ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン2024
監修 | : 日本神経学会 |
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編集 | : 「ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン」作成委員会 |
ISBN | : 978-4-524-21865-3 |
発行年月 | : 2024年6月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 188 |
在庫
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本神経学会によるギラン・バレー症候群(GBS),フィッシャー症候群(FS)のオフィシャルなガイドラインの改訂版.前版以降に蓄積されたGBS/FSに関する臨床・基礎研究にもとづき,疾患に関する基礎的な情報,検査,治療および管理に関する情報を実臨床にあわせて整理を行った.臨床上重要となるクリニカルクエスチョン(CQ)については推奨を示し,背景・目的、解説を詳述し,臨床医の日常診療を支援する必携の一冊となっている.
第1章 ギラン・バレー症候群 <総論>
1. 疾患概念
Q&A 1‑1 ギラン・バレー症候群とはどのような疾患か?
2. 疫学
Q&A 2‑1 ギラン・バレー症候群の発症頻度はどれくらいか?
3. 病態
Q&A 3‑1 ギラン・バレー症候群の病態はどのようなものか?
4. 臨床経過
Q&A 4‑1 ギラン・バレー症候群は発症後どのように経過するか?
5. 診療アルゴリズム
5‑1 ギラン・バレー症候群の診療の流れ(診療アルゴリズム)
第2章 ギラン・バレー症候群 <臨床的事項>
6. 先行感染・イベント
Q&A 6‑1 ギラン・バレー症候群の先行感染にはどのようなものがあるか?
Q&A 6‑2 ギラン・バレー症候群の感染以外の先行イベントとしてどのようなものがあるか?
7. 臨床症状
Q&A 7‑1 ギラン・バレー症候群の臨床病型・臨床亜型にはどのようなものがあるか?
Q&A 7‑2 ギラン・バレー症候群の病型と先行感染の関連はどうか?
Q&A 7‑3 ギラン・バレー症候群の臨床症状の特徴はどうか?
第3章 ギラン・バレー症候群 <診断>
8. 診断総論
Q&A 8‑1 ギラン・バレー症候群はどのように診断するか?
Q&A 8‑2 ギラン・バレー症候群の診断のために行うべき検査は何か?
Q&A 8‑3 ギラン・バレー症候群の鑑別診断にはどのようなものがあるか?
Q&A 8‑4 急性発症のCIDPとギラン・バレー症候群はどのように鑑別するか?
Q&A 8‑5 治療関連変動・再発性ギラン・バレー症候群とCIDPはどのように鑑別するか?
9. 電気生理学的検査
Q&A 9‑1 電気生理学的検査として何を行うべきか?
Q&A 9‑2 ギラン・バレー症候群の診断において電気生理学的検査はどのように役立つか?
Q&A 9‑3 脱髄型ギラン・バレー症候群および軸索型ギラン・バレー症候群は電気生理学的にどのように鑑別するか?
Q&A 9‑4 脱髄型ギラン・バレー症候群および軸索型ギラン・バレー症候群の病型を決定する意義は何か?
10. 脳脊髄液検査
Q&A 10‑1 脳脊髄液検査はギラン・バレー症候群の診断に必要か?
Q&A 10‑2 ギラン・バレー症候群の脳脊髄液検査ではどのような所見がみられるか?
11. 血液学的検査
Q&A 11‑1 ギラン・バレー症候群の診断に有用な血液検査にはどのようなものがあるか?
Q&A 11‑2 糖脂質抗体測定によって何がわかるか?
Q&A 11‑3 糖脂質抗体以外にギラン・バレー症候群と関連する免疫学的マーカーはあるか?
12. 画像検査
Q&A 12‑1 ギラン・バレー症候群で行われる画像検査にはどのようなものがあるか?
13. 病理
Q&A 13‑1 神経生検は有用か?
第4 章 ギラン・バレー症候群 <治療 >
14. 治療総論
Q&A 14‑1 ギラン・バレー症候群の治療にはどのようなものがあるか?
Q&A 14‑2 どのようなギラン・バレー症候群に免疫療法を考慮するか?
Q&A 14‑3 血漿浄化療法と経静脈的免疫グロブリン療法のどちらを選択すべきか?
15. 血漿浄化療法
CQ 15‑1 血漿浄化療法はギラン・バレー症候群の治療に有用か?
Q&A 15‑2 血漿浄化療法はどのように施行するのか?
16. 経静脈的免疫グロブリン療法
CQ 16‑1 経静脈的免疫グロブリン療法はギラン・バレー症候群の治療に有用か?
Q&A 16‑2 経静脈的免疫グロブリン療法はどのように施行するのか?
Q&A 16‑3 どのようなギラン・バレー症候群に再度の経静脈的免疫グロブリン療法を行うか?
17. その他の免疫療法
CQ 17‑1 副腎皮質ステロイド薬の単独療法はギラン・バレー症候群の治療に有用か?
CQ 17‑2 経静脈的免疫グロブリン療法や血漿浄化療法と副腎皮質ステロイド薬の併用は有用か?
CQ 17‑3 経静脈的免疫グロブリン療法と血漿浄化療法の併用は有用か?
Q&A 17‑4 経静脈的免疫グロブリン療法,血漿浄化療法,副腎皮質ステロイド薬以外の免疫調整療法(治療法)は有用か?
Q&A 17‑5 妊娠を伴うギラン・バレー症候群の治療はどのように行うか?
Q&A 17‑6 小児ギラン・バレー症候群の治療はどのように行うか?
Q&A 17‑7 高齢者ギラン・バレー症候群の治療はどのように行うか?
18. 支持療法
Q&A 18‑1 ギラン・バレー症候群ではどのような場合に支持療法が必要となるか?
Q&A 18‑2 ギラン・バレー症候群の球麻痺にはどのように対応するか?
Q&A 18‑3 ギラン・バレー症候群ではどのような場合に気管挿管・人工呼吸管理を行うか?
Q&A 18‑4 ギラン・バレー症候群の自律神経障害合併例にはどのように対応するか?
Q&A 18‑5 ギラン・バレー症候群に合併する抗利尿ホルモン分泌不適合症候群にはどのように対応するか?
Q&A 18‑6 ギラン・バレー症候群の遅発性顔面神経麻痺にはどのように対応するか?
Q&A 18‑7 ギラン・バレー症候群では,どのような場合に血栓予防が必要となるか.また,血栓予防はどのように行うか?
Q&A 18‑8 ギラン・バレー症候群の疼痛管理はどのようにすべきか?
Q&A 18‑9 ギラン・バレー症候群のリハビリテーション治療はどのように進めるか?
Q&A 18‑10 ギラン・バレー症候群の疲労にはどのように対応するか?
Q&A 18‑11 ギラン・バレー症候群の既往がある人にワクチン接種はどうするべきか?
第5章 ギラン・バレー症候群 <予後予測>
19. 予後予測
Q&A 19‑1 ギラン・バレー症候群の予後とはどのようなものか?
Q&A 19‑2 予後と関連する因子には何があるか?
Q&A 19‑3 どのように予後を予測するか?
第6章 フィッシャー症候群 <総論>
Q&A 1 フィッシャー症候群の疾患概念はどのようなものか?
Q&A 2 フィッシャー症候群の疫学はどのようなものか?
Q&A 3 フィッシャー症候群の病態はどのようなものか?
Q&A 4 フィッシャー症候群の臨床経過はどのようなものか?
第7章 フィッシャー症候群 <臨床的事項>
Q&A 5 フィッシャー症候群の先行イベントにはどのようなものがあるか?
Q&A 6 フィッシャー症候群の臨床像はどのようなものか?
Q&A 7 フィッシャー症候群にはどのような疾患スペクトラムがあるか?
第8章 フィッシャー症候群 <診断>
Q&A 8 フィッシャー症候群はどのように診断するか?
Q&A 9 フィッシャー症候群における糖脂質抗体測定の意義は何か?
Q&A 10 フィッシャー症候群の電気生理学的所見はどのようなものか?
Q&A 11 フィッシャー症候群の鑑別診断にはどのようなものがあるか?
Q&A 12 ビッカースタッフ脳幹脳炎とはどのような疾患か?
第9章 フィッシャー症候群 <治療>
CQ 1 経静脈的免疫グロブリン療法はフィッシャー症候群に推奨されるか?
CQ 2 血漿浄化療法はフィッシャー症候群に推奨されるか?
CQ 3 副腎皮質ステロイド薬の単独療法はフィッシャー症候群に推奨されるか?
索引
「ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン2013」 は,日本神経学会が中心となり,関係諸学会ならびに厚生労働省免疫性神経疾患調査研究班の協力を得て作成され,2013 年に刊行された.本ガイドラインはこれを改訂したものである.2013 年以降においても,ギラン・バレー症候群( Guillain‑Barré syndrome:GBS) の病態や治療に関する新たな知見が国内外で蓄積されており,特に,2012年より始まった多施設共同国際的前向き観察研究( International GBS Outcome Study:IGOS) が終了し,高いエビデンスレベルの研究結果が利用可能となった.本ガイドラインは,これらの新たな知見に基づき,疾患に関する基礎的な情報,検査,治療および管理に関する情報を整理し,実臨床において汎用されることを目指して作成された.
なお,European Academy of Neurology (EAN) およびPeripheral Nerve Society (PNS) が2023 年10 月に刊行したGBS 診療ガイドラインについても留意した.当時われわれのガイドラ
イン改訂作業も終盤であったが,このEAN/PNS 作成GBS 診療ガイドラインが今後国際的に汎用される可能性を考慮し,国際的な医療事情の違いを踏まえて,わが国の状況に合わせて内容を取り入れ,改訂を行った.また,フィッシャー症候群に関しては,すでに指定難病に登録され,診断基準も確立されているビッカースタッフ脳幹脳炎の項目を新たに追加した.
今回,さらに特筆すべきことは,重症ギラン・バレー症候群に罹患した経験を持つ医師が本ガイドライン作成委員会の外部委員として参加したことである.患者としての体験と,重度の身体機能障害が残存した場合の生活,管理について示唆に富む意見をいただき,患者の立場に立った情報提供がより強化されたと考えている.紙面の都合もありWeb 上に掲載されているが,ぜひご一読いただきたい.
本ガイドラインでは,本ガイドライン作成委員会が決定した重要臨床課題をもとにClinical Question( CQ) が設定され,システマティックレビューが行われた.推奨度に関しては「 Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」(監修:福井次矢,山口直人,医学書院,第2 刷2015 年3月15日) を参考にして,次のように判定した( 表1).
・推奨の強さを2 段階で表示する:1.強く推奨する,2.弱く推奨する
・エビデンスの強さを4 段階で表示する:A.強い,B.中程度,C.弱い,D.とても弱い
各CQ における推奨は本ガイドライン作成委員会で全員のコンセンサスを得て決定された.文献の検索式・参考にした二次資料は膨大であるため,書籍上には掲載せず,一括してWeb 上に掲載した.検索式の作成・記載については「 Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」(Minds 診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会編集:2021 年3 月22 日発行) を参考にした.
今回,2013 年から5 年以上を経て,当時杏林大学神経内科教授であった千葉厚郎先生を委員長として新たにGBS/FS 診療ガイドライン作成委員会が発足した.2021 年度までの出版を目指し活動を進めたが,COVID‑19 の流行と千葉厚郎教授のご逝去という,予期せぬ事態に遭遇した.委員会の再編と項目の整備を進めたが,刊行が遅れたことについてはこの場を借りてお詫び申し上げたい.
最後に,千葉厚郎教授のご冥福をお祈りするとともに,本ガイドラインが多くの脳神経内科医および非専門医の日常診療に役立つことを心より願う次第である.加えて,多忙ななか多くの時間を割いていただき,本ガイドラインの作成にご尽力いただいた作成委員の先生方にあらためて感謝申し上げたい.
2024 年5 月
ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン作成委員会 委員長
海田 賢一