看護学テキストNiCE
病態・治療論[9] 運動器疾患改訂第2版
![病態・治療論[9] 運動器疾患改訂第2版](https://d1gwi3e1mfwx7l.cloudfront.net/img/goods/L/9784524213993.jpg)
編集 | : 土井田稔/秋山智弥 |
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ISBN | : 978-4-524-21399-3 |
発行年月 | : 2025年2月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 264 |
在庫
定価2,750円(本体2,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
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専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズ(全14冊)の運動器疾患編.医師と看護師の共同編集により,看護学生に必要な知識を網羅.さまざまな症状を理解できる,診断の進め方・考え方がわかる,臨床看護に結びつく知識が得られる,の3点を重視して構成している.今改訂では各種情報を更新したほか,「ロボット支援手術」「脊髄造影検査を受ける患者の看護」を追加した.
序章 運動器疾患の病態・治療を学ぶ意義
1 医療・医学的な観点から
2 看護の観点から
第T章 運動器の基礎知識
1 運動器の構造と機能
1 骨
A.骨の機能
もう少しくわしく▶カルシウム濃度の調節
B.骨の種類と構造
C.皮質骨と海綿骨
D.骨の組成
もう少しくわしく▶造血幹細胞と間葉系幹細胞
E.骨の形成と成長
F.骨の維持
G.骨の修復と再生
2 関 節
A.関節の機能
B.関節の種類と構造
臨床で役立つ知識▶変形性関節症
3 筋・神経
3-1 筋の構造と機能
A.筋の構造
B.筋の機能
3-2 神経の構造と機能
A.脊髄
B.末梢神経
4 腱・靱帯
4-1 腱の構造と機能
A.腱の構造
B.腱の機能
4-2 靱帯の構造と機能
2 運動器の障害と症状
1 骨の障害
1-1 骨折
A.発生機転
B.骨折の分類
C.骨折の治癒過程
D.骨癒合の期間
E.骨折治癒の異常
F.骨折の症状
G.骨折の診断
H.骨折の合併症
I.骨折の治療の原則
1-2 骨髄炎
もう少しくわしく▶慢性化膿性骨髄炎の特殊な型
2 関節の障害
2-1 捻挫と靱帯損傷
A.病態
B.症状
C.治療
2-2 脱臼と亜脱臼
A.病態
B.症状と診断
C.治療
2-3 関節拘縮
2-4 関節強直
2-5 動揺関節
3 神経の障害
3-1 運動麻痺
3-2 感覚障害
3-3 自律神経障害
4 筋肉の障害
臨床で役立つ知識▶打撲
第U章 運動器疾患の診断と治療
1 運動器関連症状からの病態診断
1 頚・肩・上腕痛
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
2 腰痛,下肢のしびれ・痛み
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
3 頚部・脊柱の変形と運動制限
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
もう少しくわしく▶特発性側弯症
4 脊髄麻痺
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
5 手指のしびれと麻痺
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
6 肩の痛みと変形
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
7 肘の痛みと変形
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
8 手関節部の痛みと変形
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
9 手指の痛みと変形
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
10 股関節部の疼痛と異常歩行
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
臨床で役立つ知識▶小児の股関節痛,膝関節痛
C.対応方法・治療方針
11 膝関節部の疼痛と異常歩行
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
12 下腿の痛み
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
13 足関節部・踵部の疼痛と異常歩行
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
14 足・足趾の疼痛
A.病態,考えられる原因・疾患
B.鑑別,絞り込みの方法
C.対応方法・治療方針
臨床で役立つ知識▶下肢の骨端症
2 運動器疾患の検査
1 身体検査
1-1 関節可動域検査
1-2 四肢長
1-3 四肢の周囲径
1-4 徒手筋力テスト
1-5 神経学的検査
2 画像検査
2-1 単純X線検査
臨床で役立つ知識▶医療被曝(患者被曝)を伴う検査に関する注意事項
2-2 MRI検査
2-3 PET検査
2-4 CT検査
臨床で役立つ知識▶CTやMRIの造影検査における注意事項
2-5 超音波検査
2-6 関節造影検査
2-7 脊髄造影検査(ミエログラフィー)
2-8 血管造影検査
3 骨密度検査
4 電気生理学的検査
4-1 筋電図検査
4-2 神経伝導速度検査
5 その他:関節鏡検査など
3 運動器疾患の治療
1 保存療法
1-1 安静
1-2 薬物療法
A.疼痛・炎症に対する薬物療法
B.関節リウマチに対する薬物療法
C.腫瘍に対する薬物療法
D.骨粗鬆症に対する薬物療法
1-3 整形外科的保存療法
A.徒手矯正・徒手整復法
B.外固定法
C.牽引療法(直達,介達)
D.義肢・装具療法
もう少しくわしく▶装具の分類
もう少しくわしく▶義肢の分類
2 手術療法
2-1 皮膚の手術
A.皮膚縫合術
B.デブリドマン
C.皮膚移植術
2-2 腱の手術
A.腱切離術
B.腱延長術
C.腱縫合術
D.腱移植術
E.腱移行術
2-3 靱帯の手術
A.靱帯縫合術
B.靱帯再建術
2-4 骨の手術
A.骨接合術(観血的整復固定術)
B.創外固定
C.骨切り術
D.骨移植術
2-5 関節の手術
A.関節鏡視下手術
B.関節切開術
C.滑膜切除術
D.関節形成術
E.人工関節置換術
F.人工骨頭置換術
G.人工関節を用いない関節形成術
H.関節固定術
I.関節制動術
J.軟骨移植術
K.矯正骨切り術
2-6 末梢神経の手術
A.単純除圧術
B.神経剝離術
C.神経縫合術
D.神経移植術
E.神経移行術
2-7 脊椎・脊髄の手術
A.除圧術
B.椎体固定術
C.その他の手術
2-8 再接着術
2-9 四肢切断術
2-10 ロボット支援手術
2-11 手術の合併症
A.手術部位感染症
B.静脈血栓塞栓症
3 リハビリテーション
3-1 床上でのリハビリテーション治療と早期離床
3-2 義肢・装具と回復期でのリハビリテーション治療
3-3 ロコモティブシンドロームと運動器のリハビリテーション治療
臨床で役立つ知識▶生活援助と診療補助が同時に行える看護師だからこそ
第V章 運動器の疾患・障害をもつ患者の看護
1 運動器疾患・障害に応じた看護
1 装具,補助具を使用する患者の看護
2 運動器に痛みをもつ患者の看護
3 運動器の神経障害のある患者の看護
もう少しくわしく▶デルマトームの見方・考え方
4 麻痺のある患者の看護
2 運動器疾患の治療を受ける患者の看護
1 牽引を受ける患者の看護
2 ギプス固定を受ける患者の看護
臨床で役立つ知識▶治療・療養に伴う神経障害のリスクを見張る
3 脊髄造影検査を受ける患者の看護
4 手術を受ける患者の看護
A.術前の看護
臨床で役立つ知識▶深部静脈血栓症(DVT)
B.術後の看護
臨床で役立つ知識▶医原性の尺骨神経麻痺に注意
5 リハビリテーションを受ける患者の看護
A.リハビリテーションを受ける患者の看護
B.回復期における多職種連携のチーム医療
第W章 運動器疾患各論
1 外傷
1 骨折・脱臼
1-1 成人の上肢の骨折・脱臼
1-1-1 肩関節部の骨折・脱臼
1-1-2 上腕骨骨幹部骨折
1-1-3 肘関節部の骨折・脱臼
1-1-4 前腕部の骨折
1-1-5 手の骨折・脱臼
1-2 成人の体幹・下肢の骨折・脱臼
1-2-1 胸郭の外傷
1-2-2 骨盤の骨折
1-2-3 股関節部の骨折・脱臼
1-2-4 大腿骨骨幹部骨折
1-2-5 膝関節部の骨折・脱臼
1-2-6 下腿骨骨折
1-2-7 足関節部の骨折・脱臼
1-2-8 足部の骨折・脱臼
1-3 小児の骨折
1-3-1 小児骨折総論
1-3-2 小児の上肢骨折
1-3-3 小児の下肢骨折
臨床で役立つ知識▶虐待による骨折
2 脊椎・脊髄損傷
2-1 脊椎損傷
2-2 脊髄損傷
3 末梢神経損傷
臨床で役立つ知識▶注射・採血時に起きうる神経損傷
4 スポーツ傷害
4-1 前十字靱帯損傷
4-2 アキレス腱断裂
4-3 野球肘
4-4 ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
2 非外傷性疾患
1 先天性および小児の運動器疾患
1-1 骨・関節に由来する疾患
1-2 全身性の疾患
1-3 小児の運動器疾患(非先天性)
臨床で役立つ知識▶股関節脱臼の予防:両親への指導のポイント
1-4 炎症性疾患
2 炎症性疾患
2-1 関節リウマチ
2-2 リウマチ性疾患
3 代謝性疾患
3-1 骨粗鬆症
3-2 くる病・骨軟化症
3-3 痛風
3-4 偽痛風
4 腫瘍
コラム▶骨・軟部腫瘍治療における多職種間の連携
5 退行性疾患
5-1 ロコモティブシンドローム
5-2 サルコペニア
もう少しくわしく▶フレイル
3 部位別の疾患
1 脊椎の疾患
1-1 頚椎椎間板ヘルニア
1-2 腰椎椎間板ヘルニア
1-3 頚椎症性脊髄症
1-4 頚椎後縦靱帯骨化症
1-5 腰部脊柱管狭窄症
1-6 腰痛症
2 上肢の疾患
2-1 肩こり
2-2 橈骨神経麻痺
2-3 正中神経麻痺
2-4 尺骨神経麻痺
2-5 手根管症候群
3 下肢の疾患
3-1 変形性股関節症
もう少しくわしく▶人工関節手術におけるナビゲーションやロボットの導入
3-2 変形性膝関節症
臨床で役立つ知識▶変形性膝関節症の外来
3-3 大腿骨頭壊死症
3-4 糖尿病足疾患
もう少しくわしく▶神経病性関節症(シャルコー関節)
【はじめに】
日本は「人生100年時代」と言われる超高齢社会を迎え,運動器の障害を有する患者は増加の一途をたどっています.そのため診療科を問わず看護師には運動器の看護に必要な基礎ならびに臨床的知識の習得が必須となってきました.本書初版は,看護学生や既に臨床の現場で勤務している看護師に役立つ教科書としてだけでなく,運動器の治療に携わるメディカルスタッフの方々にとっての学習書として,2019年9月に発刊されました.幸いにも数多くの教育現場で運動器疾患に対する教育の一助として利用されてきました.初版が刊行されて以来すでに5年の歳月が経過し,この間には骨粗鬆症,関節リウマチや慢性疼痛に対する数多くの新薬が上市され,ロボット支援手術や最小侵襲手術の普及など運動器疾患に対する診断と治療も著しく進歩してきました.これらの社会状況を踏まえ,改訂の必要性が求められました.
初版では,岩手医科大学整形外科学,その連携病院整形外科,リハビリテーション医学,放射線医学,医学教育学や救急・災害・総合医学講座の先生方,看護学部の先生方に執筆をお願いしましたが,幸いなことに改訂第2版でも執筆者全員に快諾を得ることができました.今版では編集方針は従来の方針を踏襲することとし,主に情報更新(疫学・統計データの更新,新しいガイドラインへの対応,新しい治療薬・治療方法の追加など)を行いました.また,第V章2節「運動器疾患の治療を受ける患者の看護」および第W章2節「3-1.骨粗鬆症」「5.退行性疾患」では,@高齢患者にかかわる問題(フレイル,介護予防,転倒防止など)とA在宅療養にかかわる問題(生活リハビリテーション,入退院支援など)の要素を盛り込みました.そして初版から引き続き,本文の内容をより深める目的で「もう少しくわしく」,実践的な知識を紹介する目的で「臨床で役立つ知識」のコラムを挿入しています.さらに医学的な専門用語には,「メモ」や用語解説を側注欄に示すことで,わかりやすく理解できるように工夫しております.
本書が従来にも増して読者諸賢の期待に応えることができ,看護学生や臨床の現場で勤務している看護師だけでなく,メディカルスタッフの方々にも活用されることを心より切望致します.
最後に改訂第2版の出版にあたり,執筆にご尽力をいただいた全ての方々と多大なご支援とご協力を賜った南江堂関係者の方々に深甚なる謝意を表します.
2024年12月
土井田 稔
秋山 智弥
【初版の序】
運動器とは,身体運動に関わる骨,関節,神経,筋肉などの総称です.運動器はそれぞれが連携して働いており,どのひとつが悪くても身体はうまく動きません.運動器の障害には,外傷や疾病だけでなく,加齢に伴う変性疾患などがあり,乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層の患者を対象としているために,整形外科で取り扱う疾患は多岐にわたります.わが国では,超高齢化社会を迎え,運動器の障害を有する患者は増加の一途をたどっています.また,運動器の障害は日常生活動作に直接影響を与えるために,その機能や疾患を理解することは,診療科を問わず看護師やメディカルスタッフにおいても必須となってきています.
これらの点から,第I章では運動器の構造と機能を理解していただくだけでなく,各々の運動器の障害とそれに伴う症状などについて解説しています.
本書の特徴である,「臨床の現場で働く看護師に役立つ教科書」として,第II章第1節では,患者の症状から,その病態,考えられる原因・疾患,鑑別,対応方法・治療方針について記載しました.患者の訴えをそのまま直ちに病態や診断に結びつけて,対応方法や治療に反映できるように配慮しています.後半の第2節,第3節では,最新の運動器疾患の検査と治療についても概説しています.
また,運動器の疾患・障害をもつ患者は,装具,補助具を使用する場合も少なくなく,神経障害や麻痺をもつ患者など多様性に富んでいるため,個々の患者の看護にも特別の配慮が必要です.このため,第III章では,看護師の観点から運動器疾患の看護について記載しています.
第IV章では,それぞれの運動器の障害をより深く詳細に学習し理解してもらうために,外傷,非外傷性疾患,部位別の疾患に分類し,各疾患について解説しました.これまでの各章で説明された疾患と内容が重複する部分が存在しますが,その都度理解を深めていただきたく存じます.
運動器疾患の治療には,チーム医療が不可欠です.そのため診断から治療方針は,医療チーム内で統一されていることが望ましく,その観点から日頃から同じ職場で勤務し,症例の正確な診断と最良・最善の治療について議論を重ねている岩手医科大学医学部整形外科,放射線科,リハビリテーション科や救急科の先生方,看護学部の先生方に執筆をお願いしました.ご協力いただいたすべての方々に深謝いたします.
本書では,運動器疾患の基礎から最新の臨床的知識まで全般にわかりやすく解説していますので,看護学生や臨床の現場で勤務している看護師だけでなく,理学療法士,作業療法士,薬剤師などの運動器の治療に携わるすべてのメディカルスタッフの方々にも幅広く活用していただき,運動器疾患の治療や看護に役立てられることを祈念しております.
2019年7月
土井田 稔
秋山 智弥
