みんなの皮膚外用薬第2版
編集 | : 常深祐一郎 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-20463-2 |
発行年月 | : 2024年4月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 216 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
皮膚科診療に携わるあらゆる職種の読者(「みんな」)に贈る待望の改訂版.T章「皮膚外用薬のキホン」,U章「皮膚外用薬の上手な使い方」と2章立ての構成で,各薬剤の特徴と使い方から疾患への応用まで網羅.掲載薬剤一覧(写真付き)や参照箇所の表示,重要事項の色字表記や全編にわたる箇条書きなど,利便性を追求しながらも,とにかくどんどん読み進められる.新規薬剤の追加や最新情報へのアップデート,解説やコラムもさらに充実し,ますますわかりやすく!
T.皮膚外用薬のキホン
A 剤形の種類と特徴をおさえる
B 外用療法を使いこなす
1 単純塗布
2 重層療法
3 密封療法
4 ショートコンタクト療法
C 薬剤の種類と特徴を知る
1 ステロイド外用薬
2 タクロリムス軟膏
3 デルゴシチニブ軟膏
4 ジファミラスト軟膏
5 活性型ビタミンD3外用薬
6 保湿薬
7 外用抗菌薬
8 外用抗ウイルス薬
9 外用抗真菌薬
10 皮膚潰瘍治療薬
11 痤瘡治療薬(アダパレン,過酸化ベンゾイル)
12 メトロニダゾール外用薬
13 多汗症治療薬
14 外用麻酔薬
15 免疫賦活外用薬(イミキモド)
16 古典的外用薬
U.皮膚外用薬の上手な使い方
1 アトピー性皮膚炎
2 脂漏性皮膚炎
3 皮脂欠乏症,皮脂欠乏性湿疹
4 乳児湿疹
5 接触皮膚炎,貨幣状湿疹
6 虫刺症
7 痒 疹
8 手湿疹
9 口唇炎
10 汗 疹
11 薬疹,中毒疹
12 乾 癬
13 尋常性痤瘡
14 伝染性膿痂疹(とびひ)
15 白癬(足白癬,爪白癬,体部白癬,頭部白癬)
16 カンジダ症
17 癜風,マラセチア毛包炎
18 疥 癬
19 円形脱毛症,男性型脱毛症(AGA)
20 尋常性白斑
21 日光角化症,尖圭コンジローマ
22 褥瘡,皮膚潰瘍
23 熱 傷
24 凍瘡(しもやけ)
25 酒皶,口囲皮膚炎,酒皶様皮膚炎
26 日光皮膚炎(日焼け)
27 多汗症
索 引
『みんなの皮膚外用薬(第2版)』が完成しました.皮膚科医,皮膚科医以外の先生,研修医の先生,薬剤師さん,看護師さん,患者さん……みんなのお役に立てる書籍とするため,皮膚疾患に使用される外用薬をみんな網羅した真に実用的な解説書を目指してみんなで執筆した初版でしたが,その意図をみんなが汲み取ってくださり,本当に多くの方々にご愛読いただきました.編集部にお聞きしたところでは1万冊近くの初版が各所で活躍しているそうです.編纂した身としてはこれ以上ない喜びです.思いが通じ,ご評価いただいたことに心よりお礼申し上げます.
さて,医療の世界は日進月歩です.皮膚科領域も例外ではありません.続々と新薬が登場してきます.初版発刊後,外用薬にも新しく加わった剤形や新しく登場した薬剤があります.本書は皮膚に使用される外用薬をすべて収載することを信念としています.さらに,使用経験を積むことにより,いろいろなことがわかってきた薬剤もあります.みんなの期待に応えるべく,これらを反映して改訂版となる第2版を出版することにしました.医学書の多くが初版を売り切ったところで絶版になるなか,本書の改訂が決まったのは,ほかでもない読者のみんなの大きなご支持があったからです.それだけに初版作成のときにも増して編者として強い責任を感じました.
改訂に際して,初版の執筆者の先生方には新しく登場した剤形や経験に基づくよりよい使い方などを追記していただきました.また,新薬については新たな先生方に執筆陣としてご参画いただきました.そして,初版に引き続き,私は編者として執筆者の先生方の原稿に容赦なく赤ペンを入れさせていただきました.本書がご評価いただけたのは真の実用書としての哲学を貫いているからだと思っていますので,そこは譲れないところです.今回も執筆者の先生方にはお礼とともに謝罪しないといけません.
書籍は執筆者と編者だけいても世に出せません.書籍を最後にどこまで磨き上げられるかは編集部の熱意に比例します.編集担当の松下淳史さん,それを引き継いで制作を手掛けた鳥海知子さんをはじめとした南江堂のみんなのご尽力には心より敬意を表します.
みんなで作った『みんなの皮膚外用薬(第2版)』を,自信を持ってみんなにお届けします.
令和6年4月1日 満開の桜を眺めながら
常深祐一郎
すべての診療科の外来で心強い一冊:いつ読むの? 今でしょ! 誰が読むの? みんなでしょ!
皮膚外用薬は皮膚科診療において,ほぼすべての症例の治療に用いられる.また,皮膚科に限らず,どの診療科の医療現場においても頻繁に使用される治療デバイスの一つである.言い換えると,皮膚外用薬はどの医師にとっても身近な存在であり,使用頻度も高いため,患者さんへの影響(効能,弊害・副作用)も大きいのが現状である.よって,どの診療科の医師でも,皮膚外用薬に関する適切な情報を把握・理解したうえで,適切に使用することが求められる.
そこで本書の出番である.私は本書の編集者である常深先生のファンを自任する一人であるが,先生はとくに若手の皮膚科医を対象にした執筆・講演内容のわかりやすさという点において,秀逸な存在といっても過言ではない.常深先生は皮膚真菌症や皮脂欠乏症,アトピー性皮膚炎や乾癬といった,いわゆるcommon diseaseを専門領域とし,著書や講演では最先端の研究内容も含めつつ,実臨床経験に基づいた解説を行っており,明日からの診療に即役立つ.私が研修医の頃は「技術は目で盗め! 知識は自分で習得しろ!」という昭和の風が吹いており,先輩から系統立てて指導を受けて……などということはなく,よくもわるくも患者さんから直接学ぶということを善とする風潮であった.そのような環境下で育った私にとって,常深先生の著書・講演などは皮膚科医としての血肉となった.
本書では,わが国で使用されているすべての皮膚外用薬について,T章で剤形の特徴および外用療法と薬剤ごとの使い方を述べ,U章で各疾患の治療が詳しく解説されており,いわゆる縦糸と横糸の構成となっている.織りなす布はいつか誰かの傷をかばうのだ.そして参照すべき頁を明示することで,T章とU章をリンクさせる工夫がなされており,常深先生の心遣いが感じ取れる.続々と登場する新薬はもちろんであるが,若手の皮膚科医にとって名前を聞いたことはあるが,実際に使用したことはないといういわゆる「昭和の薬」も網羅されている.実際の医療現場では,現在頻用されている薬でなかなか改善しない際に,意外に「昭和の薬」が奏効するという症例を経験することもある.「医師は経験がモノをいう」を実感させられる一場面でもあるが,そのような場合に具体的な使用例をすぐ確認できるのはありがたい.
また,常深先生は本書のなかで,処方する医師と使用する患者さんだけではなく,調剤や説明を行う薬剤師,実際に患者さんに塗布する看護師など,外用薬に関係する人たち「みんな」を読者対象にしたと記しているが,その思いはしっかりと届いているであろう.実際に,当院では診察室に常に本書を置いているが,使用頻度が高いのは看護師である.医師が処方した外用薬が何なのか,どういう目的で選択したのかを逐一本書を使って確認しており,そこで得た情報を外用処置や患者さんへの説明に活かしている.皮膚科外来における患者さんからの質問・相談内容は,皮膚外用薬に関すること(使用方法や成分の確認など)が大半を占めるので,説明に対する患者さんの反応によっては,患者さんへ本書の購入を勧めたりしている.
さあ! 「みんな」への思いが詰まった本書.いつ読むの? 今でしょ! 誰が読むの? みんなでしょ!
臨床雑誌内科134巻4号(2024年10月号)より転載
評者●久保秀通(久保皮膚科 院長)