看護学テキストNiCE
成人看護学 成人看護学概論改訂第5版
社会に生き世代をつなぐ成人の健康を支える

編集 | : 林直子/鈴木久美/酒井郁子 |
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ISBN | : 978-4-524-21192-0 |
発行年月 | : 2025年3月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 368 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

成人看護学の基盤となるテキストの改訂第5版.成人の身体・心理・社会的特徴を,個体としての成長発達の視点,および文化・社会的環境の視点から解説.図表を豊富に用いて視覚的な理解を促す.今改訂では,全体の情報更新を行ったほか,成人の健康にまつわるトピックスとして第Ⅲ章に,脳卒中・循環器病対策基本法に基づく「循環器病対策」や,「遺伝と健康」に関する内容を追加した.
第Ⅰ章 成人とは
1 「成人」とは
A.成人の定義
B.成人の理解の視座
2 成人期の特徴
A.成人の心身の特徴と変化
B.ライフサイクルからみた成人期の特徴と発達課題
C.社会との相互作用からみた成人期の特徴
D.文化のなかで生きる成人
第Ⅱ章 成人をとりまく今日の状況
1 家族をめぐる状況
A.日本における家族形態の変遷
B.現代の家族
C.現代の家族が内包する問題・課題
2 仕事をめぐる状況
A.日本における雇用・労働をめぐる労働環境の変化
B.現代の雇用環境や就労環境:特徴と問題への取り組み
3 日常生活スタイルの変化
A.成人の日常生活と健康
B.嗜好と娯楽,依存症
C.情報社会と情報リテラシー,ヘルスリテラシー
D.ライフスタイルの多様性
4 セクシュアリティの多様性
A.セクシュアリティとジェンダー
B.日本におけるジェンダー・ギャップ
C.多様な性のあり方
D.セクシュアリティと暮らし
5 環境問題の深刻化
A.公害問題から地球環境問題へ
B.持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて
C.日本の大気環境・水質環境・土壌環境の状況
D.地球温暖化と防止対策に向けた取り組み
E.資源循環型社会の構築に向けて
F.住宅の環境問題
6 死生観の変容
A.日本人の来世信仰
B.日本における霊魂観の特殊性
C.現代人にもアニミズムの感覚はある?
D.時代によって変わる「あの世」との付き合い方
E.「むき出しの死」を超える人と人の絆
第Ⅲ章 成人期にある人の健康
1 健康とは
A.看護における「健康」概念の位置づけ
B.WHO憲章の健康の定義
C.WHO憲章以降の「健康」概念の進展
D.成人の健康とは
2 成人にとっての病気の体験とは
A.病気とは何か
B.成人にとっての病気の体験
3 成人保健と今日の健康の動向
A.人口構成
B.平均寿命と健康寿命
C.疾病の概況
4 保健・医療・福祉政策と今日の健康課題
A.ヘルスプロモーションとは
B.地域包括ケア
C.がん対策
D.認知症対策
E.循環器病対策
5 生活習慣と健康
A.生活習慣が健康に与える影響
B.生活習慣がもたらす健康障害:生活習慣病
6 職業・労働と健康
A.職業・労働が健康に与える影響
B.労働者の健康にかかわる主な法律
C.職業・労働,労働環境がもたらす健康障害
7 生活ストレスと健康
A.ストレスが健康に与える影響
B.ストレスがもたらす健康障害
8 性・更年期と健康
A.性と健康
B.更年期と健康
9 遺伝と健康
A.遺伝と健康
B.遺伝にかかわる問題
10 災害と健康
A.災害が健康に与える影響
B.災害がもたらす健康障害
第Ⅳ章 成人期にある人を看護するための基本的な考え方
1 関係を結ぶ
A.ケアリングに基づいた関係
B.パートナーシップを構築する
C.その人のレジリエンスに目を向ける
D.その人の強み(ストレングス)を活かす
2 適応を促す
A.ストレス・コーピングを支える
B.危機的状況からの回復を支える
C.喪失と悲嘆を支える
D.意思決定を支える
3 発達を促進する
A.成人のセルフケアを育む
B.セルフ・エフィカシーを高める
C.成人学習を促進する
4 統合を支援する
A.家族とともに生きる成人を支援する
B.成人が身をおく文化を尊重する
C.成人が社会に支えられ,社会に貢献することを支援する
第Ⅴ章 健康状態に応じた看護
1 ヘルスプロモーション,ヘルスプロテクション──健康の保持・増進,疾病の予防に向けた看護
A.保健行動と行動変容
B.生活習慣病の予防対策
C.高齢者医療確保法における特定健康診査と特定保健指導
D.定期健康診断と保健指導
E.職業疾患とその予防
F.快適な職場環境づくり
2 健康状態が急激に変化し急性の状態にある人への看護
A.健康状態が急激に変化し急性の状態にある人とは
B.急性期看護とは
C.周手術期看護とは
D.クリティカルケアとは
E.急性の状態にある患者と家族に対する看護
3 生活機能障害のある人への看護(リハビリテーション看護)
A.生活機能と生活機能障害
B.リハビリテーションとは
C.リハビリテーションを展開するための基本的な考え方
D.リハビリテーションを必要とする人への看護
4 慢性的な経過をたどる健康障害を有する人への看護
A.慢性的な経過をたどる健康障害
B.慢性疾患を有する人の特徴
C.慢性疾患を有する人への看護
5 人生の最終段階にある人への看護
A.成人の死とは
B.最期を迎える準備
C.最期を迎える人の身体的な変化
D.最期を迎える人の心の変化
E.最期を迎える人や家族への看護
第Ⅵ章 成人看護を充実させる実践的環境
1 看護職の倫理綱領と成人看護
A.人権とは
B.看護職の倫理綱領
C.個人情報の保護
D.さまざまな状況における患者の意思決定支援
2 専門職間の連携と協働
A.専門職間連携・協働が必要とされる背景
B.専門職連携・協働とは
C.専門職連携・協働に必要とされるコンピテンシー
D.専門職連携・協働に必要とされるコンピテンシーを養う:専門職連携教育
3 医療安全
A.「医療の質」とは何か
B.「医療の質」評価と質向上の方法
C.医療の質向上とセーフティ・マネジメント
4 質の高い看護実践のための人材育成
A.専門看護師
B.認定看護師
C.特定行為に係る看護師の研修制度
索引
【はじめに】
本書『看護学テキストNiCE成人看護学 成人看護学概論—社会に生き世代をつなぐ成人の健康を支える』の第4版が刊行されたのは,今から3年前の2022(令和4)年,保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改正に伴う,改正カリキュラムが適用された年でした.その際の改正の要点は,今や社会インフラとして欠かせない情報通信技術(ICT)活用のための基礎能力の強化をはじめ,コミュニケーション能力,臨床判断に必要な基礎的能力の強化,さらに多様な療養の場に求められる看護を学ぶ,地域・在宅看護論を設定することでした.社会に目を向けると,成年年齢が18歳に引き下げられ,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延による教育形態のパラダイムシフトの真っただ中にありました.それから時を経て2023(令和5)年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行すると,世の中の動きも徐々に活気を取り戻し,今に至っています.地球規模での人の移動も復活する一方で,新たな感染症の拡大も懸念されています.また日本では手足口病,ヘルパンギーナ,成人の帯状疱疹など,これまでも一定数発症していた疾患の罹患者数が増加するなど,健康事象に関する社会的変化が生じています.
近年の技術革新として,何よりICTの普及が挙げられるでしょう.看護教育においてもICTにより遠隔講義や非対面でのグループワークが可能となり,看護実践の場に行けなくてもシミュレーション事例を用いた実習の疑似体験が可能となるなど,その恩恵は計り知れません.一方SNSを通じた真偽が定かでない情報の拡散やフェイクニュースの流布は,政治,経済活動のみならず個人の心身の健康・安寧,時には命に深刻な影響を及ぼす事態に発展しています.これまで以上に,個々の倫理観やヘルスリテラシーの向上が求められる時代に入ったといえるでしょう.
このような「成人期にある人」を取り巻くさまざまな環境の変化に基づき,本改訂第5版では,とくに“社会的存在としての成人”の健康問題にかかわる点を強化いたしました.日常生活スタイルの変化の節の中に,「嗜好と娯楽,依存症」として項目を整理し,薬物,ゲーム(インターネット),ギャンブル依存について解説を加えたほか,保健・医療・福祉政策と今日の健康課題の節に,「循環器病対策」の項を設けて循環器病対策基本法とそれにかかわる国の施策について解説いたしました.また,今日の診断,治療,看護に深くかかわる遺伝に関する新たな節を設定し,遺伝と健康とのかかわりについて丁寧に解説しました.さらに,看護職の人材育成について,近年多くの看護師が修了している特定行為研修制度について,基礎教育課程の学生に伝わるようわかりやすく解説いたしました.
本書が,ご活用くださる皆様の学修の一助となりますことを,切に願っております.また本書の出版に際しご執筆くださいました諸先生方,全工程でご支援賜りました南江堂の皆様に心より感謝申し上げます.
2025年2月
林 直子
鈴木久美
酒井郁子
