社会・環境と健康2024-2025
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
---|---|
編集 | : 吉池信男/寳澤篤/栗木清典 |
ISBN | : 978-4-524-20444-1 |
発行年月 | : 2024年3月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 416 |
在庫
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
正誤表
-
2024年08月20日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
管理栄養士が活動の根拠として必ず理解しておくべき,人間の健康とそれを規定する社会・環境要因,健康の維持・増進や疾病予防の考え方とその取り組みを学べるテキスト.隔年度版にて、最新の動向,施策を解説し,統計データもアップデート!
第1章社会と健康
A 健康の概念
1 健康の定義
2 健康づくりと健康管理
B 公衆衛生の概念
1 公衆衛生の定義と目標
2 公衆衛生と予防医学
3 プライマリヘルスケア
4 ヘルスプロモーション
C 公衆衛生活動の進め方
1 公衆衛生活動とは
2 公衆衛生活動の過程・方法
3 ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ
D 社会的公正と健康格差の是正
E 公衆衛生と予防医学の歴史
1 海外における歴史
2 日本における歴史
練習問題
第2章環境と健康
A 生態系と人々の生活
1 生態系と環境の保全
2 地球規模の環境
B 環境汚染と健康影響
1 環境汚染
2 公害
C 環境衛生
1 気候,季節
2 空気
3 温熱,低温
4 上水道と下水道
5 廃棄物処理
6 電離放射線と非電離放射線
7 建築物衛生
練習問題
第3章健康,疾病,行動にかかわる統計資料
A 保健統計の概要
1 保健(衛生)統計
B 人口静態統計
1 人口静態統計と国勢調査
2 世界の人口
C 人口動態統計
1 人口動態統計と各指標の届け出制度
2 出生
3 死亡
4 婚姻と離婚
D 生命表
1 生命表の種類
2 平均寿命と平均余命の推移
3 健康寿命
E 傷病統計
1 患者調査
2 国民生活基礎調査
3 食中毒統計
F その他の保健統計
1 国民健康・栄養調査
2 都道府県民健康・栄養調査
3 家計調査
練習問題
第4章健康状態・疾病の測定と評価
A 疫学の概念
1 疫学の定義
2 疫学の対象と領域
B 疫学指標
1 疾病頻度の指標
2 曝露効果の測定
C 疫学の研究方法
1 疫学研究の全体像
2 記述疫学
3 分析疫学
4 介入研究
D バイアスの制御と疫学的因果関係
1 疫学研究の妥当性
2 バイアス(選択バイアス,情報バイアス)
3 交絡と統計解析による調整
4 疫学研究における因果関係のとらえ方
E スクリーニング
1 スクリーニングの目的と適用条件
2 スクリーニングの精度
3 スクリーニングの評価
F 根拠(エビデンス)に基づいた医療および保健対策
1 根拠の質のレベル
2 系統的レビューとメタアナリシス
3 効能,効果,効率の評価
4 主な疾患管理ガイドライン
G リスクのとらえ方と安全性の確保
1 リスクアナリシス(リスク分析)
2 危害分析重要管理点(HACCP)
3 コーデックス委員会
4 食品の安全性確保の現状
H 疫学研究と倫理
1 人を対象とした研究・調査における倫理的配慮
2 インフォームド・コンセント
3 利益相反
4 研究公正
練習問題
第5章生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策
A 健康に関する行動と社会
1 健康の生物心理社会モデル
2 生活習慣病,NCD の概念
3 健康日本21
B 身体活動,運動
1 身体活動・運動の健康影響
2 身体活動・運動の現状
3 健康づくりのための身体活動・運動に関する施策
C 喫煙行動
1 喫煙の現状
2 喫煙の健康影響と社会的問題
3 禁煙サポートと喫煙防止
4 受動喫煙防止
5 その他のたばこ対策
D 飲酒行動
1 飲酒の現状
2 飲酒の健康影響と社会的問題
3 アルコール対策と適正飲酒
E 睡眠・休養,ストレス
1 睡眠
2 休養
3 ストレス
F 歯科口腔保健行動と歯科疾患
1 歯・口腔の健康と食生活
2 歯科口腔保健行動
3 歯科疾患
4 歯科口腔保健対策
練習問題
第6章主要疾患の疫学と予防対策
A がん
1 がん統計
2 がん対策
3 がん検診
B 循環器疾患
1 高血圧
2 脳血管疾患・心疾患
3 循環器疾患の予防
C 代謝疾患
1 肥満
2 メタボリックシンドローム
3 糖尿病
4 脂質異常症
D 骨・関節疾患
1 骨粗鬆症・骨折
2 変形性関節症
3 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
E 感染症
1 感染症の基礎
2 感染症対策にかかわる法規
3 感染症予防策
4 主要な感染症とその対策
F 精神疾患
1 主要な精神疾患
2 精神保健対策
G その他の疾患
1 腎臓疾患
2 呼吸器疾患
3 消化器疾患
4 アレルギー疾患
5 難病法と難病対策
H 外因(自殺,不慮の事故,虐待・暴力)
1 自殺
2 不慮の事故
3 虐待・暴力
練習問題
第7章保健・医療・福祉の制度
A 社会保障の概念
1 社会保障の定義と歴史
2 公衆衛生と社会保障
B 保健・医療・福祉における行政の仕組み
1 国の役割と法律
2 衛生法規の定義とその内容
3 地方自治の仕組み
4 都道府県の役割
5 市町村の役割
6 多職種の役割と連携
C 医療制度
1 医療保険制度
2 医療法と医療提供施設,医療計画
3 医療従事者
4 医療費
D 福祉制度
1 社会福祉
2 障害者福祉
練習問題
第8章地域保健
A 地域保健活動の概要
1 地域保健とは
2 戦後の地域保健活動の変遷
3 地域保健活動の組織
4 地域保健従事者
B 地域における資源と連携
C 地域における健康危機管理
練習問題
第9章母子保健
A 母子保健法
B 母子保健事業
1 母子健康手帳
2 乳幼児健康診査
3 先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング)
4 産後ケア事業
5 出生前小児保健指導(プレネイタル・ビジット)
C 母子保健施策
1 健やか親子21
2 少子化対策,子ども・子育て支援新制度
3 児童虐待防止法
練習問題
第10章成人保健
A 生活習慣病の発症予防と重症化予防
B 特定健康診査・特定保健指導
1 特定健康診査・特定保健指導制度が導入された背景
2 特定健康診査・特定保健指導制度の概要
3 特定健康診査・特定保健指導事業の評価
練習問題
第11章高齢者保健・介護
A 高齢者保健・介護の概要
1 現状
2 制度の変遷の概要
3 課題
B 介護予防
C 介護保険制度
1 介護保険制度の概要
2 要介護認定
3 ケアマネジメント
4 地域支援事業
5 地域包括支援センター
6 給付サービス
D 介護施設・居住系サービス
E 地域包括ケアシステム
1 地域包括ケアシステムの定義
2 地域ケア会議
練習問題
第12章産業保健
A 産業保健の目的と概要
1 目的
2 労働(労働条件・労働環境)と健康
3 法的枠組み
4 行政組織と関連組織
B 産業保健の現状と対策
1 労働災害の発生件数
2 業務上疾病の発生件数
3 産業保健従事者の職種
4 労働安全衛生対策
C 職業と健康障害
1 産業疲労
2 作業関連疾患と職業病
3 代表的な作業関連疾患
4 代表的な職業病
練習問題
第13章学校保健
A 学校保健の概要
1 目的
2 制度
3 概要
B 学校保健の現状と対策
1 学校保健従事者
2 学校保健統計調査
3 児童生徒の健康
4 学校保健安全対策
5 学校感染症
練習問題
第14章国際保健
A 地球規模の健康問題と国際協力
1 開発途上国の概況
2 開発途上国の健康問題
3 国際保健の目的と開発目標
4 国際協力
B 国際機関・組織の役割
1 国際協力の仕組み
2 世界保健機関(WHO)
3 国際連合食糧農業機関(FAO)
4 国際連合児童基金(UNICEF)
5 国際協力機構(JICA)
練習問題
付録1保健・医療・福祉の制度(関連法規)
付録2
参考図書
練習問題解答
索引
コラム
2024-2025年度版の序
本書は管理栄養士国家試験出題基準に準拠した “健康・栄養科学シリーズ” の1 冊として,2004(平成16)年4 月に初版が刊行された.本書で学ぶ「社会・環境と健康」は,医学・健康科学の領域では,「公衆衛生学」(Public Health)と呼ばれる内容を網羅している.人々のウェルビーイング(well−being)は,生活を営む社会・環境によって大きく左右される.そのため,健康増進や疾病予防を推し進めるためには,健康にかかわる諸事象を,多様な因子が集団の中で相互に関連しあう現象として把握・分析し,それらの理解を踏まえて,エビデンスに基づく対策を行うことが必要となる.
本書は初版刊行より20 年となった.その間,わが国においては少子高齢化や人口減少が益々大きな課題となるとともに,新たな感染症の脅威に直面し,DX(デジタルトランスフォーメーション)に代表されるような技術革新も進み,社会情勢も大きく変化してきた.また,地球レベルでの持続可能な開発目標(SDGs)を意識した各種の取り組みも極めて重要なこととなった.すなわち,私たちが現在進行形で向き合っている「社会・環境」の大きな変化を理解し,さらに未来を予測しながら,「健康」「ウェルビーイング」に深く向き合うことが,これからの管理栄養士に求められている.本書は「隔年改訂」を行うことにより,これらの社会情勢や健康施策の変化に対応するとともに,管理栄養士国家試験の出題基準の改定の際には,その検討における議論も踏まえて,できるだけ丁寧に,構成や記述を見直してきた.
わが国の公衆衛生活動は,きめ細やかな制度設計と活動により,「誰1 人取り残さない」保健サービスの上に成り立っている.管理栄養士においても,この理念を大切にし,プロフェッショナルとしての活動を行っていただきたいと考えている.本書は,学生における初学の書としてのみならず,管理栄養士としてすでに活躍している方にとっても,実践科学を学ぶ上で役立つものと確信している.座右の書として大いに活用いただけるよう祈念する.
2024 年2 月編集者一同