書籍

神経内科専門医試験問題 解答と解説<第2集>

編集 : 日本神経学会
ISBN : 978-4-524-20427-4
発行年月 : 2024年2月
判型 : B5判
ページ数 : 212

在庫あり

定価5,500円(本体5,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本神経学会編集による神経内科専門医試験の過去問題集の第2弾.第2集では,2016〜2020年に出題された5年分の問題から約170題を精選し,各設問の解答と解説を示す.第1集と同様,神経内科診療に携わる医師の専門知識の維持・向上にも役立つのはもちろん,神経内科医以外の内科医,特に内科専門医試験を目指す内科医の勉強にも有用な一冊.

T 必修問題
U 一般問題
V 症例問題

刊行にあたって

 このたび日本神経学会では「神経内科専門医試験問題 解答と解説 第2 集」を刊行することになりました.
 日本神経学会は神経内科専門医(脳神経内科専門医)制度を1968 年に制定しました.日本神経学会の最も重要な使命のひとつが社会に貢献できる神経内科専門医を世に送り出すことであり,日本神経学会は専門医の育成に最も力を入れている学会のひとつであると自負しております.すでに半世紀の歴史を有する神経内科専門医制度は本邦の専門医制度の魁のひとつであり,また特筆すべきは一次試験と二次試験を課している点でして,二次試験では実技評価も含めた面接が実施されています.優秀な脳神経内科医は単に知識が豊富というだけでは不十分であり,臨床現場で実用できる神経診察を含めた技能,そして人間味溢れる品格,を有することも肝要です.神経内科専門医試験に二次試験があるのは日本神経学会がこうした点を重視していることの証左なのです.一方,筆記試験である一次試験においても日本神経学会は実力ある神経内科専門医を育てようという情熱をもって毎年の問題作成に取り組んで参りました.神経内科専門医試験の問題は,専門医認定委員会において脳神経内科の各分野で本邦を代表するような専門家達が何ヵ月もの期間,徹底的な議論を重ねて作り上げられるのです.想像を絶するほどの熱情を込めて厳選された問題ですので,どれもが良問であり,脳神経内科医であれば是非身につけておいてもらいたいという知識が問われています.しかし昨今の脳神経内科は病態解明や診断,そして治療などの面で長足の進歩を遂げており,良書であった2017年刊行の「神経内科専門医試験問題 解答と解説」にも改訂が必要な時期が訪 れました.
 今回の「神経内科専門医試験問題 解答と解説 第2 集」を編纂された松井真・専門医テキスト作成準備特別委員会委員長は多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン作成委員会委員長をはじめとする当学会での要職に就かれています.また,編集にあたられた特別委員会の皆様は専門医試験問題作成のエキスパートばかりです.今回の解説集第2 集では比較的最近の試験問題のなかから選りすぐられた良問を紹介し,それらに対する解説を掲載しておりますので,これから神経内科専門医試験を受験される若い先生方には大いに参考になることは必定です.また,すでに神経内科専門医としてご活躍中の先生方にとりましても最新の知識の ブラッシュアップに役立つことが期待されます.
 今後社会から益々大きな期待が寄せられるのが神経内科専門医です.本書が社会に貢献できる優秀な神経内科専門医育成の一助となることを衷心より祈念いたしまして巻頭の言葉を擱筆させていただきます.

2024年1月
日本神経学会 代表理事
西山 和利

神経内科専門医試験の受験対策のみならず,専門医の知識のアップデートにも最適

 『神経内科専門医試験問題 解答と解説』の第2集が刊行された.2017年に刊行された同じタイトルの書籍に続くものである.これは第2版でないことからもわかるように,改訂版ではなく新たな書籍であり,2017年版と併せて利用するようにつくられている.
 一通りみていただくと,神経内科(新しい呼称は脳神経内科であるが,本稿では神経内科と記載する)のカバーする領域の広さがわかるであろう.神経内科は脳血管障害,認知症,てんかん,頭痛,などの患者数の多い疾患(コモンディジーズ)に加えて,数多くの難治性希少疾患を扱う.現在,難治性希少疾患の多くは指定難病として公費助成の対象となっているが,そのなかで神経筋疾患の割合は大きい.そうした難病に関する研究は近年大いに進み,病態メカニズムが解明されるとともに,治療法にも進歩がみられている.また,コモンディジーズについても,次々に新しい治療法が開発されている.本書は,そうした最新の情報も踏まえた内容となっている.
 神経内科専門医試験には,一次試験(筆記試験)と二次試験(面接)がある.本書はその一次試験から選ばれた169題の解答と解説から成り立っている.一次試験には,必修問題,一般問題,症例問題があるが,本書では全169題のうち102題が必修問題で多くの部分を占めている.必修問題とは,文字どおり「専門医にとって必須の内容」を問う問題であるが,これがなかなか難しい.おそらく第一線で働いている神経内科医にとっても簡単に正解できる問題ばかりではないであろう.そして残りの一般問題や症例問題は,さらに深い知識や理解が試される内容となっている.
 本書は,そのタイトルから考えれば当然であるが,神経内科専門医試験を受験する方々にとって必携の書である.専門医試験受験にあたっては,成書を一通り読んで体系的に学ぶことは必要であるが,専門医の知識としての重要性の程度を見極めることは簡単ではない.本書では全体を通じて,奇数ページに問題が提示され,その裏面(偶数ページ)に正解と各選択肢についての解説が掲載されている.したがって,単なる答え合わせだけでなく,正解肢・非正解肢の双方についておおよその知識を得ることができる.そのようにして興味をもったところで,さらに成書で詳細を学べばよい.そうすることにより,重要な情報を効率的に得ることができる.神経内科専門医試験受験者は,専攻医としての後期研修に励んだ方々と思われる.そうした日常の診療から得た生きた知識を踏まえて,2017年版とともに本書を活用すれば,最高の受験対策となるであろう.
 またこれから受験する専攻医だけではなく,すでに専門医として活躍している先生方にも,ぜひ本書を読んでいただきたいと思う.なぜなら神経内科専門医の知識のアップデートに大いに役立つことが間違いないからである.本書は神経内科専門医育成と生涯教育にきわめて有用であると考え,ここに紹介する次第である.

臨床雑誌内科134巻3号(2024年9月増大号)より転載
評者●楠 進(近畿大学 名誉教授/医学部客員教授)


9784524204274