飯塚病院発!7stepsで学ぶ 緩和ケア必須手技

編集 | : 柏木秀行 |
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ISBN | : 978-4-524-20446-5 |
発行年月 | : 2025年7月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 168 |
定価4,730円(本体4,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

緩和ケアや在宅医療の現場で「手を動かす」機会は多く,苦痛緩和や症状コントロールのために避けては通れない手技がある.本書ではそのような手技の実際とコツを,飯塚病院で研鑽を積んだ経験豊富な執筆陣が伝授.「7steps」(適応と禁忌, 処置説明,準備,手技,成否判断,合併症,記録)の手順に沿った解説のほか,緩和ケアならではの配慮や工夫,経験談までを紹介し,手技が苦手な読者でも読めば自信をもって実践できる一冊である.
Chapter 1 緩和ケアで手技を行う前に
1.緩和ケアでの手技習得のススメ〜手技が苦手な人へのメッセージ〜
2.緩和ケア・在宅医療での手技の特殊性
Note▶手技の際に書面の同意は必要?
Chapter 2 7stepsで学ぶ! 必須手技
「7steps」に関する注記
1.皮下投与
Note▶顎関節脱臼整復
2.胸腔穿刺
Note▶手技上手は待ち上手!? 〜痛くない穿刺手技のコツ〜
3.腹腔穿刺
Note▶コミュニケーションも手技と同じくスキルの1つである
4.気管カニューレ交換
5.経鼻胃管挿入
6.尿道カテーテル挿入
7.緩和ケアにおけるPOCUS
Chapter 3 管理できるようになる! その他の手技
1.胃瘻管理
2.腎瘻管理
3.膀胱瘻管理
4.消化管ストーマ(人工肛門)
Note▶トリガーポイント注射
5.PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)
6.PCA(自己調節鎮痛法)
7.持続脊髄くも膜下鎮痛法
Note▶ペースメーカーの除去
索引
はじめに
緩和ケアの現場では,日々の診療において「手を動かす」機会が少なくありません.特に苦痛緩和や症状コントロールのために,胸腔や腹腔の穿刺,投薬ルートの確保,皮下投与など,いくつかの手技は避けて通れないものです.しかしながら,現在の緩和ケア研修の現場では,これらの手技を系統的かつ段階的に学ぶ機会は限られており,実践を通して独学で身につけざるを得ない状況に置かれている学習者も少なくありません.加えて,緩和ケアの学習者は様々なキャリアを有していることが多く,外科系診療科での経験を有する方もいれば,手技的なトレーニングを全く受けてこなかった方もいます.本書はその中でも手技的なトレーニングを受けてこなかった学習者が,緩和ケア領域で求められる手技を安全に取り組むための書籍として企画しました.
患者さんから多くのことを学ぶのが臨床の本質であることに異論はありません.手技も失敗しながら学ぶものですし,私自身もそうした経験から多くのことを患者さんから教えてもらいました.ただし,患者さんから学ぶことは大切ですが,患者さんを実験台にしてはなりません.手技を試みるには,試みるに足りるだけの練習と指導は必要だと思います.しかし指導者が十分揃っていない緩和ケアの教育現場がまだまだ存在するのも事実です.
このような観点から本書は,手技に対して苦手意識をもっている,あるいは経験が少ない緩和ケア領域の学習者にとって,安心して一歩を踏み出すための手引きとなることを目指しました.手技の技術的なことだけではなく,準備や説明の仕方なども盛り込みました.各Chapterでは,単なる手技の手順にとどまらず,緩和ケアの対象となる患者さんだからこそ求められる配慮や工夫を,豊富な臨床経験をもつ執筆者が余すことなく盛り込んでいます.
本書が,現場で困った時にそっと手に取ってもらえる一冊になれば幸いです.そして読者のみなさんが手技への自信を深め,より安心して患者さんに向き合えるようになる一助となることを心より願っています.
2025年5月
柏木 秀行
