研修医が知りたい対応をチャートで整理!呼吸器診療エッセンシャル
編集 | : 原悠/金子猛 |
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ISBN | : 978-4-524-20494-6 |
発行年月 | : 2024年4月 |
判型 | : 新書判 |
ページ数 | : 278 |
在庫
定価3,850円(本体3,500円 + 税)
正誤表
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2024年08月26日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
好評書『循環器診療エッセンシャル』の呼吸器診療版が登場!症候・疾患別に「確認すべきポイント」,「必要な初期対応・検査」,「診療の手順」をフローチャートで図解し,チャートとリンクした解説文で理論と実践をスッキリ理解できる、実臨床で“使い倒せる一冊”.「押さえておきたい手技・対応・治療薬」のマニュアル,「診断に重要なCT所見」のアトラスも収載.“手際よく情報を得たい”,“診療の流れを知りたい”という研修医・若手医師にオススメ!
T 症候編 〜問診のコツとエビデンスを踏まえた検査計画〜
1. 咳嗽,喀痰
2. 血痰,喀血
3. 呼吸困難
4. 胸痛
5. 胸水
U 疾患編 〜エビデンスを踏まえた診療アプローチ〜
A.閉塞性肺疾患と気道疾患
1. COPD
2. 喘息
3. 喘息とCOPD のオーバーラップ(ACO)
4. 気管支拡張症
B.間質性肺疾患
5. 特発性間質性肺炎(IIPs)
a. 特発性肺線維症(IPF)
b. 特発性非特異性間質性肺炎(iNSIP)
c. 特発性器質化肺炎(COP)
d. 急性間質性肺炎(AIP),ARDS
6. 膠原病関連間質性肺疾患
7. 間質性肺疾患急性増悪(ILD-AE)
8. PF-ILD
9. 薬剤性肺障害
10. 放射線肺炎
C.肺悪性腫瘍
11. 肺癌
a. 非小細胞肺癌(NSCLC)
b. 小細胞肺癌(SCLC)
12. 悪性胸膜中皮腫
D.呼吸器感染症
13. 市中肺炎(CAP)
14. 医療・介護関連肺炎,院内肺炎(NHCAP,HAP)
15. 抗酸菌感染症(肺結核,非結核性抗酸菌症)
16. 肺アスペルギルス症
17. ニューモシスチス肺炎(PCP)
18. COVID-19
E.免疫・アレルギー性疾患
19. サルコイドーシス
20. アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)
21. 好酸球性肺炎
22. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
23. 過敏性肺炎(HP)
F.肺循環障害
24. 肺高血圧症(PH)
25. 急性・慢性肺血栓塞栓症(APTE/CPTE)
V 押さえておきたい 手技・対応・治療薬
1. 気胸,胸腔ドレーン挿入手技
2. 気管支鏡検査
3. 吸入製剤・生物学的製剤早見表
4. 肺悪性腫瘍におけるoncologic emergency
5. 緩和ケア領域で重要な薬剤
付録:呼吸器疾患診断に重要なCT所見
このたび,南江堂より『呼吸器診療エッセンシャル』を刊行させていただきました.本書は,主に初期研修医や呼吸器診療を専門として日が浅い若手医師を対象としており,各項目の執筆は日々病棟や外来などの診療の第一線で活躍されているエキスパートの先生方に担当していただきました.
また,実臨床における具体的な診療手順をできるだけ効率的に理解していただくために,本書では以下の点に留意しました.これらの特徴は,2022年刊行の姉妹書である『循環器診療エッセンシャル』を基にしながら,その編集者である永井利幸先生(北海道大学)からアドバイスをいただきつつ,呼吸器診療版オリジナルの要素を加えたものです.
●テキスト全体を
「T.症候編〜問診のコツとエビデンスを踏まえた検査計画〜」
「U.疾患編〜エビデンスを踏まえた診療アプローチ〜」
「V.押さえておきたい手技・対応・治療薬」
「付録:呼吸器疾患診断に重要なCT所見」
の4つのパートで構成しました.
●「症候編」,「疾患編」では各項目冒頭に「ミニマム診療チャート」として,実臨床に即した具体的な対応手順を図示し,簡潔に表記しました.
●文章は箇条書きを主体とし,ひと目でみて理解しやすいように簡潔明瞭な記述を心がけました.
●各項目の末尾に「必読文献」欄を設け,その領域における最近のトピックを紹介しています.
●「 押さえておきたい手技・対応・治療薬」は,「気胸,胸腔ドレーン挿入手技」,「気管支鏡検査」,「吸入製剤・生物学的製剤早見表」,「肺悪性腫瘍におけるoncologic emergency」,「緩和ケア領域で重要な薬剤」の5項目とし,若い先生方にいち早く身に付けていただきたい実践的手技と知識を必要十分に盛り込みました.
●付録の「呼吸器疾患診断に重要なCT所見」では,呼吸器診療において遭遇しやすい疾患の典型画像をまとめ,非腫瘍・腫瘍の各所見をバランスよく配置しました.
本書は若い先生のみならず,ある程度経験を積んでこられた呼吸器内科医の先生方の知識の整理にもつながる内容になっています.本書によって呼吸器疾患についての病態理解が深まり,日々の診療の一助となることを祈念いたしております.
2024年3月
横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
原 悠
金子 猛
必読! 呼吸器診療の王道がわかるポケット版バイブル:症候から疾患,画像までを網羅
私が研修医になりたての頃に先輩から薦められたのが『ワシントンマニュアル』であった.当時の書籍としてはコンパクトなほうであったが,やはり持ち運ぶのは不便であり,結局は医局のデスクに置く辞書的なものであった.その後,さまざまなポケットマニュアルが出て,それらを携帯することによって白衣のポケットが相当膨らんでいたものである.病室の患者さんから,「先生はドラえもん? 先生のポケットのなかはいつもいっぱいね〜」と,気の毒に思われたという記憶がある.そして教授回診の際に,その方から教授の白衣が非常にスッキリしていることを指摘されて,「お偉い先生はやはりすべての情報が頭に入っているのね!」と皮肉をいわれたことを懐かしく思う今日この頃である.たしかに教授の白衣の胸ポケットにはボールペン1本程度しか入っておらず,やはり多くの経験を積んで知識を蓄積し,技量を上げるには地道な努力が重要なのだろうと感心したことを思い出す.その後,自分自身も経験を積み,少しずつ立場が上になっていくにつれて“要領よく”対応する術も身についてきた.しかし,やはり理想としては常に基本に立ち返り,成書に目を通し,文献検索を行って知識をアップデートすることが重要である.
さて,われわれの扱う呼吸器疾患は,急性から慢性まで非常に幅広く,全身のさまざまな疾患と関連しうる分野である.そのため,診療に従事する研修医や若手医師は,日々の忙しい臨床のなかで,いかに素早く疾患を把握し,鑑別診断をあげて対応するかが重要となる.Z世代はPCに慣れており,スマートフォンですぐに疾患を調べられるご時世であるが,やはり繰り返し身につけるべきスキルについては,さっとみて確認できることが重要である.その点において,本書はポケットサイズで非常に携帯しやすいバイブルになるだろう.色分けが上手で非常に見やすく構成されており,「症候編」では咳嗽・喀痰から呼吸困難までのさまざまな症候がリストアップされており,「疾患編」では呼吸器の代表的疾患であるCOPD,喘息,間質性肺炎,肺がん,感染症など,幅広く網羅されている.疾患概念はもとより,それぞれの疾患の診療において重要な手技・治療も詳細に記載されており,なかでも呼吸器科医に必要な胸腔ドレーン挿入法や,気管支鏡手技,さらには吸入製剤の種類と取り扱いまで,まさにかゆいところに手が届く内容になっている.各項目の末尾には「必読文献」がリストアップされているが,重要な診療ガイドラインや診療指針などもあげられていて非常に有意義である.最後に付録として,呼吸器疾患の診断に重要なCT所見がまとめられ,すりガラス影,浸潤影から粒状影・結節影まで,代表的疾患とともに掲載されており,大変参考になる.
ぜひ手にとって,手軽だが幅広くカバーされている内容に目を通し,日々の診療のお供にするべく,まずはナンバーワンのポケット本であることをご確認いただきたい.本書によって,皆さんの診療がよりいっそう充実されることを祈念しております.
臨床雑誌内科134巻6号(2024年12月号)より転載
評者│児玉裕三(順天堂大学呼吸器内科 先任准教授)