日本臨床栄養代謝学会 JSPEN栄養療法ポケットブック
いまさら聞けない? いまだから聞ける!
編集 | : 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-20372-7 |
発行年月 | : 2023年5月 |
判型 | : B6変型 |
ページ数 | : 240 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
正誤表
-
2023年06月02日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
「栄養療法に関心を持ち始めた」メディカルスタッフ必携!病院,在宅,施設における日常的で基本的な栄養療法の実践手順や対応をチェックリストですぐ確認,根拠も学べる.コンパクトな1冊で栄養療法の基本のみならず疾患・病態別の栄養管理 ,多職種・チーム医療まで学ぶことができ,日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)既刊書籍との連携で無理なくステップアップできる.
T基礎編[総論]
A 栄養評価と投与方法の決定
1 栄養スクリーニング
2 身体計測と測定値の活用
3 身長・体重以外の身体計測
4 栄養障害の診断(GLIM基準と体組成)
5 検体検査から栄養障害を考える
6 エネルギー消費量の算出方法
7 栄養の投与経路はどのように決めるか
8 投与エネルギー・三大栄養素の投与量の決定法
9 三大栄養素以外の栄養投与の考え方
10 リフィーディング症候群
B 経口摂取
1 口腔機能のアセスメント
2 (非歯科職種による)基本的な口腔ケア
3 疾患と摂食嚥下機能障害
4 嚥下障害の主な症状への対処法
5 嚥下機能の評価のポイント:問診とスクリーニング検査
6 間接訓練と直接訓練
7 食品調整(嚥下調整食)
8 摂取状況の観察と食事介助
9 経口的栄養補助(ONS)の併用
C 経腸栄養法
1 経腸栄養法の開始条件や注意点・禁忌
2 経腸経管栄養の投与ルートの選択
3 栄養剤の管理(感染対策の側面から)
4 栄養投与ルートの管理
5 経鼻経胃カテーテルの留置方法
6 胃瘻の管理
7 病態別経腸栄養剤
8 経腸栄養法の合併症
D 静脈栄養法
1 静脈栄養法の適応
2 静脈栄養法の投与ルートの選択
3 中心静脈カテーテル(CVC)留置方法
4 末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC)留置方法
5 中心静脈栄養法(TPN)ラインの安全管理と有害事象のモニター
6 静脈栄養法の投与薬剤の調製法
7 脂肪乳剤の投与方法
8 末梢静脈栄養法の輸液製剤の主な種類
E 小児の栄養療法
1 小児の特徴(新生児期,乳児期)
2 小児の栄養評価法
3 小児の栄養必要量の算定
4 小児の水・電解質管理
5 成長と機能獲得
6 新生児の栄養投与方法
F 高齢者の栄養療法
1 高齢者の特徴
2 サルコペニアの評価・診断
3 MNA®,MNA®-SFによる高齢者の栄養スクリーニング
4 高齢者の栄養ルートの選択
G 栄養療法にかかわる多職種の役割
1 栄養サポートチーム(NST)とは
2 看護師の役割
3 薬剤師の役割
4 管理栄養士の役割
5 医師の役割
6 歯科医師の役割
7 歯科衛生士の役割
8 臨床検査技師の役割
9 理学療法士(PT)の役割
10 作業療法士(OT)の役割
11 言語聴覚士(ST)の役割
U基礎編[各論]
A 呼吸器疾患(COPD)患者の栄養管理
1 COPDの診断と治療
2 COPDの栄養障害の原因と特徴
3 COPDの栄養障害に対する栄養療法と食事指導
4 COPDにおける栄養療法と運動療法のコンビネーションセラピー
B 消化器疾患(炎症性腸疾患)患者の栄養管理
1 炎症性腸疾患の病態と栄養障害の特徴
2 炎症性腸疾患患者の栄養状態の評価
3 炎症性腸疾患患者の栄養管理
C 腎疾患(慢性腎臓病など)患者の栄養管理
1 腎疾患の病態と栄養障害の特徴
2 慢性腎臓病(CKD)患者の栄養状態の評価
3 慢性腎臓病(CKD)患者の栄養管理
D 脳神経疾患(脳卒中など)患者の栄養管理
1 脳血管障害急性期の病態
2 脳血管障害急性期の栄養管理
3 脳血管障害慢性期の栄養管理とリハビリテーション
E 急性期・重症患者の栄養管理
1 急性期栄養評価のポイントと注意点
2 栄養管理の開始時期とその意義
3 重症病態下における栄養投与量の目標設定
F 周術期の栄養管理
1 周術期の栄養状態の特徴
2 ERASの概要
3 術前経口補水の意義と実践
4 侵襲期・非侵襲期における栄養管理
G がん化学療法中の栄養管理
1 がん化学(放射線)療法中の栄養状態の特徴
2 口腔粘膜炎のアセスメントと管理
3 悪心・嘔吐のアセスメントと管理
4 下痢と消化管粘膜障害のアセスメントと管理
5 味覚障害への一般的対応
V応用編[チーム医療としての栄養療法の実際]
A 入院患者への栄養療法導入
1 入院時の栄養管理計画立案
2 ベッドサイドチームの役割とNST
3 様々な領域の医療チームとの円滑な連携のためには
B 退院時の栄養指導
1 自宅退院時の栄養指導
2 転院・施設入所予定者の栄養サマリーの記載
3 退院時の栄養評価(摂取量,体重など)
4 地域との連携
C 外来での栄養療法導入
1 外来NSTの特徴・役割
2 外来通院患者の栄養評価と計画の立案
3 外来NSTの実践のポイント
4 外来NSTでの目標設定
D 在宅・施設での栄養療法
1 在宅NSTの特徴・役割
2 在宅NSTの実践のポイント
3 在宅NSTでの目標設定
4 在宅医療で実施可能な栄養・嚥下機能評価方法
5 ミールラウンドの実践と情報共有
W巻末資料
資料 1 MUST(Malnutrition Universal Screening Tool)
資料 2 NRS-2002(Nutritional Risk Screening 2002)
資料 3 改訂口腔アセスメントガイド(Revised OralAssessment Guide:ROAG)
資料 4 代表的な嚥下スクリーニング検査の概要
資料 5 学会分類2021(とろみ)早見表
資料 6 乳児の食事摂取基準(1日あたり)
資料 7 小児(1〜5歳)の食事摂取基準(1日あたり)
資料 8 小児(6〜9歳)の食事摂取基準(1日あたり)
資料 9 小児(10〜14歳)の食事摂取基準(1日あたり)
資料10 AWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)2019
資料11 AWGS2019の基準値一覧
資料12 透析患者の低栄養の指標
資料13 CKD ステージによる食事療法基準
資料14 CKD ステージによる食事療法基準(別表)
索 引
序 文 〜「耳学問」を確かめる名著〜
「耳学問」という言葉は,「自分で修得したものでなく,人から聞いて得た知識.聞きかじった知識.耳学(じがく)」であるとあります(デジタル大辞泉,小学館).聞きかじりというとあまりよい印象はないのですが,臨床現場における「耳学問」は忙しい臨床家にとっては非常に重要な情報源だと思います.実際,患者さんに対する診断・治療において,先輩がこう言っていたからやってみようと考えることも多くあります.一方で,「これは本当に正しいことなのか?」を確かめるためには,原著をひもとかなければなりません.原著をひもとくためには多くの労力と時間を要し,若く多忙な臨床家はそれに割く時間もなく,先輩から受け継いだ「耳学問」による知識のみに頼って診断・治療に勤しんでいるという現場も多いと思います.
本書『JSPEN栄養療法ポケットブック』は,基礎編と応用編からなり,栄養療法における多くの知識が詰め込まれた良書に仕上がりました.著者の多くはJSPEN-U45という日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)の45歳以下の優秀な若手臨床・研究家で,栄養学の将来を担うリーダーとなる素養をもつ臨床家によって執筆されています.臨床の場で沸き上がる多くの疑問に対して先輩に聞くことができない環境もあるかと思います.これらの疑問に正しい答えを端的に供給してくれるポケットブックとなっています.また,教えてくれる先輩がいたとしても,それをより正しい知識として反芻するためにも大変役立ちます.名前のとおり白衣などのポケットに入る大きさのため,いつでもひもとける知識の宝庫となっていますので,ぜひとも日々の臨床にお役立ていただきたいと思います.
基礎編では臨床栄養における多くの知識が網羅されており,応用編ではなかなか聞けないチーム医療におけるコツなどが幅広く記載されています.「耳学問」を確かめ,臨床をしながら知識を拡げる本書は栄養療法に携わるすべての職種の皆さまに常に携帯していただきたい名著となりました.
2023年3月
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 理事長
比企直樹
栄養の知識は,急性期から慢性期,在宅にいたるまでさまざまな場面で必要となります.栄養に関連した書籍は数多く出版されていますが,本が厚かったり,知りたかった情報が少ししか書かれていなかったりすることに,私自身何度か遭遇したことがあります.
『JSPEN 栄養療法ポケットブック』は栄養療法に関心をもち始めた「初学者」にオススメの本になっています.
本書のメリットは,栄養の基礎知識から在宅の現場で活用できる応用的な知識まで,さまざまな場面が網羅されていることです.「もう少し詳しく情報を知りたい」場合,本書は『JSPEN テキストブック』『静脈経腸栄養ガイドライン』とリンクしているので,同書籍を読んでいただくとより詳しい内容を学習することができます.また,大きさがコンパクトなため,職場のデスクに置いても幅を取らず,バッグに入れてもち運びが可能なことも便利な点です.NST ラウンドの際にもち運びしても邪魔にならないサイズになっています.
私が本書を読んで,オススメの部分は「V.応用編」です.応用編では,チーム医療としての栄養療法の実際や,在宅・施設での栄養療法について解説されています.とくに,在宅医療の現場では測定機器がなく,手探りで行っていることが多くあります.本編を読んでいただくことで,在宅での栄養療法実践のポイントや問題解決のきっかけになると思います.
私は本書を“読む”というよりも,自分の近くに置いて,頻回に目を通す“相棒”のような存在になってほしいと思っています.時間があるときに,ちょっと目を通してみると,自分の知らなかったことを学習できたり,わからないことをピンポイントで調べることができます.“最初から最後まで読み切る”というよりも,“自分に興味のあること”“現場で困っていること”などから読み進めていただくと,栄養の知識が身に付きやすくなると思います.
そんな心強い味方となる1 冊を,皆さんもそばに置いてみませんか?
がん看護28巻8号(2023年11-12月号)より転載
評者●市川 佳孝(群馬大学医学部附属病院看護部)