書籍

名市大ロボット消化器外科手術のすべて [Web動画付]

監修・編集 : 瀧口修司
編集 : 松尾洋一/橋広城/小川了/森本守/佐川弘之
ISBN : 978-4-524-20147-1
発行年月 : 2022年12月
判型 : A4
ページ数 : 184

在庫あり

定価13,200円(本体12,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

幅広くロボット支援手術を導入している名古屋市立大学消化器外科の経験をもとに食道癌・胃癌・直腸癌・肝癌・膵癌・ヘルニアなどの主要な消化器疾患に対するロボット支援手術に関する導入やセッティング,術式の流れやさまざまな工夫,助手のコツなどについて紹介.ロボット消化器外科手術を行うすべての医師にとって必携の1冊.

ロボット手術9か条


T.はじめに
  1.ロボット支援手術の歴史と現状
  2.ロボット支援手術の今後の展望
  3.国産手術支援ロボット「hinotori」の実際


U.食道
  1.コンセプト・適応
  2.胸部操作
  3.腹部操作
  4.[Case Report]左反回神経周囲リンパ節転移症例に対するロボット手術


V.胃
  1.セットアップ
  2.ロボット支援腹腔鏡下胃悪性腫瘍手術
  3.ロボット支援腹腔鏡下幽門側胃切除術
  4.ロボット支援腹腔鏡下噴門側胃切除術・胃全摘術
  5.傍腹部大動脈リンパ節郭清
  6.[Case Report]da Vinci手術のアドバンテージを活かす高難度胃癌:残胃癌
  7.[Case Report]ロボット手術の特徴を最大限活かした低侵襲・高難度手術―胃全摘術後局所再発病変切除術
  8.[Case Report]bulkyリンパ節転移に対するロボット手術―その郭清手技
  9.[Case Report]ストマがあってもda Vinciで!!―回腸導管ストマ造設症例に対する胃癌手術


W.肝臓
  1.ロボット支援肝切除
  2.[Case Report]S4部分切除―肝静脈に沿った肝実質切離
  3.[Case Report]肝門部郭清・胆管切除を伴う肝切除
  4.[Case Report]拡大左葉切除―高難度肝切除への適応拡大


X.膵臓
  1.リンパ節郭清を伴うロボット支援膵体尾部切除術
  2.[Case Report]ロボット支援左腎合併膵体尾部切除術
  3.ロボット支援膵頭十二指腸切除術


Y.結腸
  1.コンセプト・適応
  2.セットアップ
  3.ロボット支援結腸切除術の手術手順


Z.直腸
  1.コンセプト・適応
  2.セットアップ
  3.直腸低位前方切除術(共通項目)
  4.直腸低位前方切除術
  5.内肛門括約筋切除術
  6.腹会陰式直腸切断術
  7.側方郭清
  8.[Case Report]膀胱全摘・回腸導管造設患者における直腸癌手術―骨盤内既手術症例に対するロボット支援直腸切除術
  9.[Case Report]ロボット手術の特徴を最大限活かした低侵襲・高難度手術―高度肥満症例に対する低位前方切除術


[.ヘルニア
  1.コンセプト・適応
  2.セットアップ
  3.ロボット支援鼠径ヘルニア修復術の手術手技

 私と手術支援ロボットda Vinciの出会いは,今から25年前,1997年米国・サンタバーバラのIntuitive Surgical社のなかであった.ベンチャー企業の平屋の建物の一室にそのロボットはあった.心臓血管外科のバイパス手術の低侵襲治療を目指して当時開発されていた.非開胸で血管吻合を安全に行うためのロボットであり,デモンストレーションしていただいたロボットの動きの精度の高さに感銘を受けた.しかも,指の動きをそのまま体腔内で再現することで直感的な操作が可能であった.「Intuitive=直感的」との英語も恥ずかしながらそこで知った.コンセプトはその社名のとおり,鉗子を体内で自由に直感的に操り,動作制限を克服し,精度の高い手術を行うことにあった.私が志した「トレーニングを通して人間の持つ技術を高め,手術の精度を高める」考え方とは方向性は異なるものの,当時の内視鏡手術をより精度の高いものにすべきとの考え方には共通するものを感じた.それをロボットで実現するという発想とその技術力に驚愕した.
 あれから25年,四半世紀が経った2022年4月,本邦では消化器外科におけるあらゆる癌手術にロボット支援手術が保険収載され,これからさらにロボット支援手術の普及が期待される.振り返ると長い年月が実践運用に費やされたが,安全性を担保したロボット支援手術を標準化するためにはノウハウの蓄積が重要である.今,私が考えるロボット支援手術の魅力は,経験やテクニックの差を埋めることで次世代の内視鏡外科の技術伝承に貢献している点である.
 本書は,定型的な手術に加えて,応用手術の症例報告も交えて,ビデオを用いて解説するスタイルである.スマートフォン片手に,動画から手術を学んでいただければ幸いである.

2022年12月
名古屋市立大学 消化器外科 主任教授
瀧口 修司

9784524201471