看護学テキストNiCE
看護教育学改訂第3版
看護を学ぶ自分と向き合う
編集 | : グレッグ美鈴/池西悦子 |
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ISBN | : 978-4-524-20424-3 |
発行年月 | : 2024年2月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 324 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
学問としての看護学教育や日本の看護教育制度の変遷から,カリキュラムや学習理論・教育評価,海外の看護学教育制度まで,看護教育の全般をわかりやすくコンパクトにまとめたテキストの改訂版.「看護を学ぶ自分と向き合い,看護師として,また一社会人として,自ら生涯にわたって成長できる素地を培う」という方針で編集.今改訂では情報更新のほか,ダイバーシティやインクルージョン,ICTを活用した学習について,学習者の視点から理解を深められる解説を追加した.
目 次
第T章 看護教育学とは何か
1 看護教育学とは何か
A.関連する用語の理解
B.看護教育,看護学教育,看護教育学の違い
1●さまざまな定義
2●定義における論点の整理
3●本書における定義
C.看護教育学における教育・研究
D.エビデンスに基づく看護学教育
コラム 頑張るために,『杉森塾』
第U章 専門職としての看護
1 専門職とは何か
A.専門職の特質・基準
1●専門職とは
2●看護学以外の学問分野における専門職の特質
3●看護学における専門職の基準
B.専門職の特徴からみた日本の看護
C.専門職性
D.スペシャリストとジェネラリスト
コラム 冷蔵庫看護師ってなあに?
2 実践の学問としての看護学 奥井幸子
A.実践から看護学へ―零(ゼロ)からのスタート
B.看護専門職としての実践
1●事実と情報の意味を問う
2●実践の意味を問い看護を開発する
3●専門性を探求する
4●保健師の専門性の確立―役割・機能の充実を目指す
C.実践の学問としての看護学―機能看護学の構築
1●看護専門職としての実践・成長を方向づけるもの
2●実践から機能看護学の構築へ
コラム 機能看護学のその後
3 多職種連携教育(IPE)
A.チーム医療とIPE
B.IPEの定義と意義
1●IPEの定義
2●IPWとIPE
3●IPEとMPE
4●看護が先駆けの日本でのIPE
C.効果的なIPEの展開
1●IPE導入のポイント
2●IPE導入の障壁
3●IPコンピテンシー
4●IPEによる学習評価
第V章 看護教育制度
1 看護制度・看護教育制度の歴史的変遷
A.看護制度の原点,その成立過程
1●産婆教育制度
2●看護婦教育制度
3●保健婦教育制度
B.戦中の看護教育制度の混迷期から戦後の看護教育の基盤形成期
1●戦時体制下,看護教育制度の混迷期―規則の改悪
2●戦時体制から戦後の看護教育制度の整備確立期
C.戦後の教育制度の改革,看護教育制度の基盤形成
D.看護教育および看護教育制度の改革期
1●看護基礎教育の学校教育法第1条校へと変革の動き
2●社会の変化・ニーズに対応した看護教育内容と看護教育制度への変革―「法律」「報告書」とそれに基づいた改革の実施
3●看護学の体系化と看護教育制度の大学教育化
2 看護教育制度の現状
A.日本の看護教育制度
1●看護教育制度
2●教育課程
3●教育課程別養成所数の推移
B.看護基礎教育の現状における課題
1●他職種にかんがみる看護職者養成制度の複雑さ
2●教育課程による教育内容の違い
3●看護基礎教育は「看護学」教育となりうるか
コラム 大学と養成所の設置基準
C.日本の看護卒後教育と看護継続教育
1●看護師等の人材確保の促進に関する法律
2●卒後教育制度
コラム 看護系の大学が増えているのはなぜ?
3●看護継続教育
D.看護教育制度における今後の課題と展望
3 准看護師制度問題
A.准看護師制度の概要
1●准看護師の就業者数と就業場所
2●准看護師の養成と卒後の看護師資格の取得
B.准看護師制度の成立過程
1●2種類の看護職資格―「甲・乙」から「看・准」へ
2●准看護師の急増と看護教育制度の複線化
C.准看護師制度の何が問題なのか
1●法と実態の矛盾
2●教育課程の不十分さ
D.准看護師制度廃止運動
1●准看護師制度廃止運動の始まり
2●1990年代以降の准看護師制度問題
E.差別と偏見を超えて
第W章 看護学教育の基盤
1 アイデンティティ
A.アイデンティティ
B.アイデンティティの測定
1●同一性地位とは
2●同一性地位面接
3●看護学生の同一性地位についての研究
コラム 私の職業的アイデンティティの確立
C.職業的アイデンティティ
1●職業的アイデンティティとは
2●看護師としての職業的アイデンティティの研究
2 クリティカルシンキング
A.クリティカルシンキングとは
1●クリティカルシンキングの定義
2●看護にみるルーベンフェルドの思考の過程
B.クリティカルシンカーに必要な資質
C.クリティカルシンカーになるための方法
1●クリティカルシンキングの育成方法
2●学習能力を高める方法
コラム 心の持ち方
3 リフレクション
A.リフレクション
1●リフレクションとは
コラム リフレクション
2●専門職にとってのリフレクションの意義
3●リフレクションに必要なスキル
コラム 技術的実践家からリフレクティブな実践家へ
コラム 日本の臨床看護師におけるリフレクションの構造
B.リフレクションの方法
1●リフレクションのプロセス
2●日誌や対話によるリフレクション
C.リフレクションのアセスメント
1●リフレクションをアセスメントする意義
2●リフレクションのアセスメントにおける課題
4 キャリアマネジメント
A.キャリア
1●キャリアとは
2●キャリア発達とは
B.キャリアマネジメント
1●キャリアマネジメント
2●日本社会でキャリアマネジメントが必要となった背景
3●看護職におけるキャリアマネジメントの必要性
4●組織と個人が共に成長するための条件
C.キャリアマネジメントの実際
1●個人のキャリアマネジメント
コラム 何によって覚えられたいか
2●組織のキャリアマネジメント
5 自己主導型学習
A.生涯学習と自己主導型学習
B.自己主導型学習とは何か
C.自己主導型学習を行うために
D.学習契約の作成 154
E.看護学生の自己主導型学習の現状
コラム イタリアの看護基礎教育と自己主導型学習
6 ダイバーシティとインクルージョン
A.ダイバーシティ
B.インクルージョン
C.ダイバーシティとインクルージョンの必要性
D.看護におけるダイバーシティとインクルージョン
1●障害者差別解消法と合理的配慮
2●障害をもつ学生の看護職としての就業継続
E.セルフアドボカシー
コラム 身近にある差別
第X章 カリキュラム
1 カリキュラム開発
A.カリキュラム開発
1●カリキュラムとは
2●カリキュラム開発の意味
B.看護学教育のカリキュラム開発
1●設置者の意図・機関の使命
2●教育・学習および学生の捉え方
3●看護学における教育の考え方
コラム 知能と知性
2 カリキュラムデザイン
A.カリキュラムデザインとは
B.科目の構成
C.科目間の関連づけ
1●科目間の関連づけのための枠組み
2●知の構造,学習体験の構造
D.教授・学習過程の進め方と学習の支援
コラム 実習の計画
E.単位の設定
3 カリキュラム評価
A.カリキュラム評価とは
B.教授・学習活動の評価とカリキュラム評価
1●学生に焦点化した教授・学習活動の評価
2●教員に焦点化した教授・学習活動の評価
C.カリキュラムデザインとカリキュラム評価
D.カリキュラム開発とカリキュラム評価
E.法的規制とカリキュラム評価
第Y章 学習理論と学習方法
1 学習理論
A.学びの本質
1●「学ぶ存在」としての人間
2●「学習とは何か」という追求
コラム 「無智の知」と「産婆術」
B.学習理論
1●行動主義における学習理論
2●認知主義における学習理論
3●状況主義における学習理論
C.学習意欲
2 学習方法
A.期待される学習
B.学習方法
1●知(識)へのアプローチの方法
2●主体的かかわり
3●共同学習=コラボレーション
C.能動的学習の支援
1●アクティブ・ラーニング
2●PBL(Problem Based Learning)
3●チーム基盤型学習(TBL:Team Based Learning)
3 ICTを活用した学習
A.学習におけるICTの活用
1●ICTを活用した学習の拡がり
2●看護基礎教育におけるICTを活用した学習の現状
B.ICTを用いた学習の効果と注意点
1●学習者主体の学びとするために
2●心身への影響
C.ICTの効果的な活用
1●反転授業で期待される効果
2●シミュレーション教育
コラム VRやARの技術を活用した看護基礎教育向けの教材
第Z章 臨地実習における教育と学習
1 教育的ケアリングモデル・経験型実習教育
A.看護学教育の新しいパラダイムとしての教育的ケアリングモデル
B.経験型実習教育とは
C.経験型実習教育の基礎となる理論
D.経験型実習教育の実践
1●経験型実習教育で求められる教師の能力
2●経験型実習教育で学生に必要なもの
3●経験型実習教育における授業過程の展開
4●経験型実習教育を行う教師像
2 看護学生が直面しやすい問題:臨地実習を通して
A.看護学教育における臨地実習の位置づけ
B.臨地実習で直面しやすい問題の検討
コラム アサーション
コラム リフレーミング
第[章 教育評価
1 教育評価とは何か
A.教育評価の定義
B.教育評価の目的の分類
1●指導目的のための評価
2●学習目的のための評価
3●管理目的のための評価
4●研究目的のための評価
2 教育評価の考え方
A.授業の過程で展開される評価
1●診断的評価
2●形成的評価
3●総括的評価
B.教育目標と教育評価
1●目標分類体系学
2●目標分類体系学の課題
C.評価を考える上での重要な視点
1●評価基準
2●評価主体
3●評価対象
4●さまざまな評価方法
コラム 保健師助産師看護師国家試験におけるタキソノミー
コラム 絶対評価をめぐる捉え方
3 看護学教育での評価の実際
A.授業設計と教育評価
B.授業形態を考慮した評価
1●講義を中心とした授業における評価
2●演習を中心とした授業における評価
3●実習における評価
第\章 欧米における看護学教育
1 米国における看護学教育
A.米国における看護学教育制度
1●看護学教育の概略
2●登録看護師になる道筋
3●看護に対する規制と免許交付
B.米国における看護学の大学院教育
1●大学院教育の概要
2●大学院における看護学教育の動向
C.米国における継続教育−専門能力開発
コラム クリニカルナースリーダー(CNL®):医療システムの変化と社会のケアニードに対応するために発展した新たな看護の役割
2 英国における看護学教育 松谷美和子
※本節は,本書改訂第2版刊行時の最新情報に基づく記述となっている
A.英国の看護制度の変遷
1●登録制度とGNCの結成
2●HS法の制定とUKCCの結成
3●看護教育改革プロジェクト2000:看護助産法の制定とNMCの結成
B.英国の看護教育制度
1●看護師
2●助産師
3●地域公衆衛生専門看護師
C.英国の看護継続教育
1●登録の更新制度
2●看護職の生涯学習
3●看護師と処方
付 録
付録 資料1 日本の看護制度・看護基礎教育の変遷
付録 資料2 日本の看護基礎教育カリキュラムの変遷
付録 資料3 日本の看護継続教育の変遷
はじめに
本書『看護教育学―看護を学ぶ自分と向き合う』は,2009年の初版から一貫してサブタイトルの「看護を学ぶ自分と向き合う」ことを大切にしている.「看護を学ぶ自分と向き合う」ことで,自分自身を知る努力をし,看護を学ぶことの自分にとっての意味を見つけてほしい.
改訂第2版の刊行から5年が過ぎ,社会の変化とともに看護学教育にもさまざまな変化があった.改訂第3版の執筆にあたっては,初版,第2版に引き続く章の各執筆者に,最新の内容を加えていただいた.また新たな節として,「ICTを活用した学習」と「ダイバーシティとインクルージョン」を追加した.
本書は,必要な知識の整理とともに,看護学生が自分の進路に悩むとき,看護学生として学ぶ過程で問題解決を図ろうとするときに活用できるテキストを目指した.さらに看護基礎教育を終えて,継続教育や卒後教育を受けている人々も活用できる内容とした.
本書の特長
第T章では,用語のさまざまな定義をみながら,「看護教育学とは何か」を検討する.第U章の「専門職としての看護」では,専門職の基準を学び,日本の看護職について考える.また実践経験からどのように看護学が構築されるか事例を用いて解説する.さらに多職種連携教育を学ぶ.第V章の「看護教育制度」では,歴史的な変遷と看護教育制度の現状と課題,さらに准看護師制度問題の理解を促す.第W章の「看護学教育の基盤」では,6つの概念を学ぶことによって,学習の深化を目指す.第X章では,「カリキュラム」の開発・デザイン・評価について学習する.第Y章の「学習理論と学習方法」では,学習とは何か,どのような学習理論・学習方法があるかを学ぶ.第Z章の「臨地実習における教育と学習」では,教育的ケアリングモデル・経験型実習教育とは何かを学び,臨地実習で看護学生が直面しやすい問題とその対処を具体例で示す.第[章の「教育評価」では,目的・意義・考え方,および評価の実際の理解を目的とする.第\章では「欧米における看護学教育」として,米国,英国の看護学教育を取り上げ,国際的な視点から日本の看護学教育の課題を考えることを促す.
改訂第3版までの間に,執筆者の近田敬子先生,松谷美和子先生,Vicki Erikson先生がお亡くなりになった.私たちの師であった先生方とのお別れはたいへん悲しい.先生方のご冥福を心よりお祈りする.
最後に改訂版の発刊にご尽力下さった各執筆者の方々,南江堂看護編集部の皆様に心より感謝したい.
2023年12月
グレッグ美鈴
池西 悦子