シンプルシリーズ
シンプル解剖生理学
共著 | : 河田光博/樋口隆 |
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ISBN | : 978-4-524-22054-0 |
発行年月 | : 2004年1月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 368 |
在庫
定価3,520円(本体3,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
コメディカル学生向けに新しく編集された解剖生理学の教科書。人体の構造(解剖)と機能(生理)を関連づけて平易に解説。ビジュアルな図を多用し、学習ポイント、キーワード、問題を付して知識の整理に役立つ紙面構成にも配慮。また、随所に多彩なコラムを配し、疾患との関連や最新の知識を盛り込み、学生が興味深く読めるわかりやすい教科書となっている。2色刷。
第1章 からだの構造と機能の概論
1. 解剖生理学とは
第2章 細胞
1. 細胞膜
2. 細胞質
3. 核
4. 細胞周期と細胞分裂
第3章 遺伝とゲノム
1. 遺伝子とゲノム
2. クロマチン
3. 染色体
4. DNAの構造
第4章 組織
1. 組織の構成
第5章 骨
1. 骨の構造
2. 骨組織の構成要素
3. 骨の再構築(リモデリング)
4. 骨髄
5. 骨ができるしくみ(発生)
6. 骨の成長
7. 骨折
8. 関節
9. 骨格
第6章 筋
1. 骨格筋
2. 平滑筋
3. 心筋
第7章 体液と血液
1. 体液
2. 血液の構成と役割
3. 止血
4. 血液型
第8章 免疫系
1. 免疫機構にかかわる器官
2. 防御反応
第9章 循環系
1. 心臓の構造
2. 心筋の興奮
3. 心臓のポンプ作用
4. 血管の構造とはたらき
5. 循環の調節
6. リンパ系
第10章 呼吸器系
1. 呼吸器系の構造
2. 呼吸のしくみ
第11章 代謝、栄養、体温
1. 栄養
2. 体温
第12章 消化器系
1. 消化
2. 栄養素の消化と吸収
第13章 神経系
1. 神経細胞
2. シナプス
3. 神経細胞の電気的興奮
4. シナプスにおける興奮
5. 神経膠細胞
6. 中枢神経
7. 末梢神経
8. 自律神経
第14章 感覚系
1. 視覚系
2. 聴覚系
3. 平衡感覚系(前庭感覚系)
4. 化学感覚系
5. 皮膚
第15章 内分泌系
1. ホルモンとは
2. 視床下部と下垂体のホルモン
3. 甲状腺ホルモン
4. カルシウム代謝に関与するホルモン
5. 副腎のホルモン
6. 膵臓のホルモン
7. その他のホルモン
第16章 泌尿器系
1. 腎臓の構造
2. 腎臓のはたらき
3. 排尿
第17章 生殖と発生
1. 生殖器系の分化と発達
2. 男性生殖機能
3. 女性生殖機能
21世紀は生命科学の時代と言われている。20世紀後半から分子生物学の爆発的な発展によって、多くの生物学的現象の本質が「分子の言葉」で語られるようになった。生命の誕生のメカニズムから生体の死に至るプロセスが明らかにされ、それらの知識は基礎医学、臨床医学の分野の進展に大きく貢献した。これからの社会は、生命とはなにかという根本問題について、個人的にも社会的にも考えていかなければならないものとなろう。
このようなバックグラウンドもあって私達のからだに対する知識は、加速度的に増加の一途にある。人体の構造と機能を学ぶ場合、多くの新しい知識といままでに蓄積されてきたものが有機的に統合されて、はじめて身につく知識となる。
元来、解剖学、生理学という学問体系は私達が系統分類化した結果である。このような学問体系に従って身体を理解する方がより効果的であるとの考え方に、人体解剖学、生体生理学というものが存在していたのである。その結果、今までの解剖生理学の教科書は、解剖学と生理学を単につぎあわせた嫌いがあり、往々にして記載や内容に重複があった。
本書、「シンプル解剖生理学」は、医学部やコメディカルの解剖学、生理学の教鞭をとって25年を越える二人が、いままでの教育経験を活かしながら、解剖学と生理学を切り離さずに人体の構造と機能を融和させ、一体化させることを目的に執筆したものである。医学の入門として、また、看護学や医療に携わろうと志す学習者や、あるいは生命科学を考える人達を対象として、今までに積み上げられた知識を中心に、新しく発見された知見も随所に付け加えながらまとめた。とくに図の構成などにはことのほか配慮した。
本書が企画されてから約6年の年月が流れた。この間、大学改革の波にのまれ、大学で職を持つ者にとっては会議などに忙殺されることが多く、また、研究においてもある意味で熾烈な競争を強いられる身であった。また、執筆者の一人の妻が黄泉の世界に旅だったこともあり、エネルギーの持続には相当の労力を要したが、ここに無事、刊行に至ることができ万感の思いである。
最後に、本書が医学、看護学など将来の医療従事者のみならず、生命科学に興味を持つ人達にとって、人体の構造と機能の理解に少しでも貢献することができれば、なによりの喜びであり、心が満たされる思いである。
2003年11月
河田光博
樋口 隆