーザー治療に関する安全対策の実際
1 レーザー安全の考え方
A.レーザーはなぜ危険なのでしょうか
B.角膜上の放射露光と網膜上の放射露光
C.可視光と非可視光による傷害部位の相違
D.最大許容露光量(MPE)
E.レーザー製品のクラス分けとレーザー安全規格
F.医療用レーザーにおける安全の特徴
2 レーザー製造業者が行う安全対策
A.ラベル:レーザー製品の安全基準の表示
3 使用者が行わなくてはならない安全対策
A.使用者が行わなくてはならない安全管理体制の構築と障害予防対策
B.保護めがねの着用義務
C.レーザー光による危険範囲の推定
4 臨床現場における対策の実際と諸問題
A.臨床現場での安全対策の実際
B.臨床現場で起こりうる諸問題
文 献
演習問題
演習問題の正解と解説
索 引
はじめに
改訂第2版刊行によせて
『レーザー医療の基礎と安全』の初版は2016年の8月に発刊され,約8年が経過しました.この間,本書は日本レーザー医学会が主催する定例安全教育講習会,国が新規レーザー治療機器の承認に当たって義務づけている企業主催の安全講習会等の教科書として活用されてきました.また,当学会が認定しているレーザー専門医等の個人資格取得に必要な専門医制度試験も本書に準拠しており,レーザー医療の安全に重要な役割を果たしてきたと思います.しかしレーザー医療機器の進歩は著しく,新たな治療応用も登場していることから,このたび安全教育委員会では本書の改訂版を刊行することにいたしました.
本書の構成は,初版と同じ4章よりなります.基礎的な内容である,第T章「光とレーザーの基礎」と第U章「医用レーザーの基礎」に大きな修正はありませんが,「各種医用レーザー(2節)」において機器の多くを新しい写真に入れ替えました.最も大きな改訂を行ったのは第V章「代表的なレーザー治療の原理と注意事項」で,従来の「皮膚科領域におけるレーザー治療(3節)」を皮膚科と形成外科の両方が含まれることを明確に表現するため「皮膚領域におけるレーザー治療」とし,治療応用技術の進展を反映すべく内容も全面的に改訂いたしました.また同様に「フォトアブレーション(4節)」,「光線力学治療(6節)」も全面的に修正いたしました.その他,新しい動向として「軟組織の凝固と蒸散治療(1節)」にCO2レーザーを用いた内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)を,またコラムで光免疫療法(PIT:Photoimmuno Therapy)(6節)を加えました.さらに各章の演習問題も刷新いたしました.本改訂版が,レーザー医療現場の安全性のさらなる向上に役立つことを祈念しております.
最後に,本改訂版の出版にご尽力いただいた著者の先生方,当委員会の先生方,学会事務局に厚く御礼申し上げます.
2024年6月
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
安全教育委員会 委員長 中島章夫
前委員長 佐藤俊一