病態・治療論[12] 精神疾患改訂第2版
編集 | : 加藤温/森真喜子 |
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ISBN | : 978-4-524-20469-4 |
発行年月 | : 2024年1月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 240 |
在庫
定価2,530円(本体2,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
専門基礎分野において疾病の病態・診断・治療を学ぶためのテキストシリーズ(全14冊)の精神疾患編.医師と看護師の共同編集により,看護学生に必要な知識を網羅.さまざまな症状を理解できる,診断の進め方・考え方がわかる,臨床看護に結びつく知識が得られる,の3点を重視して構成している.今改訂では最新情報へのアップデートのほか,各疾患名をDSM-5-TR(日本語版)に合わせて更新した.
序章 なぜ精神疾患について学ぶのか
1 医師の立場から
2 看護師の立場から
第T章 精神疾患の理解
1 精神疾患を学ぶ前に
1 正常と異常
2 精神医療の対象
3 看護師としての心がけ
2 精神疾患にみられる精神症状
1 意識の異常
■コラム 不穏とは
2 知覚の異常
3 思考の異常
■もう少しくわしく コタール(Cotard)症候群
4 感情の異常
5 意志・欲動・行動の異常
6 自我の異常
7 記憶の異常
■もう少しくわしく コルサコフ(Korsakoff)症候群
8 知能の異常
第U章 精神疾患の診断・治療
1 精神疾患の診断
1 精神疾患の診断とは
2 精神科の診断方法
3 診断の進め方
■コラム トラウマインフォームドケア
2 精神疾患の検査
はじめに
1 生物学的検査
1-1 血液検査
1-2 脳波検査
1-3 画像検査
1-4 髄液検査
2 心理学的検査
3 精神疾患の治療
はじめに
1 精神療法
1-1 広義の精神療法
1-2 狭義の精神療法
A.精神分析(精神分析的精神療法)
B.森田療法
C.内観療法
D.行動療法
E.認知行動療法
F.スキーマ療法
G.マインドフルネス
H.芸術療法
I.遊戯療法
J.箱庭療法
K.家族療法
2 薬物療法
2-1 抗精神病薬
■コラム 共同意思決定
■臨床で役立つ知識 誤嚥性肺炎
2-2 抗うつ薬
■もう少しくわしく 神経伝達物質と精神症状
2-3 気分安定薬
■もう少しくわしく リチウム中毒
2-4 睡眠薬
■もう少しくわしく 常用量依存
2-5 抗不安薬
2-6 抗認知症薬
3 電気けいれん療法
第V章 精神疾患 各論
1 統合失調症
1 統合失調症(スキゾフレニア)
■もう少しくわしく 神経発達障害仮説,ドパミン仮説,グルタミン酸仮説
■コラム 統合失調症に特徴的な思考障害
■コラム 入院医療から地域生活への移行促進
2 気分症
1 うつ病
■臨床で役立つ知識 2質問法
2 双極症
3 持続性抑うつ症
4 季節性抑うつ症
3 不安症群,強迫症,心的外傷およびストレス因関連症群,解離症群,身体症状症
1 不安症群
1-1 パニック症
■コラム 過換気症候群時の対応
1-2 広場恐怖症
1-3 社交不安症
1-4 全般不安症
2 強迫症
2-1 強迫症
3 心的外傷およびストレス因関連症群
3-1 心的外傷後ストレス症(PTSD)
3-2 急性ストレス症
3-3 適応反応症
4 解離症群
4-1 解離性同一症
4-2 解離性健忘
4-3 離人感・現実感消失症
5 身体症状症
5-1 身体症状症
5-2 病気不安症
5-3 機能性神経学的症状症(変換症)
5-4 作為症
4 器質性精神障害(症状性精神障害)
1 認知症
1-1 アルツハイマー型認知症
■もう少しくわしく 治せる認知症
1-2 レビー小体型認知症(DLB)
1-3 前頭側頭葉型認知症(FTD)
1-4 脳血管性認知症
2 中枢神経感染症
2-1 細菌性・真菌性髄膜炎
2-2 単純ヘルペス脳炎
2-3 神経梅毒
2-4 HIV 脳症
2-5 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
3 自己免疫疾患
3-1 抗NMDA 受容体抗体脳炎
3-2 多発性硬化症/視神経脊髄炎
3-3 中枢神経ループス(NPSLE)
4 代謝性脳症
4-1 ビタミン欠乏症に伴う精神症状
4-2 甲状腺機能異常に伴う精神症状
4-3 副腎不全に伴う精神症状
4-4 肝性脳症
4-5 低酸素脳症
5 外傷性精神障害
5-1 慢性硬膜下血腫
5-2 頭部外傷後精神障害(PDFTBI)
6 せん妄
■コラム てんかん
5 精神作用物質使用による精神・行動の障害
1 物質使用症
■臨床で役立つ知識 中毒に対する依存症治療
■もう少しくわしく 早期離脱症状と後期離脱症状
■コラム 処方薬・市販薬依存
■コラム ニコチン依存
■コラム 依存症は生活習慣病
■コラム 依存症になる人は意志が弱い?
■もう少しくわしく アダルトチルドレン
■コラム 違法薬物の方が危険なのか?
■コラム 嘘・隠しごとという「魔法」をやめる
■臨床で役立つ知識 節酒
■臨床で役立つ知識 回復にとって重要なMADS:Motivation,Action,Direction,Situation
6 睡眠障害
1 不眠障害
2 ナルコレプシー
3 呼吸関連睡眠障害
4 概日リズム睡眠–覚醒障害群
5 睡眠時随伴症群
6 レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
7 摂食症 横瀬宏美
1 神経性やせ症(AN)
2 神経性過食症(BN)
3 睡眠関連摂食障害(SRED)
8 パーソナリティ症 横瀬宏美
1 猜疑性パーソナリティ症
2 シゾイドパーソナリティ症
3 統合失調型パーソナリティ症
4 反社会性パーソナリティ症
5 ボーダーラインパーソナリティ症(BPD)
6 自己愛性パーソナリティ症
7 演技性パーソナリティ症
8 強迫性パーソナリティ症
9 回避性(不安性)パーソナリティ症
10 依存性パーソナリティ症
11 その他の要因による人格変化
9 小児・青年期の精神障害
1 標準的な神経発達
2 代表的な神経発達症
2-1 知的発達症(知的能力障害)
2-2 自閉スペクトラム症
2-3 注意欠如多動症(ADHD)
2-4 限局性学習症
3 受診のきっかけ
4 治療
■コラム 看護における神経発達障害という視点
5 愛着障害
はじめに
本書は2018 年9 月に初版を上梓して以来,幸いにして精神疾患の基礎を学ぶ多くの看護学生に読んでいただいた.この度,初版から約5 年を経過したところで改訂第2 版を出版する運びとなった.
初版を改めて読み返してみると内容に関しては決して色あせるものではないものの,より現場のニーズに応えるため,前回と同じ執筆者に改めて内容を吟味してもらい,新たな治療法や知見を反映させたかたちで改訂を行った.
ひとつ大きな変化としては,初版時に使われていたDSM-5 がDSM-5-TR(2022)に改訂されたことである.診断基準に関しては大きな変更はないものの,邦訳病名は大幅にリニューアルされた.日本精神神経学会では,今後日本語版が発表されるICD-11 の病名と用語の邦訳について見直しが行われた.誤解や偏見の対象とされがちだった「精神障害」や「精神病」は「精神症」に置き換わり(日本精神神経学会が関与していない睡眠・覚醒症候群を除く),DSM-5-TR においてもその邦訳が採用されたため,本書においても同様の対応とした.ただし,新邦訳が現場に普及するにはしばし時間を要するため,疾患によっては従来の病名を併記するなどで学習に支障がないかたちとした.
病名変更があったとはいえ,その疾患の本質が変わるわけではない.初版から通してみなさまにお伝えしたいのは,細かなことに捉われず,疾患概念を大きくつかみ,考え方の基本を身につけてほしいということである.本書が日々の学習の一助となれば幸甚である.
2023 年11 月
加藤 温
森 真喜子