看護学テキストNiCE
病態・治療論[4]消化器疾患改訂第2版
編集 | : 津田泰宏/鈴木久美 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-21091-6 |
発行年月 | : 2025年1月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 352 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズ(全14冊)の消化器疾患編.医師と看護師の共同編集により,看護学生に必要な知識を網羅.さまざまな症状を理解できる,診断の進め方・考え方がわかる,臨床看護に結びつく知識が得られる,の3点を重視して構成している.今改訂では各種情報を更新したほか,消化器系の機能障害を有する患者の看護の概説を追加した.
目次
序章 なぜ消化器疾患について学ぶのか
1 医師の立場から
2 看護師の立場から
第T章 消化器の機能と障害
1 消化器の構造と機能
A 食道
臨床で役立つ知識 食道から心臓の超音波検査をする?
B 胃
C 小腸
D 大腸
E 肝臓
F 胆道・胆囊
G 膵臓
2 消化・吸収・排泄のしくみ
A 消化
臨床で役立つ知識 経腸栄養の栄養剤の種類の違い
B 吸収
C 消化・吸収から排泄までの流れ
3 消化器の障害と症状
1 各機能障害からみた症状
臨床で役立つ知識 胃酸分泌のメカニズムと酸分泌抑制薬の作用機序
2 臓器別にみた障害と症状
第U章 消化器疾患の診断・治療
1 消化器症状からの診断過程
A 悪心,嘔吐
B 胸やけ,つかえ感
C 腹痛
D 食欲不振
E 吐血
臨床で役立つ知識 新鮮血吐血とコーヒー残渣様吐物
F 下血,血便
G 下痢
H 便秘
I 腹部膨満感・腹部のしこり
J 肝腫大・脾腫
K 黄疸
L 肝性脳症,羽ばたき振戦
M 腹水
N 体重減少
2 消化器の検査
A フィジカルアセスメント
臨床で役立つ知識 聴診のポイント
臨床で役立つ知識 腹部の触診の際に注意すべき徴候
B 消化・吸収機能検査
C 血液検査
臨床で役立つ知識 肝疾患と血液検査
D 超音波検査
E 腹部X線検査
F 腹部CT検査
G MRI(核磁気共鳴画像)検査
臨床で役立つ知識 MR胆管膵管撮影(MRCP)検査
H 核医学検査(PET,シンチグラフィー)
I 消化管造影検査
J 腹部血管造影検査
K 内視鏡検査
L 特殊な内視鏡検査
臨床で役立つ知識 EUS下穿刺吸引法(EUS‒FNA)
3 消化器疾患の治療
1 食事・栄養療法
A 食事療法
B 経腸栄養
C 経静脈栄養
2 薬物療法
A 制吐薬,胃腸機能調節薬
B 消化性潰瘍治療薬
C 止瀉薬,整腸薬
D 下剤
E 炎症性腸疾患薬
F 肝庇護薬
G インターフェロン製剤
H 核酸アナログ薬
I 直接作用型抗ウイルス薬(DAA製剤)
J 抗がん薬
臨床で役立つ知識 抗がん薬の種類
3 手術療法
A 消化器手術とは
B 手術の目的・適応
もう少しくわしく ロボット支援下手術
もう少しくわしく 鏡視下手術
C 消化器手術の実際
D 手術の侵襲性・合併症・リスク・注意点
もう少しくわしく 術後のドレーン管理
4 内視鏡治療
A 内視鏡的止血術
B 消化管がんに対する内視鏡的治療,粘膜切除術
C 食道・胃静脈瘤に対する内視鏡的治療
D 胆・膵疾患に対する内視鏡的治療
E 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
5 インターベンショナルラジオロジー(IVR)
A 経皮的肝動脈化学塞栓療法(TACE)
臨床で役立つ知識 肝障害度とチャイルド‒ピュー分類
B 肝細胞がんに対する経皮的局所療法 120
C 経皮経肝的胆囊ドレナージ(PTGBD)・経皮経肝的胆管ドレナージ(PTCD)
6 放射線治療
臨床で役立つ知識 定位放射線治療と粒子線治療
4 消化器系の機能障害を有する患者の看護
1 嚥下機能が障害された患者への看護
2 消化・吸収機能が障害された患者への看護
3 排泄(排便)機能を喪失した患者への看護
4 代謝機能が障害された患者への看護
第V章 消化器疾患 各論
1 上部消化管疾患
1 食道アカラシア
もう少しくわしく 内視鏡的筋層切開術(POEM)
2 食道静脈瘤
3 食道がん
臨床で役立つ知識 拡大内視鏡とNBI
4 胃食道逆流症(GERD)
コラム NERDとプロトンポンプ阻害薬(PPI)抵抗性GERD
5 バレット食道
6 マロリー—ワイス症候群
7 急性胃炎・急性胃粘膜病変(AGML)
8 慢性胃炎
臨床で役立つ知識 胃粘膜萎縮とABC検診
もう少しくわしく 改訂シドニー分類
9 ヘリコバクター・ピロリ感染症
10 胃・十二指腸潰瘍
11 機能性ディスペプシア(FD)
もう少しくわしく 日本人におけるローマW診断基準の妥当性
12 胃がん
13 胃ポリープ
もう少しくわしく 胃粘膜下腫瘍
もう少しくわしく 消化管間質腫瘍(GIST)
2 下部消化管疾患
1 急性虫垂炎
臨床で役立つ知識 内臓痛と体性痛について
2 潰瘍性大腸炎
もう少しくわしく 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)に使用される生物学的製剤
3 クローン病
臨床で役立つ知識 クローン病とカプセル内視鏡
もう少しくわしく 頻出ではないが重要な疾患:腸結核,腸管ベーチェット
臨床で役立つ知識 炎症性腸疾患の特徴と鑑別
4 感染性腸炎
もう少しくわしく とくに重要な感染性腸炎
5 虚血性大腸炎
もう少しくわしく 頻出ではないが重要な疾患:上腸間膜動脈閉塞症
6 薬剤性腸炎
7 大腸がん
もう少しくわしく CTコロノグラフィ
8 大腸ポリープ
臨床で役立つ知識 頻出ではないが重要な疾患:消化管ポリポーシス
9 腸閉塞
10 消化管憩室
11 過敏性腸症候群(IBS)
12 便通異常症
12—1 慢性便秘症
もう少しくわしく 病歴聴取と身体診察のポイント
12—2 慢性下痢症
臨床で役立つ知識 慢性下痢の原因となりやすい薬剤
もう少しくわしく 病歴聴取と身体診察のポイント
13 腹膜疾患,急性腹膜炎
14 肛門疾患
14—1 痔核
14—2 肛門周囲膿瘍,痔瘻
14—3 その他の肛門疾患
3 肝疾患
原因による分類
1 ウイルス性肝炎
2 アルコール性肝障害
もう少しくわしく 重症型アルコール性肝炎
3 脂肪肝,非アルコール性脂肪肝炎
コラム NAFLDとNASHの名称変更
4 薬物性肝障害
臨床で役立つ知識 アセトアミノフェン中毒
臨床で役立つ知識 免疫チェックポイント阻害薬投与後の肝障害
5 自己免疫性肝疾患
5—1 自己免疫性肝炎
もう少しくわしく 自己免疫性肝炎の国際診断基準
5—2 原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変)
5— 3 原発性硬化性胆管炎
病型による分類
1 劇症肝炎,急性肝不全
2 急性肝炎
2—1 急性肝炎全般について
2—2 A型急性肝炎
2—3 E型急性肝炎
2—4 EBウイルス感染症
3 慢性肝炎
3—1 慢性肝炎全般について
3—2 B型肝炎
臨床で役立つ知識 HBV感染予防対策
3— 3 C型肝炎
4 肝硬変
臨床で役立つ知識 非代償性肝硬変患者の血糖コントロール
もう少しくわしく 肝硬変患者の入浴について
5 門脈圧亢進症(特発性門脈圧亢進症を中心に)
もう少しくわしく 頻出ではないが知っておくべき疾患:バッド‒キアリ症候群
6 原発性肝がん
7 肝膿瘍
4 胆・膵疾患
1 胆石症
コラム 純コレステロール結石
2 急性胆囊炎,急性胆管炎
コラム 原発性硬化性胆管炎
もう少しくわしく EUS‒BD
3 胆道ジスキネジー
4 胆囊切除後症候群
5 胆道がん
もう少しくわしく 胆囊ポリープと胆囊腺筋腫症
もう少しくわしく 先天性胆道拡張症
6 急性膵炎
7 慢性膵炎
臨床で役立つ知識 アルコール多飲者
コラム 自己免疫性膵炎
8 膵がん
もう少しくわしく 膵神経内分泌腫瘍
臨床で役立つ知識 プレシジョンメディスン
臨床で役立つ知識 胆管ステント
9 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN[膵囊胞性疾患])
5 その他の腹部疾患
1 吸収不良症候群
2 腹部外傷
はじめに
2019年2月に初版を発行して以降,約6年が経過した.その間に新型コロナウイルス感染症(COVID—19)の蔓延があり,今までにない生活スタイルの変化を余儀なくされたが,医学はその歩みを止めることはなく,消化器関連分野の多くのガイドラインが改訂された.それに伴い,慢性便秘症や慢性下痢症などの新しい疾患概念が提唱され,それぞれの疾患の治療法なども大きく変化した.
今回,改訂第2版を発行するにあたり,原則として初版の執筆者に同じ項目を継続して担当いただいたが,新たに看護の専門家を迎え,項目を追加することで,看護の視点からの内容を強化した.また,すべての内容を再度吟味し,重要用語の色付けや押さえてもらいたいポイントを下線で強調するなど,読者の見やすさにこだわった.
第T章では初版と同様の形式を維持しつつ,より分かりやすくなるように文章や図の細かな修正を行った.初版の序でも述べたが実習や実臨床で遭遇した症状に対して,どのような臓器の疾患が考えられるのか,また,現時点で疑われている疾患ではどんな症状が表れるのかなどの確認に利用してほしいと考える.
第U章も原則としては初版を基にしているが,下痢,便秘に関しては,便通異常症の新たなガイドラインを踏まえた内容に図表を含め更新している.また,各種検査や治療に関しても最新のガイドラインに沿って加筆している.診断に必要な検査とその方法や患者の負担,治療薬の作用機序などの理解に役立ててほしいと考える.また,新たに「消化器系の機能障害を有する患者の看護」という節を追加し,消化器疾患の患者に対する看護のポイントをその根拠とともに明示した.それぞれの疾患を持つ患者の看護計画を立てる際に参考になれば幸いである.
第V章も初版と同様の形式で,特に「どのような症状から本疾患が疑われるか」という点を明示している本書の特長は残しつつ,イレウスと腸閉塞の違いを明確にするなど,用語の使い分けを見直した.また,第U章に呼応するように,慢性便秘症と慢性下痢症を含む「便通異常症」の項目を新たに追加した.
ここ数年はCOVID—19の蔓延により呼吸器系の疾患や症状が注目されたが,消化器疾患が,臨床において最も遭遇することが多いことに変わりはない.初版に引き続き本書が消化器疾患を学ぶ看護学生の役に立つことを願っている.
2024年11月
津田 泰宏
鈴木 久美