心臓血管外科専門医認定試験2016〜2020 ―問題編/解説編
監修(問題編) | : 3学会構成 心臓血管外科専門医認定機構 |
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編集(問題編) | : コア・カリキュラム委員会 |
監修(解説編) | : 日本心臓血管外科学会研修・教育委員会 |
編著(解説編) | : 日本心臓血管外科学会U-40 |
ISBN | : 978-4-524-20781-7 |
発行年月 | : 2023年11月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 542 |
在庫
定価17,600円(本体16,000円 + 税)
正誤表
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2023年12月22日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
『心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2016〜2020』は,心臓血管外科専門医試験の対策本として受験者必携の一冊となっている.今回は過去問題集に加え,解答の詳細な解説集を日本心臓血管外科学会U-40が中心となり作成し,問題集とのセット版とした.心臓血管外科専門医試験受験者のみならず,若手の教育を担う指導医や,生涯学習の教科書としてベテラン医にも役立つことにより,心臓血管外科医の臨床力向上に貢献する問題・解説集である.
発刊にあたって
序
略語一覧
必修問題
総論
選択問題
虚血性心疾患
弁膜症
先天性心疾患
大血管疾患
末梢血管疾患
索引
※こちらは「心臓血管外科専門医認定試験2016〜2020[解説編]」の「目次」となります。「心臓血管外科専門医認定試験2016〜2020[問題編]」の「目次」を確認したい場合は、弊社HPの「心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2016〜2020」をご確認ください。
序
心臓血管外科専門医試験は,心臓血管外科医として独立するために通らなければならない大きな関門である.専門医資格を取ることで患者さんからの信頼が高まることはもちろん,本格的に術者としての道を歩むために必要な知識を持っていることの証明書となる.キャリアアップとしても重要な通過点であり,それぞれが更なる飛躍をするための踏み台である.専門医試験ではあらゆる領域から幅広い知識を問われる良問が多く出題されるために,試験対策の勉強をすることで心臓血管外科医としての知識は確実に増幅する.2022年度までの受験者の多くは問題集を片手に教科書,文献,いろいろな情報源から正しい知識を探し,自分なりにまとめて準備をしたことと思う.知識やエビデンスをまとめ自学することは大変勉強になるが,問題の解説があればさらに深い学習に時間が割けるはずである.また,試験に合格するためだけの学習となると間違えた知識を覚えてしまう可能性も捨てきれないため,やはり正しい知識に基づいた解説は必要である.
日本心臓血管外科学会U-40は若手外科医の研鑽のために若手が主体となり企画実行する学会内の組織である.専門医試験の解説書を制作することは,まさに若手心臓血管外科医の研鑽に繋がりU-40の趣旨に合致する.そのため以前よりU-40幹事から解説集を作りたいとの声が挙がっており,今回満を持して本書の制作に至った.2022年度にU-40に所属している幹事のうち,43名が本書の制作に尽力した.各試験問題に関してさまざまな文献を参考として,冗長になりすぎない程度に詳細に解説してある.U-40内で何度も査読を重ね,学会の研修・教育委員会より監修をいただき,問題作成者が意図する以上の学習効果が得られるような解説となっている.
今後,新たな知識やエビデンスが蓄積されるとともに本書の改訂版が継続して出版され,いつの時代の若手心臓血管外科医にも大事にしてもらえる解説書であり続けてほしい.本書では重要と考えられる知識を詰め込んでいるが,書ききれなかったものも多い.本書の解説を基軸としてガイドライン,文献,教科書を熟読し,ぜひ心臓血管外科における真のエキスパートを目指すための礎としていただきたい.
本書の制作にあたり,横山斉理事長をはじめとする理事の先生方,監修をいただいた研修・教育委員会の先生方にはご指導をいただき感謝申し上げる.また,制作期間の中でU-40の今後の発展性を実感することができ,自分自身のU-40卒業を機に改めて仲間に感謝し後輩にエールを送りたい.末筆になるが学会員の皆様,南江堂の方々,そして本書を手に取っていただいたすべての皆様のご多幸をお祈り申し上げる.併せて受験者のご武運を願う.
2023年8月
日本心臓血管外科学会U-40 前代表
田中千陽
発刊にあたって
既刊の『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集2016〜2020』には,収載された481問の正答は示されていても解説はない.問題によっては受験者に作問者の真意が伝わりにくいこともあったかと思う.出題される問題はひとつひとつどれもベテランの作問チームが多くの時間と労力とをかけて受験者のためにとブラッシュアップを重ねたものであり,もしそこに込められた真意が活かされないとしたら作問チームにとっても不本意なことである.本解説編はそうしたコミュニケーションギャップを埋め,これによって各問題の核心や周辺知識への理解が一層促され,受験者の学習意欲および学習効率が高められるものと期待される.
特筆すべきは,本解説編の執筆と編集のほとんどがすでに心臓血管外科専門医試験を終えたU-40メンバーによってなされたことである.もちろんU-40メンバー自身受験の過程で不自由を感じたからこそとはいえ,各施設のサブリーダーとして多忙な診療をこなしながら若手教育への無償の献身を果たす姿勢には頭が下がる.まさに屋根瓦式教育,「教うるは学ぶの半ばなり」である.作成と編集に携わったU-40メンバー自身もあらためて多くの学びを得たであろうが,本解説編の恩恵を受ける受験者には,知識のみならずそうした先輩医師たちの姿勢をも汲み取って糧としてほしい.
当研修・教育委員会は,U-40による編集を受けてレビューおよび最終校正を担当した.先天性や末梢血管などの分野ごとに1〜2名の委員が作業に携わり,本解説編の整合性を担保すべく慎重なレビューを行った.短期間に的確なレビューを実施いただいた委員各位にこの場をお借りして感謝申し上げる.U-40同様,われわれベテランもこのレビューを通して,設問の妥当性,情報の精度や医学的表記の正しさを見直すよい機会を得ることができた.
日進月歩の心臓血管外科学であるので,2016年の出題までさかのぼる中では最新の知見やガイドラインとの齟齬が生じている設問や解答もあるかもしれない.本解説編は出題当時の知見や理論を踏まえつつ,できるだけ最新の情報を付加した内容としており,受験者には設問の骨格を理解しつつも,含まれる情報は適宜刷新しながら能動的な学習を進めてほしい.学習の中で浮き彫りになるクリニカルクエスチョンについては,今後臨床研究などの学術活動を通じて受験者自らが解明を図ってもらいたい.そうであれば,レビューに携わった研修・教育委員会としてこれ以上のよろこびはない.
あらためて,かゆいところに手が届く本解説編を後進のために献身的に整えてくれたU-40諸氏に敬意を表したい.また,受験者のためにと短期間に本書の制作を進めていただいた南江堂の皆様に感謝申し上げる次第である.
2023年8月
日本心臓血管外科学会研修・教育委員会 委員長
平松祐司
※こちらは「心臓血管外科専門医認定試験2016〜2020[解説編]」の「序文」・「発刊にあたって」となります。「心臓血管外科専門医認定試験2016〜2020[問題編]」の「序文」・「発刊にあたって」を確認したい場合は、弊社HPの「心臓血管外科専門医認定試験 過去問題集2016〜2020」をご確認ください。
今回発刊された『心臓血管外科専門医認定試験 2016〜2020―問題編/解説編』は,2022年に発刊された『心臓血管外科専門医認定試験過去問題集 2016〜2020』に「解説編」を追加し発刊された.
この「問題編」は,3学会構成心臓血管外科専門医認定機構代表幹事(当時)・種本和雄先生監修で,コア・カリキュラム委員会委員長(当時)・新田隆先生をはじめ多くのコア・カリキュラム委員の先生方のご尽力により,コア・カリキュラムに沿った合理的かつ系統的に学習しやすい内容になっており,受験者にとってたいへん読みやすく学習しやすいものであった.しかしながら,収載された481問の正答は示されていたが,解説は示されていなかった.受験生自らが教科書や文献を用いて学び修得する,受験生のprofessional autonomyが求められていたわけであるが,より正しい知識に基づいた理解の必要性が考慮され,問題の解説が強く待望されていたのもまた事実である.
このように長年待望されてきた「解説編」は,心臓血管外科の世代を超えた,後進の教育への献身的な努力の結実によって完成されたのである.解説編の執筆と編集のほとんどが,心臓血管外科専門医試験を終えた心臓血管外科学会U-40メンバーによって行われたのである.各施設での多忙な診療をこなしながら,若手教育のための献身的な貢献はたいへん素晴らしいものである.また,日本心臓血管外科学会研修・教育委員会のきめ細かなレビューと校正が繰り返し行われ,全体としての整合性などが整えられ完成しているのである.
各問題の選択肢の内容については,各選択肢がなぜ正答なのか誤りなのかが,詳細に解説されている.また,最新の文献から引用された図表やガイドラインの内容も紹介され,各問題の核心や周辺知識の理解がうながされ,さらなる学習意欲を引き出し,学習効率が高められる解説となっている.その結果,多くの優れた問題集がそうであるように,問題を解き,解説をしっかりと学習することによって体系的な知識が身につくように考慮されているのである.つまり,本書は試験対策としての目的だけではなく,系統的に心臓血管外科学のさまざまな領域の基礎的知識を理解するために有用であり,問題にかかわる周辺知識やエビデンスをさらに教科書やガイドラインなどで掘り下げて学習することで,さらなる自己研鑚に大きく役立つと思われる.
本書の解説編は,あくまで心臓血管外科医としての通過点である専門医試験合格をめざす心臓血管外科専門医認定試験を受験される先生方に対する目標達成の大きな助けとなるだけではなく,専門医取得後の先生方や指導医の先生方にとっても研修医教育,修練医教育などの場で役立つことを確信している.
最後に,本書の発刊にあたって後進のために献身的な努力を惜しまなかったU-40メンバーの先生方,平松祐司先生を中心とした日本心臓血管外科学会研修・教育委員会の先生方の努力に感謝し,本書が今後も改訂を重ねながら末長く心臓血管外科医の手許で長く愛される一冊になることを願ってやまない.
胸部外科77巻4号(2024年4月号)より転載
評者●東京女子医科大学心臓血管外科教授・新浪博士