健康・栄養系の運動生理学(栄養・スポーツ系の運動生理学 改訂第2版)
監修 | : 樋口満 |
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編集 | : 湊久美子/寺田新 |
ISBN | : 978-4-524-20387-1 |
発行年月 | : 2024年3月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 216 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
正誤表
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2024年07月09日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
管理栄養士国家試験出題基準の「運動生理学」関連項目を網羅し,生理学の基礎から運動処方まで幅広くカバーしたテキスト.エネルギー代謝や運動指導に分量を割き,栄養系に特化した内容構成.図表を多く入れるなどの工夫により,初学者でも苦手意識を持たずに読み進めることができる.健康づくりのための身体活動基準2013,日本人の食事摂取基準(2020年版)に対応.
基礎編
1 安静時と運動時のエネルギー代謝
A エネルギー代謝
B 1日のエネルギー消費量
C 臓器別のエネルギー代謝
D エネルギー代謝の測定法
E エネルギーバランスの評価と現場応用
練習問題
2 運動と身体組成
A 肥満とやせの判定
B 身体組成の測定法
C ウエイトコントロールと運動・栄養
練習問題
3 運動と呼吸・循環器系の機能
A 呼吸・循環器系機能の仕組み
B 運動時の呼吸・循環器系調節
C 呼吸・循環器系機能の指標
D 酸素借と酸素負債
練習問題
4 運動と骨格筋の機能
A 骨格筋の構造と収縮の仕組み
B エネルギー供給系
C 筋線維タイプとその特性
D 筋力の心理的限界と生理的限界
E 筋疲労
F トレーニングと骨格筋の適応
練習問題
5 運動と中間代謝・内分泌の機能
A 運動と糖代謝
B 運動と脂質代謝
C 糖・脂質代謝のホルモンによる調節
D 運動とアミノ酸代謝
練習問題
6 環境と運動・栄養
A 運動とストレス
B 温度環境と運動
C 気圧環境と運動
D 無重力(宇宙)環境と運動
E 災害時の運動と栄養
練習問題
応用編
7 体力・運動能力に及ぼす栄養素摂取の影響T
A 糖質(炭水化物)
B たんぱく質
C 脂 質
練習問題
8 体力・運動能力に及ぼす栄養素摂取の影響U
A 運動とビタミン
B 運動とミネラル
C 運動とサプリメント,栄養補助食品
D 運動と水分
E 運動前・中・後の食事内容と摂取のタイミング
F 運動時の食事摂取基準の活用
練習問題
9 体力・運動能力の性差
A 体力・運動能力の性差
B 体力・運動能力調査からみた性差
C 女性の運動・トレーニングの留意点と効果
練習問題
10 体力・運動能力の加齢変化
A 成長・発達に伴う身体的変化と運動機能の変化(出生から成人における変化)
B 加齢に伴う身体的変化と運動機能の変化(成人期以降の変化)
C 体力・運動能力調査からわかる体力の変化(年齢別体力と年次推移の比較)
練習問題
11 健康関連体力・運動能力に及ぼす運動トレーニングの影響と遺伝
A トレーニング効果
B 健康関連体力・運動能力の遺伝率
C 運動能力・健康関連体力のトレーニング効果に関連する遺伝子多型
D 生活習慣病に関連する遺伝子多型とトレーニング効果に及ぼす影響
練習問題
実践編
12 健康の維持・増進のための身体活動・運動指導T
A 日本における身体活動・運動の現状
B 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
C 健康づくりのための身体活動・運動の疫学
D 身体活動・運動指導の実際
E メディカルチェックとリスクの層別化
F 有疾患者に対する身体活動・運動指導
練習問題
13 健康の維持・増進のための身体活動・運動指導U
A 日本における超高齢社会の現状と健康問題
B フレイル予防と身体活動・運動
C 骨粗鬆症予防と身体活動・運動
D 認知症予防と身体活動・運動
E 高齢者における運動支援・指導時の注意
練習問題
おわりに
付 録
練習問題解答
索 引
本書「健康・栄養系の運動生理学」は,栄養士・管理栄養士養成課程の学生を主な対象として,2018年に出版された「栄養・スポーツ系の運動生理学」の改訂版である.本書は管理栄養士国家試験出題基準「応用栄養学」内の運動生理学に対応する項目を網羅し,栄養系において特に重要なエネルギー代謝と運動指導に多くの分量を割くことで,栄養系に特化した内容となっている.今回の改訂では,2018年の初版刊行後に改定された「日本人の食事摂取基準2020年版」「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」をはじめ,近年の法規・制度・統計数値等に対応した内容となっている.
本書の初版の“はじめに”で記したように,本改訂版も,栄養系の学生や,すでに社会に出て現場で保健指導やスポーツ栄養指導を行っている方々を対象として,知っておくべき古典的なエビデンスと最新の知見を織り交ぜて構成され,執筆された「運動生理学」のテキストである.また,初版の“おわりに”で記したように,「生理学」が呼吸・循環器系や脳神経系,そして代謝・内分泌系など人体の諸機能を解明することを目的とした科学であるのに対して,「運動生理学」は,それら諸機能の一過性,および日常規則的な身体活動(生活活動と運動・スポーツを含む)による適応的応答・変化を扱う科学である.したがって,「運動生理学」は私たちに,運動・スポーツという刺激(働きかけ)に対する人体の生理学的(機能的)変化と,そのメカニズムを追求するという科学的興味を湧かせるものである.運動生理学は生化学・分子生物学の飛躍的な進展とともに,欧米を中心として研究が発展してきたが,わが国においても,主として,日本体育学会(現:日本体育・スポーツ・健康学会)に所属する多くの研究者によって,運動生理学研究が精力的に行われてきている.
そして,体育・スポーツ科学を専攻する学生を対象として数多くの「運動生理学」のテキストが出版されてきた.しかし,本書はそれら「運動生理学」のテキストとはやや構成が異なっている.本書では,まず基礎編として,第1,2章でエネルギー代謝,身体組成をとりあげ,運動と関連して,第3,4章で呼吸・循環器系,骨格筋の機能,第5章で中間代謝・内分泌機能の理解を促し,第6章では環境適応について記述されている.次に,応用編として,体力・運動能力との関連で,第7,8章では栄養摂取の影響を,第9,10章では性差と加齢の影響について記述され,さらに,第11章では健康と関連する体力・運動能力に及ぼす遺伝の影響についての最新の知見が記述されている.そして,実践編として,第12,13章では健康の維持・増進のための運動指導について記載されている.このように,本書は栄養と運動生理の関係が学習しやすい構成となっている.また,本改訂版では,栄養系学生に興味をもってもらえるようにコラムが一層充実されている.
本書の執筆陣は,管理栄養士養成課程を有する大学やスポーツ科学を教授する大学に所属し,国際的なレベルで活躍している方々で構成されており,その中には管理栄養士の資格をもちながら,運動生理学的視点から,健康増進やスポーツ栄養の分野で研究や実践指導に携わっている方々も含まれている.したがって,本書はこれまでになかった「栄養系の運動生理学」のテキストとして,自信をもってお勧めできる内容となっている.本書によって,運動生理学の基礎知識を確認するとともに,最新の知見を学んでいただき,これからの保健指導やスポーツ栄養指導に生かしていただくことを,編著者一同,大いに期待している.
2024年2月
樋口 満