書籍

病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック改訂第8版

編集 : 日本病態栄養学会
ISBN : 978-4-524-21879-0
発行年月 : 2025年3月
判型 : B5判
ページ数 : 374

在庫あり

定価4,290円(本体3,900円 + 税)

  • 新刊

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本病態栄養学会による「病態栄養専門管理栄養士」認定のための教育セミナー指定テキスト.今改訂では目次構成の大幅な見直しを行い,『臨床に必要な基礎知識』の章を新設し,「日本人の食事摂取基準」,「GLIM基準」,「リハビリテーション」,「健康医療データの活用」,「医療安全」など日常臨床に直結する項目を追加した.その他にも「腸内細菌と栄養」,「症例報告の書き方」の項目などを追加し,より使いやすい書籍を目指した.

第1章 日本病態栄養学会の高度専門職業人認定
 1.病態栄養学の必要性と専門家の育成

第2章 病態栄養の基礎知識
 1.糖質・脂質・たんぱく質
 2.電解質の機能・ビタミン欠乏症
 3.咀嚼・嚥下機能
 4.消化と吸収機能
 5.腸内細菌と栄養
 6.内分泌,脳神経系と栄養
 7.免疫系と栄養

第3章 臨床に必要な基礎知識
 1.日本人の食事摂取基準:臨床家としての読み方と使い方
 2.GLIM 基準(低栄養の診断基準)
 3.栄養療法に必要なリハビリテーションの基礎知識
 4.医薬品と食品の相互作用
 5.病態栄養における健康・医療データの活用
 6.医療安全
 7.栄養サポートチーム(NST)の意義
 8.地域包括ケアにおける管理栄養士の役割

第4章 栄養アセスメントとケアプラン
 1.栄養スクリーニング,栄養不良の診断
 2.栄養不良に伴う症状と身体所見
 3.身体計測(体組成)の評価
 4.臨床検査値の評価
 5.栄養必要量の算出
 6.症例報告の書き方

第5章 栄養補給法
 1.栄養療法総論(適応,禁忌,合併症)

第6章 疾患における栄養療法
 1.消化器疾患
  @上部消化管疾患
  A下部消化管疾患
  B肝疾患
  C胆道・膵疾患
 2.代謝疾患
  @糖尿病
  A脂質異常症
  B肥満症・メタボリックシンドローム
  C高尿酸血症と痛風
  D骨粗鬆症
  E先天代謝異常症
  Fその他の内分泌疾患
 3.呼吸器疾患
  @慢性閉塞性肺疾患
  A誤嚥性肺炎
 4.循環器疾患
  @高血圧
  A動脈硬化
  B冠動脈疾患土
  Cうっ血性心不全
 5.腎疾患
  @急性腎障害(AKI)
  A腎代替療法
  B慢性腎臓病
   a)総論(糖尿病関連腎臓病,IgA 腎症含む)
   b)ガイドラインに基づいた栄養療法
   c)個々に考慮すべき病態での栄養療法
 6.血液疾患
 7.食物アレルギー
 8.褥瘡
 9.摂食障害(神経性やせ症,神経性過食症)
 10.リハビリテーションにおける栄養管理
 11.がん・悪液質の栄養療法
 12.周産期医療
  @妊産婦―妊娠高血圧症候群
  A妊産婦―糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病
 13.集中治療における栄養管理
 14.周術期における栄養管理
 15.災害と栄養管理

第7章 ライフステージ別の栄養補給の特徴と問題点
 1.新生児・低出生体重児
 2.小児布川香織 332
 3.高齢者(サルコペニア,フレイルを含む)

第8章 臨床研究・倫理指針

巻頭言

 わが国は世界で最も高齢化が進み,国民の健康寿命の延伸が大きな課題となっています.栄養療法はすべての治療の根幹であるため,増加するサルコペニアやフレイルの対策に有益であり,健康寿命の延伸に必要不可欠です.特に栄養療法は費用対効果が非常に優れるため,医療費が続伸するわが国で推進すべき予防・治療法として重要基盤に位置づけられています.そのため各学会の診療ガイドラインでは,疾患と重症化の予防とともにADL の維持・向上に着目した栄養療法の指針が検討されています.しかるに,どの個人やチームでも疾患栄養治療に一定の成果をあげうるとは限りません.そこで本学会では,2002 年より「病態栄養専門管理栄養士」制度を立ち上げ,栄養管理において高度な専門的技能を有する人材育成を行い,これまで5,055 名を輩出しています.病態栄養専門管理栄養士は,生活習慣病をはじめNST の中核的な役割を担い,適切な栄養療法の確立と均てん化の推進など,その活躍の成果が報告されています.2016 年の診療報酬改定では,その成果より22 年ぶりに栄養指導料の増点と対象疾患の拡大をもたらし,これは病態栄養専門管理栄養士の自立自存のための歴史的な出来事といえます.

 今日,医療の高度化と並行して栄養療法もまた激流のごとく深化しています.わが国は高齢化が急速に進行したため,学問の発展が追いつかずに栄養療法にかかわる対策が遅れていることが大きな課題です.また,わが国を含むどの先進国でも高齢者に対する栄養推奨量に明確な科学的根拠はなく,疫学をもとに設定されていることも課題です.特に高齢の担がん患者や非感染性疾患の罹患者は多く,本学会では幅広い疾患栄養治療に対応できる「病態栄養専門管理栄養士」の上位資格として,がん・糖尿病・腎臓病・肝疾患の専門領域に特化した認定を2013 年より開始しています.2022 年診療報酬改定では,外来化学療法にかかわる栄養管理の充実として,高度な専門的技能を有する「がん病態栄養専門管理栄養士」が評価され,外来栄養食事指導料の実質的な増点となりました.これからも最新かつ適切な栄養療法を国民に提供するため,これらの課題に対応できる病態栄養専門管理栄養士の活躍が望まれています.

 本書は多領域の疾患における疫学と基礎医学,また科学的根拠に基づいた栄養療法の知識の整理や最新知見を学べるよう集約したベストプラクティスです.後世を担う病態栄養専門管理栄養士の栄養療法バイブルとして活用いただけることを祈念します.

2025 年春
日本病態栄養学会 理事長
清野 裕



改訂第8 版 序文

 『病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック』(編集:日本病態栄養学会)は2002 年に初版が発行されて以来,今回2025 年の改訂で第8 版になります.

 本書を教本として行われている病態栄養管理栄養士試験も2003 年から開始され,2024 年には病態栄養専門管理栄養士試験も23 回を数えています.また受験準備のためのセミナーやe-learning はこの教本をもとに行われており,病態栄養専門管理栄養士受験のための準備教材として広く活用されています.さらに病態栄養専門管理栄養士を受験される方の年齢層も低下しており,本資格取得後に上部資格(がん,糖尿病,腎臓病,肝疾患などの各病態栄養専門管理栄養士)を目指す方も増えています.

 今回の改訂では,日々の日常臨床に役立つ内容を新たに加えています.

 今回新たに「臨床に必要な基礎知識」の章を新設し,日本人の食事摂取基準,GLIM 基準,リハビリテーション,健康医療データの活用,医療安全など日常臨床に直結する項目を追加しました.また患者さんからも直接質問されることの多い項目として,咀嚼・嚥下機能や腸内細菌と栄養の関係についても項目を新設しています.病態栄養専門管理栄養士の申請の際に症例報告を提出しますので,症例報告の書き方も参照していただければと思います.

 このように項目は増えましたが,がん,糖尿病,腎臓病,肝疾患などの病態専門管理栄養士に関する項目は,それぞれのガイドブックを参照していただくようにし,ページ数を抑えて持ち運びができるようにしています.治療ガイドラインや診断基準は現時点での最新の内容にアップデートしていますが,最新の動向の把握には学会や教育セミナーへの参加などもご活用ください.

 今回も執筆者よりいただいた原稿について,病態栄養専門管理栄養士委員会の委員による査読や,パブリックコメントに基づき,修正を行いました.

 改訂にあたりご尽力いただいた,執筆者,病態栄養専門管理栄養士委員会各委員,パブリックコメントにご意見をいただいた諸先生に厚くお礼申し上げます.最後に,きめ細かいアドバイスをいただいた北谷直美先生,担当理事の大部正代先生,日本病態栄養学会事務局,南江堂編集部に重ねてお礼申し上げます.

2025 年3 月吉日
日本病態栄養学会 病態栄養専門管理栄養士委員会 委員長
飯塚 勝美

9784524218790