核をつかむ! 病理学特講SEMINAR & ATLAS

著 | : 福嶋敬宜/佐野直樹 |
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ISBN | : 978-4-524-20335-2 |
発行年月 | : 2025年3月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 496 |
在庫
定価6,930円(本体6,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

「病理」と聞いただけで敬遠したくなる苦手感をもった読者のためのサブテキスト.4 人の登場人物の会話を通して病態と疾患が見えてくる病理学総論,箇条書きで要点をまとめた病理学各論あわせて 800 点近い病理アトラスからなる,これまでにない特徴をもった病理学書である.総論ではあえて病理写真を掲載せず,症例ベースのセミナー形式の解説で組織の変化が起こした病態を学べるようになっており,続いて各論とアトラスを読むことで,病態と病理所見の紐づけができるようになる.加えて,総論では各章末に重要語句と応用的な内容をまとめたページを設け,各論の一部には初期研修まで通用する疾患も含めているので,読者の学年・講義の進捗に応じて長く活用することができる.
CONTENT
本書の特徴と使い方
登場人物紹介
プロローグ
総論と各論のリンク一覧
病理学総論
第1章 病理学とその学び方
セミナー1
病理学とは何か?/症例から学び病理像を理解する/病気のわく組み/病態はつながる/
疾患は病態のグループで理解する/病理学と病理診断学の違い/病理標本に使われる特別な染色/
病理解剖とは,患者に行われる最後の検査
▶セミナー後のカフェで▶▶心,真,愛
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・組織・細胞の構成
第2章 心筋梗塞
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー2
心筋梗塞をイメージする/最初のキーワード「壊死」/急性心筋梗塞巣にみられる組織の変化/
変性と壊死をしっかりイメージする/梗塞の原因は血流不足,その原因は……/高血圧の基準/
血圧が上がる理由/心筋梗塞の原因となった動脈にみられたもの/粥腫/血栓/石灰化/
メタボリックシンドローム/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶解剖学実習と病理解剖
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・時間軸で考える心筋梗塞の現場
第3章 脳出血
症例の概要/ 病理解剖時の所見
セミナー3
臨床経過をみてみよう/「出血」「血腫」「浮腫」「虚血性変化」/血腫が起こる原因は?/
一次止血と二次止血/浮腫の機序/病態を時間軸で考える/二次性高血圧/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶臨床実習
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・浮腫の原因
第4章 糖尿病
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー4
糖尿病の患者って何人くらい?/糖尿病とインスリン/1 型糖尿病は少数派/
血糖値が高いとなぜ悪い?/糖尿病の合併症に共通するもの/糖尿病性腎症とは/
糖尿病性網膜症と糖尿病性末梢神経障害/糖尿病と大血管障害/糖尿病と易感染性/
糖尿病とメタボリックシンドローム/黄疸って何?/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶愛さんの勉強法
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・インスリンの働きとグルコース代謝
第5章 肝硬変,肝癌
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー5
ショック状態とは/肝硬変と静脈瘤/正常から肝炎,肝硬変,肝細胞癌発生と時間軸/
傷害肝からの腫瘍発生/「細胞の再生」「過形成」と「線維化」/機能障害─代謝障害の悪循環/
アルコール摂取と肝障害/アルコール摂取と関係ない脂肪肝疾患/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶飲み会
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・ショックの原因と機序
第6章 アミロイドーシス
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー6
症例の整理から/アミロイドとは何?/アミロイドーシスの分類/ AL アミロイドーシスとは?/
AA アミロイドーシスとは?/ ATTR アミロイドーシスとは?/血液透析関連アミロイドーシス/
心アミロイドーシス/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶国試対策勉強会
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・アミロイド以外の沈着症
・アミロイドーシスの治療
・アミロイドーシスと病理診断
第7章 真菌性肺炎
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー7
「炎」/炎症の徴候/急性炎症を時間軸で考える/戦いの後は/日和見感染症とは?/
アスペルギルスはいつ感染した?/自然免疫/獲得免疫/真菌,細菌,ウイルス感染症の特徴/
感染症の病理組織所見/気管支肺炎と間質性肺炎/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶➡SNS
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・免疫細胞の概要
・炎症に関与する化学伝達物質
・獲得免疫反応
第8章 全身性エリテマトーデス(SLE)
症例の概要/病理所見
セミナー8
自己免疫疾患/免疫を逃れるしくみ/自己免疫疾患と膠原病/「S」「L」「E」/ SLE の臨床像/
症例に戻って/ SLE の免疫異常を紐解こう-1/ SLE の免疫異常を紐解こう-2/
T型過敏性反応とは/U型過敏症/W型過敏症は細胞性免疫が関与/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶真くんに彼女
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・SLEでみられる臓器所見
第9章 下垂体機能低下症
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー9
ホルモンって何?/内分泌と外分泌/視床下部―下垂体/レセプターとフィードバック/
ホルモンクイズ!? /下垂体から分泌されるホルモン/ MEN について/ MEN の分類と合併症/
エンドクライン・パラクライン・オートクラインとは/
ペプチドホルモン・ステロイドホルモンの違い/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶レセプターとフィードバック
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・代表的なホルモンとその働き
第10章 膵臓癌
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー10
身近になってきた「がん」という病気/最難敵「膵臓癌」/癌の病理学/
「動的平衡」状態から腫瘍へ/良性腫瘍から悪性腫瘍へ/細胞が増えること≠腫瘍/癌の形態/
腫瘍の分類/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶癌は怖い
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・がん細胞における遺伝子異常の発見と多段階発癌モデル
・がん細胞はヒトの免疫が正常に働けば排除しうる!?
第11章 子宮頸癌
症例の概要/病理組織・細胞診所見
セミナー11
腫瘍とウイルス感染/細胞が増えることの表現/「いけいせい」には2 つの意味が/
細胞が化ける,とは?/ウイルスと細菌の違い/ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染/
上皮内腫瘍性病変と前癌病変/上皮内腫瘍性病変から癌へ/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶感染症も怖い
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・感染症および慢性炎症と腫瘍
第12章 リンチ症候群
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー12
癌は遺伝するか?/遺伝する癌/リンチ症候群/いろいろな癌が多発するワケ/
常染色体顕性(優性)遺伝とは/ミスマッチ修復遺伝子の関与/再び問う,「癌とは何か?」/
がん遺伝子とがん抑制遺伝子/癌に共通する特徴/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶研修病院
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・単一遺伝子疾患の遺伝様式
・なぜMSI-Highのがんには免疫療法が効きやすいのか
第13章 ニーマン・ピック病
症例の概要/病理所見
セミナー13
ニーマン・ピック病ってどんな病気?/ライソソーム蓄積症/遺伝性疾患や小児の疾患/
グルコース代謝異常:糖原病/弾性繊維の異常:マルファン症候群/
膠原線維の異常:エーラス・ダンロス症候群/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶子どもの病気
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・小児における主な腫瘍
第14章 環境と疾患(アスベストと中皮腫)
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー14
中皮腫とは/アスベストの〇〇ショック/アスベストは「繊維状の石」/職業がんとは?/生活環境と健康被害/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶理先生の父親-1
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・喫煙と疾患
第15章 加齢と老衰
症例の概要/病理解剖時の所見
セミナー15
老衰で死ぬということ/症例について/寿命と予命/人は必ず死ぬ/
超高齢者にはがんが少ない/細胞レベルで考える死/細胞の寿命を決めているもの/
テロメアが短縮しない細胞/症例のまとめ
▶セミナー後のカフェで▶▶理先生の父親-2
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・細胞の寿命とテロメア・テロメラーゼ
・病理解剖は次世代に活かす最後の医療行為
第16章 特別講義:病理学の歴史とこれからの病理学
セミナー16
15回の講義を終えて/学問は手段!?/体液疾病説とは/人体解剖と病理学のはじまり/
ウィルヒョウの登場と顕微鏡観察/「細胞病理学」以後……/これからの病理学/
病理AI のこれから/ AI と協働し明るい未来を作るのは君たち
▶セミナー後のカフェで▶▶ボクらワタシたちのこれから
▶愛さんのこれだけ! 復習ノート
▶理先生のもう一歩 深掘り・横掘り
・ゲノム医療と病理学
・デジタル病理とAIでできること
・未来の病理:三次元病理学は疾病の新たな病態解明につながるか?
病理学各論
病理写真の読み方のコツ 5か条+2
第1章 循環器
@心臓・血管の正常構造
A循環器・心臓の障害
B虚血性心疾患
C弁膜・心内膜疾患
D心筋疾患
Eその他の心疾患
F動脈硬化性疾患
G大動脈疾患
H血管炎1
I血管炎2
第2章 呼吸器・縦隔
@下気道の正常構造と機能
A慢性閉塞性肺疾患
B特発性間質性肺炎1
C特発性間質性肺炎2
Dその他のびまん性肺疾患1
Eその他のびまん性肺疾患2
F肺の循環障害
G肺炎1(細菌性肺炎)
H肺炎2(肺抗酸菌症)
I肺炎3(肺真菌症)
J肺炎4(肺真菌症とウイルス性肺炎)
K肺腫瘍1
L肺腫瘍2
M肺腫瘍3
N肺腫瘍4
O胸膜疾患
P縦隔疾患
第3章 口腔・頭頸部
@口腔・唾液腺・咽頭・喉頭の正常構造
A口腔疾患
B唾液腺疾患
C鼻腔・副鼻腔・咽頭・喉頭の非腫瘍性疾患
D咽頭癌・喉頭癌
E眼・耳疾患
第4章 消化管
@消化管の正常構造
A食道の炎症性疾患
B食道癌
C胃炎・胃潰瘍
D胃の上皮性腫瘍1
E胃の上皮性腫瘍2
F消化管のリンパ腫
G消化管の間葉系腫瘍
H腸管感染症
I腸管の循環障害
J炎症性腸疾患1
K炎症性腸疾患2
L大腸ポリープ
M大腸癌
Nその他の消化管疾患1
Oその他の消化管疾患2
第5章 肝臓・胆道・膵臓
@肝臓の正常構造
Aウイルス性肝炎
B代謝性肝疾患
C自己免疫性肝・胆道疾患
D肝臓の循環障害
E肝細胞癌
Fその他の肝腫瘍
G胆道・膵臓の正常構造
H胆道の炎症性疾患
I胆道腫瘍・腫瘍様病変
J膵 炎
K膵腫瘍1
L膵腫瘍2
Mその他の膵腫瘍
第6章 腎臓・泌尿器
@腎臓の正常構造
A非腫瘍性腎疾患の診断プロセス
B非腫瘍性腎疾患の組織像のみかた
C主にネフローゼ症候群を呈する糸球体疾患
D主に慢性腎炎症候群を呈する糸球体疾患
E主に急性腎炎症候群を呈する糸球体疾患
F主に急速進行性腎炎症候群を呈する糸球体疾患
G尿細管・間質性疾患
H自己免疫疾患に伴う腎病変
I全身疾患に伴う腎病変1
J全身疾患に伴う腎病変2
K泌尿器疾患1
L泌尿器疾患2
第7章 婦人科・乳腺
@子宮および付属器の正常構造
A子宮頸部1(扁平上皮病変)
B子宮頸部2(腺上皮病変)
C子宮体部1
D子宮体部2
E卵巣腫瘍1
F卵巣腫瘍2
G卵巣腫瘍3
H卵巣腫瘍4
I胎盤・絨毛性疾患
J乳腺1
K乳腺2
第8章 内分泌
@下垂体
A甲状腺1
B甲状腺2
C甲状腺3
D副甲状腺
E副腎
第9章 中枢神経(脳・脊髄)
@中枢神経系の正常構造と機能
A中枢神経の病的変化
B循環障害1(出血)
C循環障害2(虚血・梗塞)
D感染症
E脳腫瘍1(概要と成人型グリオーマ)
F脳腫瘍2(成人のその他の脳腫瘍)
G脳腫瘍3(小児脳腫瘍)
第10章 皮膚
@皮膚の正常構造
A炎症性疾患
B水疱症
C膠原病関連皮膚病変
Dウイルス感染症
E細菌および真菌感染症
F皮膚腫瘍1(付属器系腫瘍)
G皮膚腫瘍2(角化細胞系腫瘍)
H皮膚腫瘍3(メラノサイト系腫瘍)
第11章 造血器・リンパ組織
@骨髄の機能と正常構造
A血球減少をきたす疾患1
B血球減少をきたす疾患2
C骨髄増殖性腫瘍
D急性骨髄性白血病
E急性および慢性リンパ球性白血病
Fリンパ球・形質細胞性腫瘍
Gリンパ節の正常構造と反応性変化
Hリンパ腫1
Iリンパ腫2
Jリンパ腫3
第12章 関節・骨軟部
@骨・関節の非腫瘍性疾患1
A骨・関節の非腫瘍性疾患2
B骨・関節の非腫瘍性疾患3
C筋疾患
D軟部腫瘍1
E軟部腫瘍2
F軟部腫瘍3
G軟部腫瘍4
H骨腫瘍1
I骨腫瘍2
用語解説:主な組織化学染色(特殊染色)
INDEX
はじめに
みなさん,こんにちは! 『核をつかむ! 病理学特講SEMINAR & ATLAS』を手に取っていただきありがとうございます.この本は,みなさんが楽しく読み進んでいくうちに,病理学つまり疾患や病態の核をつかんでもらうことを目指して書き下ろした,ほかにはない特徴を持った病理学書です.
「核をつかむ」って何か堅苦しいし,難しそうな感じ……なのに楽しく読み進める,って,そんな都合の良い本なんてある訳ない,と思っている人も少なくないかも知れませんね.でも,少しページをめくって貰えばわかるように,かなりほかの病理学書と違うと思いませんか?
ここで1 つ質問があります.学問には何が重要だと思いますか? もちろん色々な答えがあるでしょうが,1 つ挙げるとすれば,私は「問い」だと思います.本書ではこれを病理学の学習にも適用してみました.本は読むだけではなく,読みながら考えるのが学習のコツであり「核をつかむ」コツなのです.総論の各章の冒頭には実際の症例を提示し,その症例の病態を紐解くように理先生がいろいろ問いかけをしながらレクチャーが進みますが,ほかの登場人物「心,真,愛」も何気に問いを立てたり投げかけたりします.症例を題材にしたのは,病理学総論が無味乾燥な暗記科目ではなく,臨床と直結し,ベッドサイドで病態を考えるときのまさに“基礎”になる学問であることを感じながら学習を進めてもらおうと思ったからです.また,体の中で起こっている病態は刻々と変化します.このため常に「時間軸」を意識しながら考えるように促しているのも本書の特徴です.そして,各章の最後では,重要語句の整理と発展知識の深掘り・横堀りをして総論は終了です.
次に,後半の各論についても特徴を説明しましょう.これは病理学各論の要点と医学生にとっては必要十分な病理アトラスを見開きにまとめたことが特徴です.見開き左ページの各疾患の要点は,コアカリキュラムだけでなく最新の疾患分類などにも可能な限り準拠した内容ですので,病理学実習や病理学の試験前に重宝するだけでなく,臨床実習で出くわした病気のことをサッと復習するのにも使えますし,国試対策も病理学関連についていえば万全といえるでしょう.右ページは病理アトラスで,写真には重要度を示し,また,それぞれの写真の中で何を理解すれば良いのかがわかるように,矢印,矢頭や線などで補足しています.病理の写真の読み方が分からずにつまずいていた人は,各論の冒頭に病理標本をどのようにみていけば良いかを示しましたので,それも参考にしながらぜひもう一度チャレンジして下さい.
さて,ここまで,総論,各論,アトラスのそれぞれについて特徴を述べましたが,お気づきのように,これら3 要素を1 冊にまとめた病理学書は皆無であり,大きな特徴といえます.そうすることで,やや抽象的な総論を各論の具体的な疾患・病態につなげて学べ,その病態の結果として生じる臓器組織の変化をアトラスで確認することができます.総論⇄各論の関係図も作りましたので,総論事項に関連する病理像をアトラスで確認したり,各論の学習中にも,随時,病態の基本に戻りながら理解を進めることをお勧めします.そのように病理学全体を俯瞰しながら学習を進める“メタ的視点”も疾患・病態の核をつかむためにはとても重要なのです.総論⇄各論⇄アトラスを行ったり来たりしながら,疾患の概要を読んで見て考えてその核をつかんでください.そして,卒業する頃にはこの本1 冊がボロボロになっていることを期待します.
いかがでしょうか? 病理学が苦手だと思っている君も,病理学なぞちょろいけどつまらないと思っている優秀なあなたも,まずは病理学の学習を楽しく始められる気になってくれたらうれしいです.そしていつの間にか「病理学が面白くなった」と思う人があちこちに現れてくれることを楽しみにしています.
2025 年2 月
著者を代表して 福嶋敬宜
